寂と淋




時々泣きたくなるんだ。
寂しくて、淋しくて・・・・



夜になると、それは突然襲ってくる。
脅威となり自分をなくさせる。


人肌が恋しくて堪らないんだ。
でも、誰でもいいってわけじゃない。

女の子は別にいいよ・・・
可愛いし、笑顔を見てるとこっちだって幸せな気持ちになる。
抱き締めると暖かくて、心地がいいんだ。
男は・・・イヤだ。
変な視線でこっちを見る。

視線が痛い
俺が10を過ぎた頃から、騎士団の俺を見る目が変わった。
それも可笑しい、奴らは初めから可笑しかった。
嫌な笑いを浮かべ、怖かった。



小さい頃、夜になると変な声が聞こえてきたんだ。
怖くて聞かないように一生懸命だった。
けど、それが毎日続くから好奇心が働いてこっそり見てしまった。


「・・・・〜!」


見なければ良かったと後悔した。
視界に入ったものは、男同士が裸で何かしているということしか認識できなかった。
しかし、幼いククールにはそれだけで十分恐怖を与えることが出来た。
見つからないように、この場所から離れて走った。
怖かった・・・
恐ろしかった・・・・


「・・・ッう・・・・・。」




あれから夜起きることはやめた。
思い出したくもないから・・・・・

しかし、そのことがあって俺は夜になると怖くなり泣くようになった。
見かねたオディロ院長は暫く一緒に寝てくれた。
とても暖かくて・・・・寝心地が良かった。
修道院へきてから、一人だったから・・・・
初めて会ったマルチェロは、今は手のひらを返すように冷たくなった。

後になって腹違いの”兄”ということを知った。



たとえ、完全に血がつながらなくったって家族の存在を知って嬉しかったのに・・・・・
マルチェロは自分の存在自体を否定している。
俺は普通の兄弟として・・・・・・
っていうか普通の兄弟ってどんな感じなのかな?なんて考えていた時もあった。
そうだったら、もっと一緒にいたりして、笑って、優しい言葉を言ってくれたり
「お兄ちゃん」・・・・て言ったり出来たのかな?



無理なことだ。




今でも夜は怖い

あれがトラウマなんだよ。
思い出す。

あの時の恐怖を・・・・・・・・・・



それに追い討ちをかける出来事が起きたんだ。


マルチェロに呼ばれて、部屋に入った。
マルチェロは机の上にあるたくさんの書類を眺めている。
「遅かったな・・・何をしていた?」
「すみません・・・・」


夜は怖いんです。

「まあ、いい・・・・・」

マルチェロは俺に近づいてくる。
マルチェロは一人部屋だった。


他の団員は数人で一室となっていが・・・・今はそんなことを考えているところではない
こんな広い部屋に一人なんて・・・寂しくないのだろうか?
俺だったらイヤだ。




「なんなんだ?その目つきは・・・・」
マルチェロはどうやらククールの視線が気に入らなかったようだ。



「こんな広い部屋に一人で居て・・・・寂しくないの?」
「・・・・・・」

マルチェロは口ごもった。

「お前には関係のない・・」



「僕はいやだ・・・。広い部屋はいいけど一人ぼっちなら寂しくて・・・・・」





「夜はイヤだ。」



「ククール黙れ・・・」



「怖いんだ・・。」



「そのような話しが聞きたくて、呼んだのではない・・・・・。」




「??」



「今日はもういい・・・」

「え・・・?」



でも、マルチェロの顔はそこまで不機嫌ではなかった。
むしろ少し嬉しそうだ?


「淋しいのなら、夜ここへ来ればいい・・・・。」
「!!」
「いやか?」


「ううん!!いいの・・・?」
びっくりした。
本当かと一瞬耳を疑った。

「ああ・・・」


やった・・・
ククールは部屋に戻り今日は、恐怖に涙することなく眠ることが出来た。

明日からはマルチェロが一緒なのだ。
不安に怯えることなく眠れる。
そう考えるだけで胸が弾んだ。






でも、そんなに話しがうまくいくなんて思っていたら大間違いだった。
マルチェロは見事にククールの期待を裏切った。
幼いから、純粋だか、先入観とか疑うということを知らない。

次の日、就寝時間にマルチェロの部屋へ訪れたククークに待っていたのは、
あの日見た恐怖の光景に塩をすることだった。
初めは何をされているのかわからなかった。
”痛い”という感情だけが支配され、一晩中すすり泣いた。
叫んでも、わめいても、途絶えることはなかった。


後なってこの行為の意味を知った。
マルチェロから直々に・・・・・・

・・・・ああそうか、だから他の騎士団員も俺のことそんな目で見てたのか
納得だよ。
この見かけのせいで俺は女扱い
長い銀髪でサラサラの髪の毛は、後姿だけで女と間違われる。

でも、他の奴らが俺に手を出さなかったのは・・・・・オディロ院長が俺も守っててくれたみたいだった。


そんなこと、マルチェロの前では・・・・意味はなかったみたいだ。



















そして今日も俺は此処へ・・・・マルチェロの部屋へ行くんだ。




すっかり慣れてしまったこの体は、マルチェロを欲している。
俺もあいつが欲しい。






だって、一人で寝ずにすむ。
気絶するまで快感に襲われる。

あいつの肌の熱さが安心感を与えてくれるんだ。









「・・・・・・・・・また来たのか・・・・まぁいい・・・入れ。」


マルチェロは意地悪な笑みを浮かべながらも部屋へ入れてくれる。





早く抱いてくれ・・・・寂しすぎて死んでしまいそうだ・・・・。













---------------------------------END---------------------------------


暗い・・・・・
いや、もともと痛い・暗い話しを専門に書いてたから・・・!!
まだまだ序の口!!

しっかしククールも黒くなっちゃったなぁ〜薄暗いです。
こういう暗い話しのほうが好きな私は、ドラクエジャンルに受け入れてもらえるのだろうか・・・?


マイナー万歳!!
受けの黒ククールも大好きです!!


だれかこの管理人を救ってやってください・・・・





BACK