取り返した宝石





この空間は血なまぐさい匂いで咽そうだ。
ハレルヤはそれでも構わず、先を進めた。


道行く人。
白衣を着た研究者たちが、しきりに命乞いをするはハレルヤは全くもって受け入れない。
命乞いをすればする者程、殺され方は惨い。


「へっ、散々俺をいじくりまわして、その挙句にコレか?ふざけてんじゃねぇよ!」

首を切り取った頭だけになった顔を、ハレルヤは思いっきり蹴飛ばした。




「俺の復讐はまだまだこんなもんじゃねぇ。ここいるヤツら全員殺してやる。」




この機関が分かったのは偶然だった。
人革のガンダム捕獲作戦で戦ったタオツーとう機体。
ハレルヤの脳裏に、一部の記憶が流れ込んだ。

超兵機関にいた頃の思い出だ。
予想外にも、タオツーのパイロットとハレルヤの脳粒子は共鳴し、ハレルヤを気絶へと追いやる。
そこで悟った。


超兵機関はまだ存在している。
子供たちを、虫ケラのように扱い、用がすんだらゴミの様に捨てるあの忌々しい機関。


そんな機関があってはならない。
幸いにも、ハレルヤはその施設がどこにあるのか場所を突き止めた。


そして独断でハレルヤは、この施設に武力介入をしている。


誰にも言わなかったのは、己の一個人の復讐の為。
ミッションプランを提案すれば、機体で外からの攻撃のみとなるからだ。
それだけじゃ足りない。
ハレルヤはここの研究者たちに、死ぬよりつらい地獄を見せてやるため、姿を隠して単身で乗り込んだ。


そして、もう一つの理由は・・・・



「・・・頼む。生きていてくれ・・・」




さっき、研究者の一人が非常ベルを押してしまった。
この事は本部に伝わり、たくさんのMSが押し寄せて来るだろう。
幸いにも殆どの研究者はもう、ハレルヤによって殺されている。

あとは、探し物だけだったのだ。


「クソ・・!!これじゃ、ラチが・・・!!」



ハっと人の気配がした。
実験台になっている子供達はもうとっくに逃げている。
だとしたら、まだ残っているのか?敵が?



勢いよく扉を開けると、そこには数人の男と一人の女がいた。
女はハレルヤと同じ、十代後半で白を基調とした拘束服を着て気を失っている。

どうやら男達は、この女を本部へ運び出そうとしていたのはハレルヤには分かった。
これは一番基調な実験材料で、完成品だということが・・・



「みんなまとめて灰にしてくれるわ!!」


マシンガンを撃ち、数人の男は体に風穴を複数開けられて、無残に倒れる。
女には悪いが、超兵として改造されてしまったのなら・・・




「・・・嘘だろ・・・。」



その女の顔は、ハレルヤと瓜二つだった。



「アレルヤ・・・。」





施設の非常ベルのオ音が変わった。
危険域に達したのだろう。
ハレルヤは、殺戮と一緒に放火もしていた。
そろそろキュリオスに戻らなければ、こっち死んでしまう。


ハレルヤは、自分と瓜二つの少女を一緒に、キュリオスのコクピットに乗せた。


「行くぜ!!」


最後の仕上げとして、キュリオスからの外部攻撃で、超兵機関の施設は粉々にくだけた。
飛行タイプに変形して、援軍が来ないうちにハレルヤは退却する。




「アレルヤ・・お前・・生きて・・!!」


片手でキュリオスを操縦して、もう片方はアレルヤと呼ばれる少女を抱く。
ハレルヤのもう一つの目的・・・


「アレルヤ・・・良かった。」

























プトレマイオスに戻ると、スメラギが今まで見たことない顔で待っていた。
無理もない。
ハレルヤは独断でキュリアスを発進させて、無断で人革の研究施設を壊滅してきたのだから。

そして、その追い討ちをかけたのは・・・


「女連れで帰還かよ〜。ハレルヤ、それはヤバいって!」


ロックオンもお手上げ状態だった。
これはいつものようにフォローしきれないぞといっている。


「うるせぇ、コレは・・俺の過去の問題だ。テメェの始末ぐらいテメェでやる。」


ハレルヤはすぐさま、独房に追いやられ、アレルヤはDr.モノレに診てもらっている。
まだ目が覚めてはいないらしい。



「それはそうだけどよ〜。で、あの女の子何モンだんだ?ハレルヤにそっくりじゃなぇか?」

「てめぇに教える義務も義理もねぇ!」

「冷たいな・・・。」



二人が独房で話していると、刹那とティエリアが入ってきた。


「よう、もうお仕舞いかよ。ここの生活は。」


「世間があの機関を悪と見なした。だから、お前の行動を咎められないと意見がでた。」

「そりゃーどうも。」


そんな事ドウでもいいのか、ハレルヤは腕を頭の後ろへまわして踏ん反り帰っている。
これからきっとティエリアの長い小言が始まる確立は高い。
いつでもぞうぞと、ハレルヤなりの対ティエリの対策でもある。


「一つ連絡しておくぞ。ハレルヤ・ハプティズム。」

「何だよ?テメェが、俺にしゃべる時は大抵突っかかる時だけじゃねぇか?」

「お前が連れてきた女。目が覚めたようだ。」

「何?!」



何でそれを早くいわねけんだよ!とハレルヤは一目散に、メディカルルームへと走った。








「アレルヤ!!」




「ハレルヤ、早かったな。」


「アレルヤ!!」



ハレルヤは、目が覚めたアレルヤを確認すると、アレルヤの目線にあわせて膝を追った。
アレルヤの瞳は寝起きのせいなのか、まだ定まっていない。


「お前・・・無事でよかった。」


ハレルヤは、周りの目なんて関係気にしないで、アレルヤを力強く抱きしめた。
いつもの乱暴者のハレルヤしか見たことない、クルーたちはこの優しい声に驚く。


「ハレル・・・ヤ?」

「ああ、そうだよ。俺だ、アレルヤ。」


アレルヤはゆっくり、ハレルヤの顔を撫でた。
そしてゆっくり微笑んだ。


「ハレルヤ・・・会いたかった。」

「あぁ、俺も会いたかったぜ。」



破棄されそうになったハレルヤは脱走を試みた。
処分されるのは、ハレルヤの方だけだった為に二人は離れ離れになっていた。

一緒に連れて逃げられなかったハレルヤはずっと後悔していた。


そして誓ったのだ。

生きて、生き延びて、力を手にて必ずアレルヤを取り戻して見せると!


「ね、ハレルヤ・・ここは、どこ?」


「大丈夫だ。アレルヤ・・・」



今度こそ、今度こそ俺がお前を守ってやる。


















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ハルヤが、人革アレルヤをお持ち帰りする話が書きたかっただけ。
脱走で離れ離れになったハレアレ。
ハレがガンダム乗ってて、アレは超兵だけど、見目綺麗さに芸術品扱いで戦闘には出ていない。
完成体になったアレルヤを運び込もうとしたところ、ハレルヤに見つかったって感じ。

アレルヤの服は、ギアスのC.C.の着ていた拘束服がいい。





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