めぐり行く想い  16



サスケは出血が多く倒れた。


「サスケ君!!」

サクラはすぐに駆け寄ってサスケを抱き上げた。
「サクラちゃん危ないってばよ!」
ナルトの声にかまわず、サクラはサスケを抱える。

「サスケ君!!しっかりして!!」
サスケは、震えながらサクラに手をやる。


「・・・・殺す・・」
もちろん術は解けていない。
震える手を持っていたクナイでサクラに振りかざそうとする。


サクラは先にサスケがとろうとしていたクナイをとった。
血迷ったのか、其のクナイをサスケに手渡しした。
「サクラちゃん?!」


「だったら・・サスケ君・・私を殺して?」
其の言葉に迷いはなかった。
ナルトはもう、二人を見守るしかなかった。
サスケはクナイを握り締めて目を見開き、信じられないような顔をしている。

「私はずっとサスケ君のこと・・・・大好きだから。」
サクラはサスケの胸に顔をうずめた。
動かない
このままだと背中に刺されてしまうのに動かない。
「桜色・・・・」

サスケは力いっぱい腕を上げた。
しかし、なかなか刺そうとはしない。
  






「サクラ色・・・・」




何かがサスケをとめている。



目の前にいる女が何かを思い出させようとする。
一体何か?



聞き覚えのある声
ずっと呼ばれているような気がする。

この髪の香りもなんだか懐かしい



「イヤだ・・・」
「サスケ君?!」



「うあわああああああ!!」
「きゃあ!」

サスケはサクラをのけぞいた。
再びサクラを見る。
「・・・・・・サクラ・・・サクラ・・・」
混乱してる。思い出そうとしてるのだ。
「サスケ君しっかりして!」




(サスケ君!!)






(行かないで!!)








(ここにいて!!)








この声だ。いつも呼んでいた声は・・・・
懐かしい気がする。
暖かい・・・・
いつも聞いていた。







      サスケ君    大好きだよ





「サクラ・・・・?」


今度は声がしっかりしていた。
「何だよお前・・・・なんで泣いてんだ?」


「サスケ君?」
「俺は何でここに・・・・・?」
「サスケ君!!!!」
サクラは泣きながらサスケに抱きついた。
「いて!!」
忘れていた。サスケは傷を負っていたのだ。
「サクラ、傷は私が直すから・・・。」
「綱手様!」




「ずっと見てた。サクラにもしものことがあったらと思ってな・・」
綱手はサスケの傷を治していく。
「・・・・・・」
内心複雑だろう。
何故里抜けをした者が暖かく迎えられているのか?
「俺は・・・・」



「音なんかに行かせないよ?」


綱手は静かに笑った。























「サスケ君いる?」



「ああ。」
あの後、サスケはこの病院に搬送された。
暫く入院。
サクラはいてもたってもいられなく様子を見に来た。
「そんなに心配しなくても、俺はもうどこにもいかネエから・・・」
「え?」




「悪かったな・・・・綱手ってやつから全部聞いた。腕のことも・・・・」
「ああ、気にしないで?もう直ってるし・・・」
「そんなことを言ってるんじゃない!」
サスケはサクラの腕を強くつかんで、自分の方へと引き寄せた。


「俺は何度もお前を殺そうとしたんだぞ?」
「知ってるよ。そんなこと」




「大丈夫。私は全部受け止めてあげるから・・・・」
サクラはサスケを優しく包み込んだ。
「サスケ君・・・・人ってね、誰かを守りたいと思うとき強く成れるんだって誰かが言ってた。」
「・・・・・・・」
「見つかるといいね。“大切な人”・・・・」
其の言葉が何故か悲しそうだったのは気のせいだろうか?
サクラの顔が見えない。
サクラの言っていたことは聞いたことがあった。
自分も聞いたことがあったからだ。


「・・・見つける必要はない。もういる」
「え・・・そんなんだ・・・じゃあ、その人のこと・・・・・・・」
「目の前にいる」
「え・・・・」
サスケはサクラが言い終わる前に話し始めた。
ポケットから一枚写真を出した。
「サクラ・・・これ覚えてるか?」
「それ・・・」
それはサスケが音に行った時に持ち出していた写真だった。


「これ・・・俺何故か持ってたんだよ。音に行った時、全てを捨てたはずに・・・
 おかしいよな・・・これだけ持ってたんだぜ・・。」
「サスケ君・・・」
「また・・・作っちまったよ。大切なもの。もう、失いたくなかったのに・・」
「・・・・」
「泣くなよ・・」
「だって・・」
どことなく涙が出てくる。
サスケにはサスケの事情がある。
恋沙汰も興味を示さないのも、其のことがあったからだ。
それを知ってて見返りを求めようだなんてなんて我侭なんだろう。

「ごめんなさい・・・私・・・」
「もういい・・・・俺はもうどこにも行かないから。守るべきものを見つけたから。」
「うん・・・・」







「サクラ、俺は・・・・・お前のことが・・・・・













「なあなあ、ばあちゃん?」
「五代目火影様と呼びな。」


少し遅れてナルトは綱手に治療を受けていた。
「なんで、サスケの奴戻ったのかな?」

「さぁな・・・それは私もわからない・・・。」
「サクラちゃんの想いが通じたんだってばよ。」

ナルトの口から出た言葉は綱手が考えていたことと同じだった。



「・・・・そうかもしれないな。・・・まったくお前って奴はお人よしだよ。」
「へへへ・・・・」


















「今なんていったの?」
あまりの急なことでよく聞こえなかった。





サスケはサクラの耳で震えた声でささやいた。








「お前は俺にとって大切な存在だから・・・」

「サスケ君・・・」

また涙が出てきた。
「もう泣くな・・泣かれるとどうすればいいかわからない。」
「違うの・・・うれしいの・・私も・・・私の大切な人はいつでも・・サスケ君だから。」
「ああ・・・」



やっと分かり合えた。

何度も遠回りをした。

無意識に想い合って・・・
重なり合う。




「私、サスケ君のこと大好きだから・・・ずっとずっと大好きだから・・・」

「俺も・・・・お前のこと・・好き・・だ・・・」





二人はやっと答えにたどり着いた。









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おわった・・・なげーよ!!
ってかいつまでかかってんだよって話ですね。

NARUTOで不思議遊戯!!Wパロディを書くのは楽しいですね。
原作でもサスケは幸せになってほしいです。

サスケがサクラを殺しにきたらサクラは受け入れるんじゃないかって・・
そんな感じでした。

サスケ君は・・木の葉の思いを捨てきれてなかったらな・・・
なんて思ってくれたら嬉しいなと・・・
駄目ですか?
最後まで読んでくださってありがとうございました。


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