あかりのお使い その日は偶然としかいい様がなかった。 休日で学校がなく、友達との約束もしていなかったので部屋でゴロゴロしてたのだ。 そんなあかりに、母親はヒカルの家におすそ分けを持っていって欲しいといわれたので あかりはヒカルの家に、母親の実家から送られてきた果物を持っていったのだ。 「あら、あかりちゃん。久しぶりね。」 「こんにちは、これうちの母からです。」 「まぁ、美味しそうな梨ね。どうもありがとう。せっかくだからお茶していかない?」 「いいんですか?」 「ええ、どうぞ。」 進藤家と藤崎家は昔から仲がよく、あかりもヒカルの母親と仲がよかった。 「お邪魔します。ヒカルは今日も仕事ですか?」 「手合いの日らしいの。」 「そうですか・・・。」 お茶を貰って、美津子と他愛ない話をした。 ヒカルは高校に行っていないため、あかりはよく美津子に高校の事をよく美津子に話していた。 ヒカルも高校に言っていたら、きっとこうだったのだろうなと思いながら・・・。 気がつけば一時間近く、話しこんでいた。 「あら、もうこんな時間。ごめんなさいね。引き止めてしまって。」 「いえいえ、私も久しぶりにおばさんとお話できて楽しかったです。」 「おい、美津子。ヒカルから電話だ。」 「え・・・。」 家の電話が鳴っていたが丁度、ヒカルの父正夫がでていた。 美津子に代わると、何かあったように困惑した。 「もう・・・ヒカルったら・・。」 「どうしたんだい。」 「あの子、定期だけ持っていって財布忘れていったみたいよ。」 今日は寝坊して時間ギリギリで出て行ったという。 「あの・・・良ければ私、棋院まで届けに行きましょうか?」 「そんな、あかりちゃんが気を使わなくてももいいのよ!」 「私一度、棋院に行って見たかったんです。」 あかりの申し出に、美津子は言葉に甘える事にした。 「じゃ、頼めるかしら?」 「はい。」 あかりは急いで家に戻ると、支度をして家に棋院へ行って来ると慌しく出て行った。 「あ〜もう、最悪・・・。」 「どうした進藤?何が最悪なんだよ。」 「財布忘れた。」 「バッカじゃねぇの?」 手合いが始める直前、ヒカルは財布が無いことに気がついた。 今日は寝坊して、慌しくいつも財布をチェーンにつけてという作業をしていたい事に気付いた。 「さっき家に電話したら、家にあった。」 「お前、昼どうすんだよ。」 「どうすっかな・・・塔矢みたいに昼抜きはきついよな・・。」 苦笑いする和谷にヒカルは今日の昼をおごれとせがんだ。 「マジかよ!忘れたお前が悪いんだよ!」 「そんな事言わずにな〜、この通りだよ!!!」 「はーなーれーろー!」 そんなヒカルの頼みも無常に、手合い開始の時刻は直前 ブザーがなり、対局開始。 次のベルがなるのは、正午だ。 「あ、あった。ここだ。」 あかりは場所を確認すると、門の前でとまった。 ヒカルの忘れ物を届けに来ただけなのに、なんか緊張してしてしまう。 時間を見れば、正午10分前。ギリギリ間に合った。 (電車の乗り換えスムーズにいけてよかった。) あかりは深呼吸して、棋院のドアを抜けた。 入ってみれば、普通の人もいるようか感じで一安心した。 よく見れば、食堂やグッズなども売っていて、碁会所のような場所もあった。 (へ〜棋院てこんな風になってるんだ。あ、いけない!) あかりは事務所のようなところを見つけた。 「あの〜、すみません。」 「はい、どう致しました?」 「えっと、進藤ヒカルの忘れ物を届けにきたのですが・・。」 「進藤君の?・・あぁ、ちょっとまってね。」 事務所の人が、スケジュールを確認して戻ってきた。 「今手合い中だけど、もう休憩時間になるから、なんなら放送かけて呼び出そうか?」 「い・・いいいえ!場所だけ確認できれば!!!携帯持ってますので!!!!」 「あはは・・そうだったね。うん、もう時間だ。今なら掛けても大丈夫だよ。」 「有難うございます。」 