好敵手は美しい女だった 4 あれから雲雀のアプローチはイヤと言うほど続いている。 雲雀から会いにくる事が多い。 せっかく家に出ないようにしていても、雲雀がコッチに来るなら意味がない。 最近は以前のように出かけるようになったが、雲雀に出くわす確立が多い。 ・・・完全にストーカーと化してきていた。 それでもまだ携帯に気持ち悪いメールや電話をよこしたりしていないし、 家の近くで見張っているような事をしないところを見ればまだマシだろう。 ある一つを覗けば・・・・ 「スミマセン〜宅急便です。」 「骸様、また来ています。」 「また・・・ですか・・。」 「えっと雲雀恭弥さんから六道骸さん宛に荷物が届いています。」 ・・・嫌なくらいのプレゼント攻撃。 始めは怖くて中身を見れなかったが、こう立て続けにされるとダンボールが邪魔になるので開けざるを得ない。 ガムテープをはがして蓋を開けてみれば、綺麗な服やアクセなど女の子が大好きなものがたくさん 一式そろえられている。 どの品物も高そうだ。 化粧品から、靴までブランド品。っして、どこで情報を仕入れてきたのか、 ちゃんとしたランジェリーショップで仕入れてきた下着・・・・・。 サイズがピッタリだったことに腹立たしい。 この前、応接室で手当てをされたときにちゃっかりサイズを測られてのだろう。 骸は恥かしくなって、持っているブラを投げつけた。 「え〜い!!こんなもの僕にはいりません!!」 部屋の中はすっかり、可愛いもので埋め尽くされてしまった。 ちょっと前まで、シンプルまではお世辞にもいえなけど、殺風景な部屋が懐かしい。 この雲雀の骸に対する扱い方が手のひらを返すように変わっただけでも十分驚いているのに、 こんな事されてはたまったものじゃない! ワナワナと骸の体が震える。 「骸様・・・・?」 心配した千種が声をかけるが、そこまで心配する程の事ではなかった。 「・・・僕、雲雀君の所に行ってきます。」 「危険れす!!骸さん!!」 今にもプッツンしそうな骸に、犬は慌てて骸を押さえつける。 冷静さを取り戻していない骸一人で、雲雀恭弥のところになんか行かせられない。 付いて行くと千種と犬は言い出したが、骸は断った。 ここまでコケにされては堪らない。 いや、実際雲雀はコケにしているんではなく骸を可愛がりたくて仕方無いのだが、 骸には嫌がらせとしか見えない。 それに二人の言う通り、お供を連れて並盛に行っても、 『やっぱり君は女の子だね。僕と二人で会うのがそんなに怖い?』 そんな言葉が出てくるのを容易く想像できる自分がいやになった。 そしてこんな事いわれてたまるものか! 骸は今まで貰ったプレゼントを、大きな紙袋に詰め込んで、 いつもの黒曜中の男子制服を着て、家を出て行った。 「雲雀恭弥!!」 「ワォ、君から訪ねてくるなんてやっと僕のモノになってくれる決心がついたの?」 「違います!自惚れるのもいい加減にしてください。コレを返品しにきたんです!」 両手イッパイにつもれた紙袋を、テーブルの上に置いた。 「それ僕が君に上げたヤツじゃない。それは君のだよ。」 「だから、要らないと言っているんです!」 返しに来たと言ったの聞こえなかったんですか? と骸は言ったが、雲雀は興味のなさそうに骸が持ってきた、紙袋の服を手に取った。 そして、思いっきり破いた。 「え・・・?」 雲雀の行動に骸は固まった。 そしてすぐにそれをやめさせる。 「ちょ・・何してるんですか!!」 「・・・君が要らないって言ったんでしょ?捨てるんだよ。」 「な・・・もったいないです!お店に返せばいいでしょうに!貴方ならカウウターに置いていくだけで終わりじゃないですか!」 ブランド品の品物を構わず破り捨てる雲雀の神経は、骸には理解できない。 口で言っても雲雀はやめることなく、アクセサリーのチェーンを切り刻み、靴は原型を留めることなく無残な姿と化していく。 「・・う・・〜〜!!!分かりましたよ!!!着ればいいんでしょ!着れば!!!だからやめて下さい!」 「だったら始めから、ちゃんと着てきてよ。」 その台詞待ってました。とでも言うように骸に服を渡した。 「せっかくだから僕がコーディネートしてあげるよ。」 これとこれとと、雲雀はイヤに機嫌がいい。 