Light Of Love





分かった。
今分かった。


仮面の中の彼の素顔。



ユーフェミアは岩の上にいる、ゼロを見上げた。


「ルルーシュ・・・ルルーシュでしょ?」


どうしてもっと早く気付いてあげれなかったのだろう?
ゼロは戸惑って、銃をユーフェミアに向けた。
撃たれてもいい。顔が見たい。


ゼロはユーフェミアの願いを聞いてくれた。
仮面を取ったのだ。
そこに現れたのは、ユーフェミアの記憶にある一つ離れた異母兄の面影を残す青年だった。

「ルルーシュ・・。」



嬉しかった。
生きていた事。
彼は今は、ユーフェミアの知っているルルーシュと言ってくれたこと。
優しかった彼は、マントを貸してくれた。


ソコにはまだルルーシュの温もりが残っていて、ユーフェミアにはくすぐっわかった。
彼がここにいる。

ユーフェミアにとってはそれは重要だった。
幼い頃から恋焦がれていた兄。
皇族の紫を、一番濃く受け継いだ美しい兄。
ユーフェミアはルルーシュに惹かれていたのだ。


それは今になってもかわなない。
クロヴィスが残した、マリアンヌ后妃とルルーシュ、ナナリーの絵画をユーフェミアは自分の部屋に飾っていたのだ。
絵の中の三人は、とても幸せそうに笑っていた。
ルルーシュはちょっと、生意気そうにすました顔をしていたが・・。














「星は・・・かわらないのですね。」
「あぁ・・。」


「ルルーシュ・・・もう、あの頃には戻れないのですか?」


夜になって、大きな岩がある砂場にユーフェミアは横たわっていた。
ルルーシュはそんなユーフェミアを見守るように、岩に腰をかけている。


「そうだね・・・。戻れたら・・・どんなにいいか。」


ルルーシュの本心だとユーフェミアは思った。
もともとは心の優しい人なのだ。彼は。
何故こんな心を殺してまで、鬼になろうとするのか・・・
ああ。そうか、恨んでいるのだ、彼は・・・ブリタニアを、皇族たちを・・・復讐をしているのだと・・。



「ルルーシュ・・。」

「なんだい?ユフィ。」


「私は、明日になるのが怖いです。」






「だって明日になったら、ルルーシュと離れてしまうかもしれない。私を・・・・・探しにブリタニア軍がここに・・・・・。」



そうしたらまた、ルルーシュと離れ離れになってします。
ルルーシュは今、ブリタニアが最も危険因子と見なしている世界的指名手配犯。”ゼロ”


「私は嫌です・・・。ルルーシュと離れるのが・・嫌です。」


「ユフィ・・。」


「まだ・・いえ、ずっとずっとルルーシュと一緒にいたいです。」



ユーフェミアは泣きながら、ルルーシュを見上げた。
ルルーシュの顔は、どうしたらいいのか酷く困惑している。
泣く妹を抱きしめてやりたいのは山々だが、今は敵同士。

一時の感情で、情が移り、後になって後悔してしまうのではないかと、ルルーシュは怖かった。
ユーフェミアを包んだら・・・・・・。


クシュンとユーフェミアはくしゃみをした。
無人島の夜はとても寒かった。
ルルーシュは全身で、厚く着込んでいるが、ユーフェミアは長袖だが、胸元と背中は開いている。
マントを貸しているが、それは砂の下に引いて服が汚れないようにしていた。
ユーフェミアの上にかけるものが何も無いのだ。

ちょっと様子を見れば、昼とは若干顔色が悪かった。
震えて、両腕で自分を暖めていた。



「ユフィ・・。寒いのか・・・?」

「いえ・・・大丈夫です。」



そういっても、ここには火をたいて暖める事も出来ない。
いや理論的には可能かも知れないが、今のルルーシュにはそんな体力は残されていなかった。
正直、ルルーシュも少し寒いと思っている。


途方もくれるような、広がる自然。
その中に孤独を感じさせた。



「心細いか?」
「いいえ・・・ルルーシュが居ます。」

「そうか・・。」



ちょっと強がるユーフェミアに、クスリとルルーシュが笑った。
ルルーシュの笑顔を見るのは、本当に何年ぶりだろうか?

街のように外灯もなく、真っ暗な闇の中に月明かりがルルーシュたちを映した。
月に照らされるルルーシュの微笑んだ顔はとても綺麗だった。

冷たい夜を映えさせる、ルルーシュの微笑み。
それはユーフェミアをうっとりさせるには十分だった。





「・・・〜・・〜・・・。」

「ユフィ・・・?」

「大丈夫です。ルルーシュ。」



ちょっと風が吹いていたのだ。
昼間はあんなにも暑かったのに、この差はなんだろう?
まるで砂漠にいるような環境だった。



「ユフィ・・・寒いんだろう?無理するな。」


ルルーシュは、岩に腰掛けるのをやめて、岩を背もたれするように、地べたに座った。

「ルルーシュ・・。」

「あっためてやる。寄り添うだけでも違うだろう?強制はしない。このまま寝るのもお前の自由だ。」



ユーフェミアは起き上がった。
目の前にいるルルーシュは、うっすらと笑って妹を甘やかしている兄の顔になっている。
”好きなほうを選べ”それはルルーシュが、ナナリーによく言っていた言葉だった。

