Angelica 11 大蛇丸の姿が見えなくなると辺りの異常なまでの殺気がピタリとやんだ。 サクラも緊張していたのが、膝をついて荒い呼吸をする。 「ハァ・・・ハァ・・。しんどい・・。」 兎に角一旦、ナルトとサスケを安全な場所へと運ばないと 次に敵が現われた時に危険だ。 サクラはよいしょと声を出して二人を担ぎ込む。 気配を消して、小さな音もたてないように。 「まったく・・・大変な世界ね・・。ここは・・・。」 大きな木を見つけると、丁度いい穴が空いている。 そこで休憩する事にした。 持っていたタオルで二人の額を乗せる。 水で冷やしているから大丈夫だろう。 「・・・目、いつ覚ますかな?」 横でサクラは見張りをする。 こんな大きな穴、見つけてくださいといっているようである。 「裏の裏を読むか・・・。」 大蛇丸の言葉を思い出した。 たしかにココの世界にはここの世界の戦い方、ルールがある。 「・・・よし、頑張ろう!」 悩んでたって悩みは解決しない。 とりあえず、誰かが近づいてきたときに直ぐに気付くようにトラップを仕掛けるようにした。 これで少し他人にダメージを与えれれば儲けものだろう。 術を発動させれば、誰かしら感づかれるから手作業だ。 女の子のサクラには結構辛いものがある。 「これで大丈夫かしら?」 サクラはとりあえず二人の様子を見に大きな木へと戻った。 二人ともまだ目は覚めていないが、サスケの顔色が悪い。 息が荒く、うなされている。 「サスケ君・・。」 禁術の呪いに関しては、サクラの力ではまだ解く事はできない。 簡単な呪いだったらサクラにも解ける事は出来たのに・・・ 「もう二階級上だったら、禁術も解けたのにな。ルルーシュ元気かな?」 智天使のルルーシュ。彼くらいの階級だったら、もっと強力な白魔法が使えただろう。 そいえばこの三ヶ月間、問題を起さなければ褒美がでる約束だったが サクラは天使の力を使ってしまった。 他の二人は上手くやっているだろうか? 「元気かな・・・?ルルーシュにククール。」 はっと考え事をしていた事に気付いた。 今は試験中だ。この一瞬の油断が命取りになる。 とにかく今はナルトとサスケの目が覚めるまで、一睡もできない。 「うう・・・眠い。」 大蛇丸と戦ったのが夕方ごろ。 どのくらいの時間が経っただろうか? 何度も睡魔に襲われ、瞼の重さにつられて眠りそうになるのを必死にこらえる。 小鳥のさえずりが聞こえる辺り、夜は明けている。 この大きな木が木陰となり、日差しが入りにくいのだ。 顔を洗おうと穴からでると、外を見上げれば朝日がまぶしい。 「あ〜・・。朝だ。」 大変なのはこれから、昼間は皆活動が活発になる。 まだ二人の意識が戻らないからここからは動けないだろう。 小さな小川を見つけ顔を洗い、少し眠気が冷めた。 戻ってみると一回、二人の頬を少し叩いたりしてみる。 少し反応を見せるが目をあける事はなかった。 溜息を漏らすと、聞き覚えのない声が響く。 「眠らずに見張りかい?」 ガバっと後ろを振り向くと、見覚えのない形の額宛に包帯の男。 いきなりサスケの命をもらうと言ってきた。 一人だけかと思いきや、もう一人髪を逆立てた男と黒髪の女が一人。 音符の形をした額宛の三人はこちらへ向かってきそうな勢いだ。 「君、全くの素人なの?」 「え・・・?」 質問されるとは思っても見なく、気を張っていた心が途切れた。 包帯の男が膝を曲げて座ると、地面を叩く。 「こことここで土の色が違う。掘り返された跡だろうね、初歩的ことも知らない君は子どもかい?」 包帯の男が周りの土が違う色に触れると、罠が土中から出てきた。 あっさりと見破られ、サクラは舌打ちをする。 こんな簡単にいくはずはないと思っていたが、相手は手ごわそうだ。 三人一緒に行動を始めサクラに襲い掛かる。 もう一つサクラは罠を仕掛けていた。 横にあった紐をクナイで切る。 そうすれば、三人の前には巨大な剣山がおそいかかる。 「うわぁぁあ!!!・・・・・ってなんちゃって・・。」 一瞬うろたえる動作をしのも束の間、あっという間に第二のトラップも避けられた。 「あ・・!!