姫君のバカンス 2 ますます欲情した僕はもう自分を止める気なんて全く無くなっていた。 ずちゅっ、ぐちゅううぅっ!! 「んあああぁあぁーっ///」 「‥むく、ろ。いいよ、もっと‥鳴いてみせ、て??僕が、愛してあげるよ‥‥」 「ひっ、ん‥は、あぁっ///んお。あ、あぁあ‥はぅん!!」 「ほら、僕で‥感じて??まんこ。犯してあげるから‥…」 「や、も‥ダメ、いやぁっ!!きもち、いっ///あぁん!!」 子宮ごと最奥を刺激するように突いた。 それだけで彼女の身体が過敏に震えて反応を示す。 まだ逢ったばかりでよく知りもしないクセに何をやっているんだろう。 其れでも、欲しかった。 綺麗で‥まるで天使の様な君を抱いてしまいたくて。 もしかしたら君は本当の天使で僕の前から直ぐ消えてしまうんじゃないかと一瞬不安になった。 だからどうしても止められそうに無い。 泣いて感じる君を僕だけのモノにしたかった。 そんな、叶いもしない想いを抱いて僕はただひたすら腰を振って犯した。 「やああぁっ!!も、だめ‥おねが、い…ゆる、してええぇ」 「ダメだよ‥僕がイクまで離さない…」 「あひ、も‥イク、いくのおおおぉっ///」 「くっ、まんこ…締め付け過ぎ、だよ!!」 すると、彼女の入り口が突然ぎゅっと締まって僕の雄根を引き千切る勢いで刺激した。 其のせいで出すつもりは無かったけれど彼女のお腹に僕は射精してしまったのだ。 どぴゅっ、びゅるるるっ!! あ、あぁん///」 「……はぁ。気持ち良かったよ、骸チャン♪」 「……‥ん、っ」 「‥‥アレ??」 「‥………すぅ…‥」 「‥なんだ、寝ちゃったのかぁ」 やがて、泣き付かれて眠るように気絶した彼女はそのままお昼まで目を覚まさなかった。 激しくし過ぎたかな?? 少しだけ反省した僕は事の重大さなんて気付きもしないままソファに座って呑気に眠る彼女の髪を梳いてあげた。 起きたら後で街を一緒に観光しよう。なんて思いながら。 「ゆっくり寝てていいよ。起きたら、一緒に行こうね」 そうして彼女が寝ている間。 僕は眠る彼女の身体をタオルで拭いて綺麗にしながらテキトーに軽い昼食の支度に取り掛かったんだけど。 「‥ところで外が騒がしいなぁ。どうしたんだろう」 やけにざわついて落ち着きを無くした街。外では『号外〜号外〜!!』という声がひっきりなしに響き渡る。 一体どんな事件があったんだろうか。余程の事が無い限り街中で新聞なんか配られない。 僕は気にしつつもわざわざ受け取りに行くのが面倒でニュースを見て情報を得ようと試みた。 「何があったんだか。せっかくの事件もジャーナリストの僕のお手柄にならずに 他の人が手に入れちゃったらあんまり意味無いんだけどねぇ」 パチッ そう呟きながら僕はテレビをつけてハムエッグを作るため卵を冷蔵庫から取り出した。 家賃が払えないくらい貧しいけど腹が減っては何も出来ないって言うじゃない??アレ、ちょっと違うって?? まぁ細かい事は気にしない。かつんとフライパンの縁で卵を割ってそのままハムと一緒に卵を焼いた。 凄くイイ匂いがする。 その匂いにつられたのかピクリと彼女がベッドの上で動いた気がした。 「‥んん、ん‥‥」 「可愛いなぁ。お腹空いた夢でも見ちゃったのかな??」 じゅう、と音を立てるフライパン。 狭い家のせいで寝室はほとんどリビングから丸見えだ。 ちょっと悲しい気分にいつもさせられるけど、でも今だけはちょっと得した気分だ。 だって、妙に色っぽく裸のままシーツに包まる彼女がキッチンから丸見えなんだもん♪ そんな骸チャンの色気に目を奪われていると。 「本日未明、ローマ教皇の一人娘である骸皇女が行方不明である事が発覚しました」 「‥‥…え??」 『骸』皇女――― 聞き覚えたばかりの名前がやけに耳に残って離れようとしなかった。 僕はモチロン自分の耳を疑った。でも、次の瞬間テレビ画面には寝室で眠る少女と同じ顔が映し出され、 唖然とするしか無くなってしまったんだ。 「そん、な‥‥」 見事な藍色の美しい髪。 真っ白な肌と柔らかそうなピンクの唇。そして、珍しくてこの上ない緋色と蒼色のオッドアイ。 僕は確信した。 間違いない、彼女は『骸』皇女なのだと。 その時だった。 「ん〜、お腹‥空きましたぉ‥…」 「ッ!!!!!」 「コックは、どうしたのです??もう…食事の用意は、出来て‥ます、か??」 むくっと起き上がって眠そうな目を擦る彼女が僕の目に映った。 起きた、そう思ってとっさにテレビを何故か消してしまった。 そして、さっさと妬きあがったハムエッグをお皿に移し変えて昼食の支度を完了させた。 だが一向に僕に気付かない彼女はキョロキョロ半分眠ったままの眼を配って周囲を観察してる。 