現在のシステム管理当番はクリスティナだった。 今皆は休憩中。 地上からみれば現在の時刻は普通に明るい時間だが、 宇宙にいつと曜日や時間の感覚さえ分からない。 アレルヤのことがあって、暫くは大きな介入を行わなかった。 このプトレマイオス内が静かだ。 「・・・仲間一人かけるだけで大分違うな・・・。」 現在ブリッジにいるのはクリスティナ一人だ。 軽くノビを一回。 モニターをふとみると、おかしな反応をしている所がひとつ。 コンテナだ。 「え・・?どうしてこんな場所?」 刹那が何かやらかしたのかしら? 本当にバンダムバカなんだからと、通信を入れようとしたが、 発信がでたのはエクシアではなかった。 キュリオスが反応している。 「どうして??!」 キュリオスは現在、アレルヤが不在の状態で動く事が出来ないはず。 ロックもして他のマイスターにも簡単には開けられない状態である。 動くとすれば、アレルヤが遠隔操作でリモートモードへオンした時だ・・。 しかし、肝心のアレルヤは無事ではいたが記憶を失っていると聞いた。 「・・・もしかして。アレルヤ記憶が・・・・。」 だとすれば、クリスティナは直ぐにスメラギの部屋に通信を入れた。 「スメラギさん!!!聞こえますか?!」 『・・・な〜に?クリスティナ?今は安全圏だから戦闘は・・・・。』 「またこんな時間から・・・・、じゃなくて、キュリオスがオートで動いてるんです!」 『え・・・。何ですって?!』 「早く来てください!」 『今、行くわ。』 スメラギはクリスティナの通信で、酔っていた体がすぐに醒めてしまった。 慌ててブリッジへ向かうと、キュリオスはもうスタンバイ状態に入っている。 プトレマイオスから出ようとしているのだ。 これでは他のマイスターが気付くのも時間の問題だろう。 「誰がでたんだ?」 ガンダムの音となるといち早くブリッジに来た刹那。 緊急だったのか、暫くは戦闘がないと聞いていたので刹那は不審に思ったようだ。 「刹那・・・実は・・・・ 「おい、ミス・スメラギ。やっぱりマイズイ状況にでもなったのかい?」 「ロックオン。」 「刹那・・・。じゃ、出たのはティエリアか?」 「残念だが、僕もここに居る。」 どういう事だ? マイスター三人はここに居る。 では、一体誰が・・・・ 「あ、あのね、皆。驚かないで聞いてね?さっきキュリオスが勝手に反応して プトレマイオスから出て行ったの!!」 「「「え・・・??」」」 「アレルヤだと思うわ。思い出したのねあの子・・・。」 スメラギの表情は複雑だ。 今まで辛い思いをしてきた分、あのままひっそりと暮らせていれば幸せだったろう。 しかし、CBとしては欠かせない存在であっただけに どう気持ちを表したらいいか分からない。 このまま何も知らないでささやかな幸せをとも思ったが、 「アレルヤは戻ってくる事を望んだみたいね。」 「ね、スメラギさん。せっかくなんですからアレルヤを盛大に迎えましょうよ。」 「ええ、そうね。」 居た堪れない状態じゃアレルヤにわるいし、どうやらマイスター3人は アレルヤが帰還するという事がわかってかなり舞い上がっているようだ。 「ミス・スメラギ。クリスの追うとおりだぜ早いとこ準備に取り掛かろうぜ。」 「分かったわ。クリス他の皆にも知らせに行ってくれる?」 「了解。」 クリスはブリッジを出ると、直ぐに皆の部屋に向かった。 「さてと、お腹もすいてるし食堂で料理も用意しなきゃね。 修道院暮らしは食べ物は質素なものよ。栄養のあるものをセレクトしなきゃ!」 「俺たちは何をすればいい・・・?」 「そうね・・・。」 何かをしたいが、思いつかない刹那とティエリア。 「貴方達はいつもどおりで居てあげればアレルヤは嬉しいんじゃないかしら? そうそう、”おかえり”って言って貰えるのは嬉しいものよ。」 『アレルヤ、どうだ?』 「離れすぎてるから分からないよ。」 『こなかったら、どうするつもりだ?』 「別に・・・王留美さんから貰った連絡先使うよ。」 遠隔操作を試みたアレルヤはキュリオスの反応を見ることが出来ない。 目の届く位置なら簡単だったのだが、今回は距離が距離なだけに ちゃんと通信がキュリオスに届いているかが問題なのだ。 それに万が一、他のクルーにオートモードになっているところを目撃されて システムエラーと見られたが、もうアレルヤはキュリオスとの連絡手段をなくす事になる。 『お前、先にそっちの方使わねぇのか?』 もしもの時と貰った名刺。 確かに、王留美経由で行けば安全だろうがアレルヤは今すぐ仲間の皆と会いたいのだ。 『お前、いつの間にそんなワガママになったんだ?』 「ハレルヤ、僕は前からワガママだったよ。口に出してなかっただけで知ってたでしょ?」 ハレルヤはそのワガママを実行するアレルヤが珍しいのだろう。 プトレマイオスは今宇宙だ。 暫く地上に武力介入がない期間が長いとなると、宇宙にいる可能性が高い。 「宇宙に居たら、こっちに来るのは時間かかるな。」 『アレは一番の最速だぜ?早々時間かかんねぇよ。ホラ、きた見たいだぜ?』 「え?」 空気を切るような音だった。 それはちょっと懐かしい音。 エンジンの音と、アレルヤをあらわすオレンジ色のカラー。 キュリオスがきたのだ。 『良かったな。お前の声・・・届いて。』 「うん。」 キュリオスはアレルヤの姿を確認したあと、風圧でアレルヤが倒れないようにと 場所を計算して着陸をした。 パスワードを入れてロックを外すと、今度は角膜の読み込みが始まる。 キュリオスがアレルヤと確認すると、操作がオートから手動に切り替わった。 「キュリオス、目標へ飛翔する。」 お決まりのセリフを言えば、目標は勿論プトレマイオス。 操縦中に、誰からの通信がない事に不安を覚えたが、 それは杞憂に過ぎなかった。 そう、皆待っていてくれたのだ。 プトレマイオスについて、キュリオスから出たとたん、 アレルヤはクリスティナに抱きつかれた。 「アレルヤアアアアア!!!!!!」 「わ!!!クリス!!苦しい!!」 「良かった、本当に良かった。」 アレルヤを待っていたのは、皆の優しいお帰りだった。 |
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