って言ってる場合じゃない!!」 サクラは手裏剣やクナイを投げつけるが簡単にかわされる。 「君、忍者の才能ないね。才能ないヤツはもっと努力するべきだよ。」 「お生憎様、私は忍になるつもりなんてないわ。」 「何?」 大蛇丸と戦ったときではないが、力は少し回復している。 少しぐらいなら戦えそうだ。 その分本気を出して一気に戦かわないといけない。 長期戦になれば不利だ。 もう一度大きな翼を羽ばたかせ、愛用の武器をだす。 「へ〜、君みたいなタイプは初めてみたよ。でも・・・遅い!!」 「きゃぁぁ!!」 天使の綺麗な姿に見とれるつもりはない 包帯の男は先制攻撃をしかけ、サクラに命中した。 サクラは倒れそうになるがなんとか持ちこたえた。 素早さでは圧倒的不利。 それは大蛇丸戦でも理解した。 すぐに術が発動できるように、用意はしてある。 「は!!」 白い光と共に炎が包帯の男を襲う。 印を組まないで出てきた炎に、三人は動揺した。 「なんだ?」 「印が見えなかった。」 「いや、この女。印を組まなくても術が・・・ 「使えるわ。」 今度は私の番というように、次々と攻撃をする。 このまま一気に片付ければパワー切れも防げるだろう。 暗黒の森はサクラには地理的に向いていない。 「よし、いける!!」 倒れる三人をよそにサクラは留めの体制にはいる。 「くそ・・・こんな小娘一人に・・。」 「・・・・・。」 これなら少し長い詠唱をとなえて術を発動させても大丈夫そうだ。 「〜〜・・・〜〜・・・。」 サクラは剣を上にかざし、剣に白い光が集まる。 光の集まりは悪いが問題なさそうだ。 詠唱を唱え終えて、いざ攻撃態勢に入ろうと剣を振りかざしたが術が発動しない。 「どうして?!」 頭を張り巡らせて考えてみた。 詠唱はあっているし間違えたことも今まで一回もない。 羽根はまだ白く輝いているから、聖気もある。 だとすれば・・・・ 『下界へ降りたら、自動的に高等呪文は使えなくなる。』 「あ・・・」 思い出した。メタトロン様の言葉を・・・・ 階級を持っている天使は、階級が高くても低くても高等呪文が使えるものがある。 特に、五階級から下界へ降りる時力の制限がはいる。 サクラは丁度五階級だた。 「うそ・・!!」 「どうやら今の術は、出来ないようだね。貴重な休み時間をありがとう。」 もう回復したのか、男二人は起き上がっていた。 肉弾戦で行くしかない。サクラは剣の構えを変えた。 「体術で俺らに敵うと思ってるのかい?」 「やってみなくちゃわからないでしょ?」 先手必勝。フェイシングの構えで一突き相手の肩を刺す。 感触は気持ち悪い。 やっぱり魔法で相手を攻撃するほうがサクラはむいている。 「面白い構えと動きだね。でも、そんなお優しい剣じゃ・・・駄目だよ。」 「ああぁぁ!!!」 突風のような大きな爆風が、サクラを吹き飛ばす。 「い・・!!」 痛みを感じる暇もなく、今度は誰かに髪の毛を根元から掴まれていた。 後ろを見ると、さっきまで気絶していた黒髪の女だ。 「なによこれ。私よりいいツヤしてるじゃない?」 頭を乱暴に揺らしてサクラに言葉の暴力を振る。 「そうだ・・・この女の前でサスケとかいう男、殺しちゃいなよ。」 「お、いいね。キン。」 「キンはそこでその女を見張ってろ。」 「OK。」 「させないわ!!」 手は自由だから手で振りほどこうとしたら、一瞬で手を拘束される。 手錠のようなものが手首に巻きつかれた。 「余計なマネするんじゃないよ。アンタはそこで自分の無力さを思い知ればいいのさ。」 キンと呼ばれていた女は、口角を上げて嫌味たらしく笑う。 「ザク、ドス。早くやっちまいなよ。」 「ああ、それじゃいくぞ。」 「いつでも準備いいぜ?」 ザクとドスはナルトと、サスケに向かって印を組みはじめた。 「あ・・・。」 「目を逸らすんじゃないよ。しっかりあの体がバラバラになるのを・・・・」 「やめて・・・やめてぇぇぇ!!」 サクラの叫び声も空しく、ザクとドスの術は発動されてしまった。 |
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