ココが見慣れない場所で驚いているのかな。 そんな彼女を横目で見ながら僕は出来上がった食事をテーブルに運ぶためリビングへと向かった。 言うまでも無く骸チャンもリビングへ足取りを向かわせる。 だけど、僕とばったり鉢合わせした彼女はまるで初めて僕を見るようにきょとんとしながら指を差して言ってきた。 「‥あ、あなたは」 「おはよう、お姫様」 「ッ!?‥ゆ、ゆめじゃ‥なかった??」 初めは僕の事をすっかり忘れているようだったけど、直ぐに思い出した様だ。 途端に真っ赤になって視線を逸らす。その初々しい仕草が堪らなく可愛くて、 収まったはずの性欲がまた沸きあがってしまいそうになった。必死に抑えたけど。 「‥も、もしかして僕///あなたと、えっち…‥したのです、か??」 「ウン、そーだよ」 「あ///やだ、どうしよう‥恥ずかしい、ですっ!!」 でもセックスした事実に恥ずかしがって両手で顔を覆う彼女の余りにも可愛い事。 おかげで僕は性欲を抑えきれず第二ラウンドまで初めてしまいそうになった。一瞬、ネ。 でも、相手が天下無敵のローマ法王の一人娘だと知った以上下手なことはもう出来ない。 僕だって死刑はゴメンだ。もし強姦罪にでも問われてみろ。 簡単に死なせてくれないかもしれないくらい恐ろしい目に遭う事は目に見えている。 いっそ殺人罪で死刑になったほーがマシだと思えるだろう。それくらい法王は娘ラブで大事にしているらしいから。 昔、彼女のストーカーがメディアで話題になったけどその男はすぐさま法王の鉄槌を喰らったんだ。 どうなったかは、恐ろしくて言えないけれど。 そんな恐怖に怯えながらも欲情している僕に彼女はおずおずと 恥ずかしげに僕のシャツを引っ張ってぽつりと漏らした。 「ねぇ、白蘭‥でしたっけ??」 「ン??なーに骸チャン」 「お願いが‥あるのですが」 「どうしたの??」 「‥‥お願い、今日一日‥僕とお付き合いして下さい!!」 「‥……え、ええぇえぇ?!お付き合いって、まさか…恋人みたいにデートするって事ぉ!!???」 すると彼女は羞恥で涙目になりつつもコクンと小さく頷いた。 そして、潤んだ瞳で上目遣いしながら耳元で囁いたのだ。 「お願い白蘭…今日だけでいいから、僕の事愛してくれますか??」 ごとん ハムエッグのお皿が床に落ちた。でも、どうでもいい。僕は二つ返事をする代わりにキスをした。 しっとり濡れて、でも可愛くて麗しい愛しい人の唇に。 そうしてデートする事になったのだけれど。 「コレでよし、ですね!!」 「可愛いよ、骸チャン」 「そうですか…??ありがとう、ございます///」 ちょきんと切られた後ろ髪。やけに短くなった項(うなじ)は何とも涼しげで艶やかだ。 僕は隣人のアイリスに無理を言って服を貸してもらった。 さすがにあのドレスじゃあ一発でお姫様って事がバレちゃうだろうからネ。 でも、アイリスに借りたのは少し間違いだったのかもしれない。 「…じゃ、行きましょう♪」 「う、うん///」 積極的なのか天然なのか分からないけど、骸チャンは僕の腕に絡みつくように組んできた。 でも其れと同時に大きなおっぱいがぐにゅんと腕に当たって。 「うわぁ…ヤバイなぁ///」 「白蘭??」 「しかも谷間丸見え…///」 「‥…どうかしました??真っ赤ですよ??」 「い、いやっ!!何でもないよ〜あははは」 「なら、いいんですけど」 其れに全くと言っていいほど気付かない彼女はぐいぐい胸を押し付けるようにくっついてくる。 コレじゃ拷問だよ〜。僕は危うく弱音を吐きそうになりながらも必死に下半身と闘っていた。 街中で勃起してはさすがに恥ずかしい。 仕方なく萎えさせようと不細工な女の太腿に目をやったりパンツ姿を想像したりと空しい努力が暫く続いた。 男って悲しい生き物だよな。 こういう時、一番実感するんだけどネ。ホント‥悲しい事だけど。 そんな僕の気も知らないで骸チャンはニコニコしながら指差した。 「ねぇねぇ見てくださいよ。アレ、とっても面白い建物ですね。 人が沢山入って行きますよ??あそこには何があるのですか??」 そう言われて其の方向に目をやれば其処にはスーパーマーケットが。 確かにお城にこんなモノは無いんだろう。興味心身で目を輝かせる彼女を見て僕は感心した。 そして、普通の観光も良いけれどちょっと寄り道してもいいだろうと思って 其処に足を運び、お菓子を買ってあげたんだ。 ビリビリ、べり。 「何ですか、コレ」 「言ったデショ??食べさせてあげるって。コレはマシマロ。こっちはチョコレートだよ」 「ふぅん、チョコはよくお城で食べますけど‥コレは食べた事ありません」 「そっかぁ。