あかりは携帯を取り出すと、ヒカルの番号に掛けた。 いつもヒカルは電話に出るのに時間がかかる方だったが、今日は珍しく早く出た。 『もしもし、あかりか?』 「うん、そうだよ。今ね棋院にきてるんだ。一階にいる。」 『え・・?まさか・・・!!』 「そう、ヒカルの財布も一緒です。」 『マジ?!今すぐ行く!!』 そういって、電話が切れてから一分もしないうちにヒカルは一階に降りてきた。 「あかり・・!!!!!」 「ヒカル。」 「わ〜!!!助かった〜、これで昼飯にありつける。マジでサンキューあかり〜。」 ヒカルは財布にほお擦りするという気持ち悪い光景を見せてくれた。 「あ、そうだ。お前昼食った?なんなら、一緒に食う?」 「え・・・とその・・私は・・・」 ヒカルと一緒にランチ。 願っても無いことだったが、さっきから自分達が目立っているような気がするのは気のせいだろうか? さっき時間を教えてくれた事務員の人。 食堂にいる人たち、碁を打っていた人たちも皆コッチを見ている。 (なんで・・そんなみんなでコッチを見るのよ!) あかりはまだ知らない。 ヒカルは若手棋士の中でトップクラスの実力を誇り人気があること そしてその進藤プロと親しい、可愛い女の子がいるという時点で視線を集めていた。 「ヒカル・・ゴメンネ・・・。せっかく誘ってもらって嬉しいだけど・・・」 (この視線の中で、ご飯たべるのはイヤ〜!) 「そっか、お前にも予定はあるもんな、今度お礼するよ。」 「えっとじゃあ、最近新しく出来たところでね、パフェが凄い美味しいところがあるんだ!」 「わかった。じゃ、今度、学校終わったら迎えに行くよ。俺も予定見ておくから。」 「本当?ありがとうヒカル、じゃぁね!」 「あぁ、またな。」 少し急ぎ足であかりは棋院を出た。 (あぁ・・・緊張した・・・。しっかし、私ッたらもっとちゃんとした格好で来ればよかった。) 緊張と恥かしさで耳まで赤くなってしまったあかりだったが、 思わぬ、放課後デートという収穫を得て、あかりは上機嫌で家に戻った。 お ま け (進藤プロだ・・) (本当だ、一緒にいるあの綺麗な子だれだろう?) (もしかして彼女?) (進藤プロも隅におけないね〜) 上機嫌で、ヒカルはお昼ご飯にありつけると、外に出て行こうとしたが肩を掴まれた。 「し・・ん・・ど・・う・・・!!」 そこには怖い笑顔をした和谷と伊角、本田に門脇が居た。 「な・・・なんだよ!」 「説明してもらおうか?さっきの美少女とその財布・・・。」 「な・・・あいつが届けに来てくれたんだよ!さっき!!」 「へ〜進藤の彼女?」 「ば・・チゲーよ!幼馴染だっての。」 「普通、ただの幼馴染じゃここまで財布届けに来てくれないよ。」 「そうそう、好きな人だからじゃないの。」 「な・・・!!」 「あ、進藤顔真っ赤!」 「うるせー!」 「チクショウ!あんな可愛い子と幼馴染というおいしいポジションにいやがって嫌味かお前は!」 「あいつは美少女じゃね〜!!」 「お前〜!!!贅沢すぎるぞ!!よし、今日の昼はバツとして皆におごれ。」 「お、いいねそれ。」 「じゃ、僕も一緒にいいかな?」 「お、珍しくいいノリだな越智。」 「少しは痛い思いしたほうがいいと思ってね。」 「ヒュー、やるね。越智君。」 「もう、お前らだまれーーーーー!!!!」 結局、あかりだけじゃなく、皆に昼をおごるハメになるヒカルの姿があった。 ----------END---------- 収集がつかなくなったので終了 ひかりにはかかせない王道ネタを書いたみたかったので書いてみました。 ヒカルにあかりちゃんという幼馴染がいるという事実を知ったら、 きっと和谷たちは騒ぐと思う。 だって、あかりちゃん可愛いもん。 本編でもそうなってくれないかななんて、当時期待してました。 |
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