幻惑




暫くの木の葉は平和だった。

サスケの里抜け後、追い忍部隊が要請されたが結果は失敗に終わった。

”このままではいけない”サスケの里出によって決心したサクラは綱手に弟子入り願いをした。
ナルトは自来也に正式に弟子となり、修行の旅に出て行ってしまった。
カカシも任務でいない。


いまや、木の葉にいる7班はサクラ一人だった。


その日、サクラは午後の修行が終わった後一人復習をかねて、演習場所に来ていた。
なにか、題材になりそうな動物を見つける。
心苦しいがクナイで体を傷つけ、それを元通りにするようなことをしていた。
前の魚でやった応用のようなものだったので、簡単に出来た。




しかし、まだ人間の治療をしたことがなかった。
人間となると動物とは違う。
体質・チャクラの流れなど細心の注意を払わなければならない。
さすがに逸材と褒めてくれた綱手も、まだ人の怪我や病気をチャクラコントロールで直すのはさせてくれなかった。








「さて、今度は人間のご先祖様の猿を探したほうがいいのか・・・・・・」






次に又標的となる動物を探していたが、奥で怪我人を見つけた。
急いでそこにたどり着いたが、よくみると敵だった。







「やぁ・・・見たところ木の葉の下忍だな？俺をどうするつもりだ・・・。」


その瞳で人目で誰だかわかる。

”うちはイタチ”



サクラは何も言わずにイタチへと一歩、一歩と近づく。
手には、白いチャクラが見えていた。
イタチに近づくたびに大きくなっていく。



「そのチャクラで俺を殺すのかい？今なら・・・簡単だからな。」



イタチの挑発にも乗らずサクラはイタチの傷口にそっと手を当てると、傷が見る見るうちに消えていく・・・




「・・・・」



イタチは黙ってサクラのしたいようにさせていた。

完全に傷口が止まるとサクラは体中の力が抜けるように座り込んだ。
人の怪我を治すには生半可なコントロールではいけないのだ。
その緊張感が抜けてか、えらく疲れたようだった。



息を切らしているサクラにイタチは手をそっとサクラに当てた。
「いいのかい？俺は敵なんだよ？」


「貴方が居なくなったら・・・サスケ君は・・・・一人になっちゃうじゃない。」

自分のためではなく自分の弟のため
なんか気分が悪くなってきた。


「それはそれでいいとしよう。でもね・・今の俺は全回復。君は疲れている。普通は・・・」
イタチはサクラののど元にクナイを突きつける。
「・・・・」
なにも言わないサクラ

「・・・完敗だ。」
イタチはクナイを放した。




「君は強い。」
イタチはサクラの頬をなでた。
ゆっくりと、丁寧に。

「だけど、まだ俺と戦うには早すぎる。もっと強くなったらおいで・・君はまだまだ強くなれる・・・」



「！！」




「これはさっきの手当てのお礼」


一瞬だったけど、唇が触れた。



「な・・・・に・・・・。」


サクラはひたすら唇をこすった。
「そんな事されると、悲しいなぁ。」

「なによ！アンタなんて大嫌いよ！！」
「俺はそんなに君に嫌われるようなことしたのか？」


「・・・・・サスケ君の敵は・・・・私の敵・・。」


サクラはゆっくりしゃべり、イタチを睨む。


「・・・・・」











「そういう事なら仕方ないな・・。」






「イタチさん！探しましたよ！」
イタチの仲間の鬼鮫が割り込んできた。
これは、かなり危険な状況だ。

「・・・その子を連れて行くんですか？」
「！！！」

危険人物Sランクの二人相手では、術がない。


「いや・・・違う。この娘は俺のキズを治してくれたのだ。だから何もしない。」
「へぇ・・・でも、その子使えますよ？」
鬼鮫がサクラをじっと視線を送る。




「それは、俺もそう思っている。しかし、無理やり連れて行くのは俺のポリシーに反する。」
「と、言いますと？」



「今は引き下がるが・・・・」

イタチはサクラの髪の毛をなでた。


「必ず連れて行く。必ず君に”私も一緒に連れて行って”って言わせるよ・・。」
「！！！」

「それじゃ・・・ごきげんよう。」


イタチと鬼鮫は消えていった。



”私も一緒に連れて行って”


サクラは一度いったことがある。
サスケに・・あの夜に
それは叶わなかった。

でも、イタチに発したのならすぐにでも叶うだろう。
しかし、サクラの心にはサスケ一人しか存在しない。



「絶対・・・・言ってやんない・・。」


















「あのまま連れて行ってしまっても良かったのではないですか？」


鬼鮫はそんなことを言っていたが・・・


「自分から行くことに意義があるのだ鬼鮫・・」
「はぁ・・・そうですか。」

暗い闇の中イタチは聞いていた。


　　　　　　　　　　「それなら・・・・・私も一緒に連れて行って・・・・・。」




「なかなか、うまくはいかないものだな。」
「何の事です？」
「いや、なんでもない。」



これは自分のわがままだ。


弟に敵わないものが一つだけある。





それは・・・・・・




春の女神を手に入れることだ。



「・・・時間がかかってもいい。いつかだ。」











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流緒様のリクエスト
イタチ→サクラ→サスケ（サスケ里抜け後）

これを書くのにえらく時間がかかった。
三角関係は難しいと知る。←何を今更・・・・
そして、私のキリ番名物中途半端？エンド←しっかりしろ！

ふ〜っと終わった。
これでよかったのかはわかりませんが・・・・
お受け取りください！
流緒様！！
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