好敵手は美しい女だった  おまけ蛇足編 不運の委員長



雲雀はむくろにの頬を叩いたり、体をゆすってみたりしたが骸からの反応はない。

「ワォ。完全に気を失っているよ。」


雲雀はまず自分の身なりを整える。
キッチリとベルトまで締め終えると、マジマジと骸の顔を見る。
今までどうして女の子だと気付かなかったのが不思議なくらい綺麗な顔をしている。

こうやって無防備にしている顔は女の子そのものだった。


「骸・・・。」


もう一度、頬に触れて唇に自分の唇を重ねようとした時だった。



「よ!ヒバリいるか〜?!」

「ちょっと獄寺君、せめてノックぐらいしないと・・・!!」

「あはは・・・ツナは相変わらず心配症なのな。」


「あれ、いねーの?」


ノックもなしに入ってきたのは、雲雀がブラックリストにチェックをしている三人組。
勝手に入ってきたことと、そして・・・また・・・・


「やぁ、誰が入っていいといった?」

「ひぃ!!!すみませんすみません!!」


雲雀のいつも以上に険しい顔に綱吉は顔を青くさせて頭を下げた。

「十代目が頭を下げる事なんてないっすよ!」

「君達・・・悪いんだけど、僕はね今とっても機嫌が悪いんだ。」

「ひいい!!!」

トンファーを構え、ゆっくり綱吉達に近づく。

「この前の骸の部下といい、草壁といい、君達といい・・・・
 今ここで全てのイライラを君達にぶつけるとするよ。」


「ええ!!ってその骸の部下と草壁さん俺達には関係ないじゃないですかー!!」

「つべこべうるさいよ!!咬み殺す!!」


綱吉の突っ込みも無視して、雲雀は綱吉達に襲い掛かる。
こうなればと、獄寺は持っていたダイナマイトで庇ったが、逆に雲雀のイライラを悪化させた。

「死にたいようだね。」

「へ・・・!」

「あ〜あ〜、ちょっと待てって先輩。」

「フン。知らないね。」

トンファーを構えなおして、獄寺、参戦して来た山本に雲雀は襲い掛かる。







「〜〜〜!!!〜〜!!」

「・・・・・・・・・。」

「・・!!!・・・・・」



騒がしい音がする。
骸は重たい瞼を一生懸命開けようとするが、なかなか上がらない。
体が疲れているのか、脳が信号をだしても体が動いてくれない。

(こんなのは久しぶりですね。)


「全く、雲雀のヤツは女の扱い方もシラネーようだな。」

「アルコ・・バレ・・・ノ・・?」

「チャオッス。骸、ずいぶんと雲雀に可愛がられたようだな・・。」

「え・・・あ・・・・。・・・・・ぁ・・・。」


骸は朦朧として、リボーンの話を聞くだけで精一杯だ。
リボーンもそれが分かっているから、骸には返答を求めていなかった。
骸の一緒にソファから、四人の攻防戦を観戦している。


「おい、ダメツナ。そろそろ帰るぞ。」


「わーーー!!ってリボーンお前ドコいってたんだよ。」

「ちょっと、邪魔しないでくれる?赤ん坊。」

「雲雀もまだまだだな。」

「ワォ、何が言いたいの?」

「さっきから骸が苦しそうだぞ。」

「え・・?骸いるの?」


言われるまで気付かなかった。
いつもなら不気味な気配が綱吉の直感を刺激するのに、今回はコレがなかったので気付かなかった。


「あ・・アルコ・・・。」


「えええ!!!」

「げ・・・!!!」

「ああ・・・!!」


リボーンの隣には、ソファで半裸になってる女の子。
スカートは辛うじて穿いているが、ブラジャーは上に上げられて胸は丸見え。
ショーツも下げられて足首辺り、いたるところにキスマーク。

顔は赤く、苦しそうだ。心なしか瞳が潤んで色気が増している。
あれ・・・そのお腹にあるものは何でしょうか?

あれ・・?その女の子骸に似てませんか?
クロームじゃないよね?



「雲雀、女の初めては相当辛いモンなんだぞ。お前が優しくしてヤンネーと可哀相だ。」

「・・・クフ・・貴方・・に・・しんぱ・・され・・・とは・・。」

「骸、もう喋るんじゃねぇ。辛いだろ寝とけ。」

「クフ・・フ。では・・そうさせ・・・いただ・・・・・・・。」



応接室は静まりかえった。


「えええ?!あの綺麗な子、骸なの?っていうかちゃんと服きてよ!!!!」

「おいおい、アレマジで骸かよ!」

「ハハ、最近雲雀が妙に骸に対して態度が可笑しかったのコレだったんだな。」



「で、君達僕の骸を何ヤラシイ目でみてるんだい?」


「いや、そんな事ないです!!」

「っていうかお前が脱がせたんだろ!」

「骸って色っぽいのな〜。」

「野球バカ!お前ダマレ!」



「咬み殺す!!」



ソレからの雲雀のいつも以上に不機嫌さと、骸を見られた悔しさがいつも以上のパワーがでて三人を秒殺した。
ソファからリボーンが拍手を送る。

「赤ん坊、君もそこからどいてくれる?」

「男の嫉妬は見苦しいぞ。」

「何とでもいいなよ。」

「骸のヤツも可哀相にな。こんな奴に惚れられちまって・・・。」

「ワォ、何がいいたいの。」

「骸にご愁傷様って伝えとけ。」

「フン。」


雲雀は骸の服を調えて、携帯を取り出した。
草壁にタクシーの手配をしてもらう。


「赤ん坊、この草食動物達に伝えておいて。骸は僕のモノだって。」

「ああ、いいぞ。それと雲雀、今度はちゃんと優しくやった方がいいぞ。」


ニヤっとリボーン笑う。
赤ん坊に男と女の関係で口出しされるとは思っても見なかった。

「ワォ、僕に口答えするなんて君くらいだよ。まぁ君のいう事は絶対だからね。一応覚えておくよ。」

「ん・・・雲雀・・く?」

「起きたのかい?骸、一回お風呂入ろうか?」

「はい・・・ベタベタして・・・。」

「じゃ、帰るよ。」

「はい・・・。」


「じゃぁね、赤ん坊。」

「ああ、またな。」


雲雀は骸を抱えて応接室から出て行った。
部屋にはまだ綱吉達が伸びている。

綱吉が目をさましたのはそれから数時間経ってからだった。


「あれ・・・?ヒバリさんと骸は?」

「ヒバリなら骸を連れて帰ったぞ。」

「えええ!!」

「ホラ、獄寺と山本も起きろ。」

「しっかしビックリしましたよ。骸が女だったなんて。」

「胸大きかったよな。」

「山本、お前それヒバリさんの前で言わない方がいいぞ。」

殺されるから・・・。
が、三人の脳裏にはあの半裸状態の骸の姿が焼きついている。

忘れられそうにない。

そして、雲雀に新しく三人の恋敵が出来たのはいうまでもない。









---END---

どこまでも不運な委員長
この後、雲雀は自分の部屋に骸を連れ込んで
一緒にお風呂に入るんですよきっと(笑)


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