じゃあこうして食べてみなよ。美味しいから」 僕は袋から取り出したマシマロとチョコレートの液体にべっちょりたっぷり浸して付けた。 確かにチョコ味のマシマロも悪くない。むしろ凄く美味しいと思う。 でも、何も知らない彼女に少し変わった事を教えてあげたかったから。 チョコ塗れになったマシマロを僕はそのままぺろりと平らげた。 「‥ん〜、美味しいよVv骸チャンも食べてみればぁ??」 「‥……じゃあ、ちょっとだけ///」 そして彼女も僕の真似をしてぱくんと口に其れを放り込んだ。 もぐもぐ動く唇が可愛い。思わずキスしたい、 そう思って見とれていると彼女はやがてにっこり満面の笑みを浮かべて僕を覗き込んできた。 「どうだった??」 「とっても、美味しいです!!」 「そう。なら良かったよ〜」 そうして僕達は公園のベンチでゆっくりしながら景色をちょっと眺めたり、 ハトの餌をやったりして何気ない時間を過ごした。 いつもならセックスして終わる恋人の時間。 でも、無邪気に微笑む彼女を見ていると身体を繋げたいのと同じくらいこうして居たいと思わせられる。 特別何かをしなくてもいい。 ただ、傍に居るだけで充実感と幸福感が得られる。こんな事は初めてだよ。 そう思って、僕は彼女の手を取った。 「あ…どこ、へ??」 「もっといろんな所に行こうよ。街が暗くなるまで、案内してあげるよ」 「…‥っ、はい///」 そうして、僕達は暗くなるまで一緒に時間を共にした。 イタリア、ローマの地で。 でも、もうお別れの時間らしい。 とうとう僕達は見つかってしまった。血眼になって探していたSPが彼女に気付いたのだろう。 最も、何時までもこうして一緒に居る訳にはいかないと分かっていたから仕方のない事なんだろうけど。 「どうしても、ダメなの??」 「‥えぇ、そろそろ家に帰らないと。お父様も心配しているかもしれません」 「‥‥‥……」 二人でいろいろなものを見て、いろいろな事を体験した。 スペイン広場でジェラートを食べ、ジョーとベスパに二人乗りしてローマ市内を廻り、真実の口を訪れ、 サンタンジェロ城前のテヴェレ川でのダンスパーティーに参加して。 夢みたいだ。 なのに、その夢は非情にももう終わりなんだね。 「そっか…‥」 「ゴメンなさい」 「仕方ないよ。君と僕の住む世界は、違うんだから‥‥」 「え‥‥??びゃく、らん??」 「さようなら、お姫様。君の故郷に帰っても、僕の事を忘れないで欲しいよ」 「勿論、ですよ」 自然と彼女の目に涙が零れ落ちていく。其れを拭ってあげるように僕は舌で涙を辿ってキスを落とした。 お別れのキス。だけど、きっと永遠に忘れないし忘れたくない。 だって、愛してる。 どんなに離れても、どんなに時が経っても。君だけを、想うから。だから君も僕を同じくらい愛してくれと願って。 「Io l'amo(愛してる)‥‥」 そして僕達は月下の元で愛を誓い合った。もうすぐ迎えのリムジンが来るだろう。 本当はもっと一緒に居たかった。 でも、結局彼女は皇女で僕はしがないジャーナリストだ。こうなるのは運命だったと諦めるしか無かった。 バチカン行きの空港近く。ウロウロしていたお姫様付きの護衛に発見されたのは幸か不幸か分からない。 もうお互い二度と逢う事は無いだろう。 それでも、出逢ったことを後悔なんてするつもりは無かった。 「‥早く来い!!」 「全く、人騒がせな皇女だ。こっちの身にもなってみろ」 「ほら、行くぞ。さっさと歩け!!」 「Ciao(さようなら)…‥白蘭」 名残惜しそうに見詰め合う僕らを鬱陶しく想うのか、乱暴に骸チャンが連れて行かれる。 引き止める力も権利も無い僕にはどうしようもない。だけど、今日の出来事は絶対に忘れないよ。 二度とこんな恋はしないだろう。こんなにも誰かを愛する事も無いだろう。 そうして、こんなにも彼女に心を奪われた僕が彼女を忘れる事なんてきっと無いだろう。 そう想わされるほど僕は彼女に狂っていた。 出来る事ならもう一度、叶わないと知っていても会いたいと願って。 「‥さようなら‥骸チャン」 そうして、後日無事保護され本国に帰った彼女がテレビに映るのを見届けた僕は心に誓った。 いつかきっと一流のジャーナリストになって、彼女に逢いに行くのだと。 其れが、例え無謀で叶いもしない夢だと分かっていても。 END 白骸は大好きなのですが、どうも書くのは苦手意識があります。 白骸は私には難しいのです。 この難しいカプのパラレルを書ける朧月夜様が羨ましい。 文才に乾杯です。 ステキ小説有難うございました。 |
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