一通り選び終わると、まとめて骸に渡した。 「今着てね。」 「・・わかりました。」 応接室を出て行こうとすると、雲雀に腕を掴まれた。 「何してるの?隣の準備室使えばいいことでしょ。」 着替えようと見せかけてバッくれようとしたが、それすらも許してくれないらしい。 観念した骸は大人しく、雲雀から渡された服を着る事にした。 「・・・・どうして下着まで有るんです。」 ブランド品の下着。 色は雲雀の好みだろうか?黒を中心に上品なレースを使っている。 ショーツも肌触りがいい生地を使っているのが分かる。 ミュールも可愛いデザインで、アクセも流行のゴツゴツした大きい飾りが付いても 綺麗なデザインだ。 メインの服は、黒を地に白のレースが入ったワンピース。 雲雀は女の子らしい子が好きなのだろうか? それなら他を当たって欲しい。 「・・なんていったらまた怒りますよね。」 恥かしいながらも、着替えを終えて雲雀の前にでた。 「ワォ・・・いいね。似合ってるよ。」 「もういいでしょ。」 「何言ってるの?着たばっかりじゃない。暫くその格好でここにいてね。」 「何でですか!」 「わがまま言うと、その格好のまま放り出すよ。だからこれは預かっておくね。」 いつ持ち出したのか、雲雀の手の中にはさっきまで骸が着ていた黒曜中の制服だった。 「返してください!」 「ここで暫く大人しくしてたら返してあげるよ。」 どうも雲雀のペースに流されているような気がする。 こうなるから、やっぱり千種と犬も連れてくれば良かったと、骸は今更になって後悔した。 大人しくソファに座ると、雲雀は満足して風紀の仕事を始めた。 「後で草壁にお茶とお菓子持ってこさせるから。」 「そうですか・・・って!それじゃ草壁君に僕の今の格好見られてしまうじゃないですか!!」 そんなのイヤです!と骸は反対した。 確かに、骸の世間一般が認識している性別は男。 今の格好をみたらイヤでも女と認識されてします。 他の誰かに今の可愛い骸を見られるのは、雲雀も嫌だった。 「仕方ないね。じゃ、別の事して暇潰そうか。」 「え・・・?」 気付いたときにはヒバリン顔は、至近距離。 本当この男、気配を消して近づいてくるのが上手い。 後ろはソファの腰掛、今の骸の状態はソファに浅く座っている状態。 雲雀は腰をかがめて、顔と顔が近くなるようにしている。 「そうやったら、君綺麗なのに・・・なんでこういう格好しないの?」 「貴方、僕の今までの話しちゃんと聞いていました?」 「さぁ?」 「・・・。もういいです。」 まだ腕を掴まれてはいなから、脱出は可能。 一瞬の隙をついて逃げたいが、雲雀に一瞬どころがマイクロレベルの隙さえ見つからない。 このままでは本当に逃げられない。 こうなったら、せーので思い切ってヅラかろうと極めた時だ。 足の間に雲雀が割り込んでくる。 「え・・・。」 「うん、こっちの方が事は運びやすいよね。」 「意味が分かりません。」 「後で、イヤと言うほど分からせてあげるよ。」 「遠慮します。」 「そういわずに。」 雲雀はソファに膝を乗せて、骸の背中をソフォに押さえつけた。 あぁ・・・もうこれで完璧に逃げ道は無くなった。 「イヤです・・・放してください。」 「分からせてあげるって言ったでしょ?」 骸の怯えた顔を見るのも楽しみの一つだから、簡単には離さない。 強がっていても、瞳の奥にある感情は恐怖を映している。 骸は女として男と接するのになれて居ない。 男と女として事を運ぶ事に酷く恐怖を抱いている。 ソレが、ここ数日でわかった事だった。 「怖がらなくても優しくしてあげるよ?」 「こわがっていません。」 「嘘、バレバレだよ。声が震えてる。」 骸の頬に雲雀の手が触れる。 一瞬、ビクっと骸の体が震えた。 「今度は邪魔者もいないし、逃がさないよ。」 「いや・・待って下さい。」 「イヤなら、全力で抵抗すれば?君なら出来るでしょ?変な術を使うとかさ?」 「あ・・・ん!!!」 イヤなはず、怖くて堪らないのに、骸は抵抗出来なかった。 与えられるキスに頭をクラクラさせながら、自分自身に問いただしたが答えは返ってくるはずも無い。 (どうして・・・?) |
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