「う・・・・ん。」


ここはドコだろうか?
敬は最後の記憶を手繰よせる。


好奇心に負けて不審な男達の殺人現場に遭遇した。


(ああ、そうだ。)


結局見つかって、口封じに殺されたのだ。


「と、すると・・・ここは天国?」



辺りを見ると、木々が生えていて人の気配がない。
でも壮大な草原というところではなかった。


敬が倒れているところは丁度建物のところだ。

敬には始めてみる建物だ。

「ジャポーネの神社というものに似ている・・。」


やっぱりここは天国なのか?
神を纏わる場所に倒れていた敬。


「とりあえず、中に入って・・・・。」


扉を見つけた敬は、中へ入ろうとしたが扉を開けた瞬間、頭に衝撃が走った。


朦朧とする意識の中、二人の男の会話が少し聞こえた。




「・・・恭さん!まだ、こんな小さな子供を・・・・。」

「哲、君も見たでしょ?この扉開けようとしたのを・・・。」

「しかし・・・。」

「入り口がバレたんだ。ただじゃ返さない。哲、このガキ運んでおいて。」

「・・・分かりました・・・。」



それから敬の意識は完全に途絶えた。











敬の意識が戻ったのは暫くしてからだ。
起き上がると頭がズキズキと痛みが走る。

後頭部を思いっきり叩かれたようだ。
幸いにも手当てはされているようだ。

頭に包帯が巻かれている。

ジャラっと音がした。
手首を見ればそこには・・・・。

「・・・!!」

手錠をされている。
デザインが普通の手錠出じゃない。

なにか石が入っていて青く光っていた。

しかし、今はそんな事気にしている場合じゃない。


「それにしても・・・ここは?」


畳と呼ばれる部屋にいるらしい。
ご丁寧に、布団まで。



障子が開くと、人が入ってきた。


「良かった、気がついたんですね。」


入ってきたのはインパクトのある髪形をした男だ。


「あの・・・ここは・・・。」

「私は草壁といいます。手錠はご了承ください。」

「・・・??別に・・いいですけど・・・こんな手錠に装飾って・・・意外に変なところでお金をかけるんですね。」


「・・・!!!」


草壁が、この建物のトップと会わせてくれるようだ。
しかしこの草壁という男。さっきから人の顔をジロジロとよく見てくる。


「あの・・・僕の顔に何かついてますか?」

「あ・・いいや。気分を悪くさせたのならすまない。」


足にもしっかりと足枷を付けられて思うように動かない。
草壁は歩きにくい敬のペースに合わせているようだ。


「ね、一つ聞きたいんですけど。」

「何だい、坊主?」

「ここって天国。僕これから神様に会いにいくの?」

「へ・・・・?」



摩訶不思議な事を聞いてくる敬に、草壁は返答に困る。
ココは並盛神社の地下・・・・。

それはトップシークレット。


「ここは・・・とある場所の地下室だよ。詳しい事は恭さんに聞くといい。」



草壁は立ち止まると、部屋の中にいる人物に入室の許可を貰っていた。
許可が下りたのか、草壁は襖というものを開けた。


「失礼します。恭さん、例の少年を連れてきました。」

「うん、哲もここにいて。」

「わかりました。」



「え・・・・・・!」



草壁に恭さんと呼ばれた人物。
おそらく、この”恭さん”という人がここのトップなのだろう。


「え・・・・。」


敬は開いた口が塞がらなかった。

恭さんと呼ばれている男は、あまりにも敬と似ていた。
強いて言えば、まるで生き写しかのようだ。


「君、ここに座ってくれる?」

「はい・・・。」



敬は、指示通りに座ると。突然トンファーを突きつけられた。



「君は一体何者だい?」

「恭さん!!」

「黙って哲。アルコバレーノという例外もある、
 子供に見えてとんでもない戦闘力を持っている可能性もあるんだから。」



殺気を投げつけられて、敬は言葉も出ない。
全身から冷や汗がでてきた。


この男は危険だと警報がなる。


さっきの殺人現場の比じゃない。


(殺される!!)


カタカタ震えだす敬に男は手加減をしない。


「正直に答えないと咬み殺すよ。」


「ぼ・・僕は・・・・・名前は、け・・い。」

「そう、どこのファミリーだい?」


泣きながら喋る敬に、男の尋問は続く。

「ファミ・・・リ?・・かぞ・・くはママン、ひとり・・。」


(こわいよ・・かあさん・・・!かあさん!!)


「恭さん、もうやめてください。その子はどう見ても、普通の一般人の子供です。」


ヒットマンとして育てられたのなら、簡単ににファミリーの構成を吐くわけが無い。
どうみても殺気を全身に浴びて怯えきっている。


「哲・・・それじゃ、アレはどう説明するんだい。僕は納得いかないよ。」

「しかし・・・この手錠の雨の石もなんの役にも立っていない。」


手錠に沈静の効果を持つ石を填めて、炎の効果を向こうにさせる手錠。
でもこれも何の役にたっていない。


「普通の子供なら、ここの入り口を開ける事なんて出来ないんだよ。」



そう、敬が開けようとしたのは並盛神社の境内ではなく、
風紀財団地下アジトへの扉だったのだ。


その扉は普段は見えない。


ここの財団のトップ雲雀が霧のリングを使い、入り口は誰にも分からないようにしている。
一般人からは決して見えることのない扉。


それをこんな小さな子供が、開ける事ができたのだ?

戦闘経験がない事は認めよう。
それならどこかのスパイの幻術師かもしれない。

この怯えている姿も計算のうちなのかも知れない。

雲雀は決して気を緩めようとしない。


泣き出している敬を見ても、雲雀はトンファーを握っている手を緩めない。

「恭さん、もうやめてください。こんな子供相手に・・!!」



「はぁ・・・もういいよ。でも、君が白状するまでココから出さないよ。
 手錠も足枷もそのままだ。君の部屋は独房だよ。」


「恭さん!!」


「・・・1000歩譲ってこの待遇なんだからね。なんならここで殺してもいい。」


「・・・!!!!」


「・・・分かりました。では、この子の世話は私がしてもいいですか?」


「フン、好きにしなよ。」


雲雀はソッポ向くという事は、もう出て行っていいという合図だ。

「いこう、ケイ君といったね。」

「・・・ヒック・・う・・・。」

「では、失礼します。」



草壁は敬を連れて雲雀の部屋から出て行った。

自分の分身と言われてもなんも違和感のない少年。
自分とは正反対の泣き虫な弱い少食動物。


「なんなのさ、あの子。」


雲雀と瓜二つな顔して、瞳は・・・・・


藍色の髪を持ったた彼女と全く同じ青い瞳をしていた。















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