愛してるだなんて、言えない。 ”愛”を表現するには、何通りかの方法がある。 一つは口に出して、言葉で表す。 スザクの愛情表現は主に言葉からはじまる。 行動が伴う場合もあるが、基本的に無自覚に殺し文句をいう事が多い。 ルルーシュはスザクのそんなところを、恥ずかしながらも素直に嬉しいと感じる事がある。 人前でそんなことをされるのはゴメンだが、誰もいないところならそんな真っ直ぐな表現を受け入れたいと思っていた。 そう、思っていたのである。 夢だと思いたかった。 ルルーシュとスザクは、もう完全に違う道にいるのだ。 お互い好き同士であっても、超えられない壁がここにある。 世界に対する考え方が、二人の思想にはあまりにも違いすぎた。 相容れぬ道の中、ルルーシュだけが事の現実を重く見据えていた。 ルルーシュは知ってしまったのだ。 スザクはもう完全な敵である事を・・・。 変えられようの無い事実。 それを今度がスザクが知ってしまったら・・・? またスザクは傷つくだろうか? この前のマオの時のように崩れてしまうだろうか? 隠さなくては・・・ 例えどんなに辛い道に居ようと、スザクには知られてはならない。 ルルーシュはそう決意を固めたのである。 「ルルーシュは何も言ってくれないね。」 スザクは、自分の腕の中にいるルルーシュにそう呟いた。 「ね・・・ルルーシュ。好きなんだよ・・君の事・・。」 力強く抱かれる。 女々しいが、その背中の大きさや、腕の力の強さに安心した。 悲しそうに笑うスザクに、ルルーシュは少し罪悪感を感じたが、それでも出来なかった。 スザクを・・・スザクの愛を求めてはいけないと冷静になれと、もう一人のルルーシュがそういっている。 スザクは敵なのだと・・・ スザクの事は好きだ。それは今でもかわらないのに。 言いたい。言えない。 好きなのに・・。 「ルルーシュ・・・。」 何も言わないルルーシュにスザクは、腕の力を強めた。 「く・・・。」 ルルーシュはあまりの強さに、少し息苦しさを感じた。 「ルルーシュ。」 「スザク・・。」 ルルーシュはスザクの心配そうな笑顔を見て、また目を閉じた。 「スザク・・俺は・・。」 その後は続く事はなく、ルルーシュはスザクの首に腕を回し、スザクの胸に顔を寄せた。 そんなルルーシュを見て、スザクは少し笑った。 スザクにはこの反応だけでも、よかったようだ。 「好きだよ。ルルーシュ・・・大好き。」 本当はこの声にこたえてやりたい。 でも出来ない。 言ったら最後。 きっと離れなれなくなる。 敵だと知るのは、自分だけで十分と思った。 スザクにはもう苦しい思いはして欲しくない。 脆い秘密。 いつバレたっておかしくない。 でもほんの少しのひと時だけでも、この優しい腕の中にいたい。 いつか離れてしまう日が来るから、拒絶される日が来るから・・・。 だからこの束の間のひと時だけでも・・・・ スザクに愛されていたい・・・。 ------------------------END------------------------ だから何話の派生とか私には難しい。 捏造やパラレルじゃないと駄目なんですってば 短くて申し訳ない。 ランスロットのパイロットがスザクだと知って、その後二人だけであっていたら というルルーシュ視点みたいなものを、書いて見たかったのです。 スザクの「何も言ってくれないね?」を言わせたかっただけです。 っ時間的には、17と18の間ですよ。 本当はもっと切なさを出したかったのですが、文才のなさに諦めました。 |
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