その”妹”にユーフェミアも入っているのなら、ユーフェミアは遠慮はしなかった。



「ルルーシュ・・・寒いです。暖めてください・・・どうか・・。」

ルルーシュはユーフェミアに手を差し出した。


ユーフェミアはルルーシュの手をとった。
ルルーシュはそのままユーフェミアを自分の胸に引き寄せた。

「生憎、俺も少し寒かった。これであいこだよ。」
「ルルーシュ!」

「おっと・・・これを忘れちゃいけない。」


ルルーシュは身を乗り出して、砂浜に置かれているマントをとった。
そしてそれをユーフェミアを包み込むように、マントをユーフェミアに着せた。

「まって、ルルーシュ・・それじゃ・・。」
「いいだろう?大体お前の方が薄着だ。」


「・・・でも!!あ・・!!」
「??」


ユーフェミアは思いっきり、今くるまれたマントをとって、それをルルーシュの肩にかけさせた。

「ユフィ!!」
「それで私を包んでくださいな。それならルルーシュも暖かいでしょ?」
「・・・わかった。」


ユーフェミアの迫力のある笑顔に負けて、ルルーシュは渋々マントを装着して、中にユーフェミアをいれた。


「私こっちの方がいいです。」
「どうしてだい?」
「だってルルーシュに守られているみたい。」

「みたいじゃなくて・・・守ってるつもりなのだが・・・。」
「ヘヘ・・・そうでしたわね。」


人肌に触れたせいか、ユーフェミアの血色は先ほどとは大分良くなっていた。
ルルーシュもすっかり体が、温まっていた。


「ルルーシュは変わらないのですね。」
「何がだい?」
「優しいです。」

こうして気遣ってくれる。

「俺が本当に優しいなら、こうしてお前とも会っていない。」
「ルルーシュが優しくなかったら、私をこんな風に優しくしてくれない。それにすぐ殺してると思いますわ。」

「・・・まいったな・・。」

そういわれてしまえば、ルルーシュは言い返すことも出来ない。
今夜は、ルルーシュもユーフェミアもどうかしてる。



「ユフィ、眠れ。寝ておかないと、明日が辛い、明日必ずしも見つけてくれるとは限らない。」
「ルルーシュ・・・私はもっと、ルルーシュと・・・!」

「頼む・・・ユフィ。」


ルルーシュの切なげな表情に、ユフィは大人しく、ルルーシュのいう事に従った。
寝つきのいいユーフェミアは、環境が違えど、心を許している人の腕の中で、無邪気が寝顔をすぐに見せた。



「明日になれば・・・夢は終わる。」




ルルーシュは丘の奥で、人工的な光を見た。
ユーフェミアの捜索隊だろうか?
それなら明日、そこに向かいユーフェミアを返そう。


今でも自分に笑いかけてくれた、異母妹。
数多くの兄弟姉妹の仲で、ナナリーの次に大切だった”妹”

ナナリーもユーフェミアも”ここ”にいてはいけない。




一緒にいたいといってくれたユーフェミア。
ルルーシュにはその言葉は、嬉しくもあり、痛くもある。



それでも手放さなくてはならない。
正直嬉しかった。

残れといわれたら、ユーフェミアはきっと頷いてしまうだろう。
しかし、それはいけない。
どんなに間違ってもそれはしてはいけない。


























次の朝、ルルーシュはユーフェミアをつれて、光が見えた方向へと進んだ。
途中でスザクとカレンの組み合わせに会った。

なんとか、ユーフェミアをスザクに戻させて、カレンと共にナイトメアを強奪してブリタニア軍から逃げることが出来た。


コクピットの狭い空間に、ふわりと甘い香りがした。
その匂いは昨夜、腕の中に居た妹の香りだった。


「・・・まだまだ・・・俺も甘いな。」




















「ユーフェミア様?どうかされました?」

「え?」


嵐のように去っていったゼロを、ユーフェミアはずっと見つめていた。

「いいえ、なんでもないのです。大丈夫です。」
「ゼロに・・何か・・」


「そんな事はありません!あの人はとても私のことを気遣ってくれました!」

「!!」


突然叫ぶ、ユーフェミアに、スザクは驚いた。
まるでゼロを庇うような口調だった。

「ユーフェミア様・・・?」


「あ・・・ごめんなさい、スザク。でも、信じて下さい。ゼロはとても紳士でした。」

「分かりました。貴方がいうなら信じます。」
「ありがとう。スザク。」




また会う事は出来るのでしょうか?

もし、できるのなら





「今度は、私も連れて行って下さい。ルルーシュ。」




ユーフェミアは、誰にも聞こえないように、静かにつぶやいた。


















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長い・・・無駄に長い!そして話しの流れがなんかおかしい
睡魔と闘いながら書いてたから?
19話に本当にやられた。
多分きっとこれからもこのカプ増える。

世間様はユフィルルなのに、私の中では普通にルルユフィだった(汗)
いや、あれはどう見たってユフィルルなんだけどさ
ルルユフィだっていいじゃないか!
いや、ユフィルルユフィだろ!!

ユフィがルルについてきて、ユフィin黒の騎士団だとかやってみたい
面白そうかも・・・!!

誰がそんなの読むんだよ!




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