切なさの行方3〜真っ白に包んでくれたらなにもいらない〜   11話






イタチに連れられてきた場所はあの教会だった。
いつも日がイッパイで賑わう中、今日は人っ子一人いない。
静かにシャンデリアが、部屋を照らしていた。


「イタチさん・・・ここ。」

「サクラ、ここ行きたいと言っていただろう。」



イタチにお姫様抱っこをされたまま、サクラは教会に入るハメになった。


「これはコレは、イタチ君にサクラさん。今日はおめでとうございます。」

中に入ると、縁が祭壇に立っていて神父の正装をしていた。
まるでこれから結婚式を挙げるような服装だ。

「縁さんどうしたんですか?今日はなにかあるんですか?」

「サクラさん、冗談キツイですよ。貴方と彼の服装を見れば分かるでしょうに。」


ギイと扉が開いた。

「よかった。まだ始まっていなかったのですね。」

「鬼鮫、ご苦労。」

「いえいえ。」


鬼鮫は一番前の椅子に座った。

「申し訳ないですね。サクラさんの理想の結婚式とはだいぶ違うでしょう。」

「そんな・・じゃぁ本当に?」

「そうだよ、サクラ。」


イタチはサクラを下ろすと、ブーケを受け取った。
白百合が綺麗なブーケだった。

「綺麗・・・。」

「それでは始めましょうか?」


ヴェールを纏い、イタチと横にともに立ち、
縁は婚儀の儀式の言葉の述べた。

夢に見た祝辞の言葉。
神に誓いを立てる時の言葉。


健やかなるときも、苦しいときも、嬉しいときも
ともに手を取り添い遂げる事を誓うか?


あの時からもうサクラはイタチについていくことを決めていたから・・・。
サスケの見舞いに来てくれたとき初めて会った。
殺されそうになってけど、イタチは決してサクラに手荒な真似はしないようにした。

木の葉を騙すために、演技でサクラを傷つける事もあったけど、
それはサクラを守るためで、
何も言わずに去ってしまったイタチ。


記憶を拡散されて忘れてしまったけれど、あの時思い出して本当に良かった。
イタチを好きになって本当に良かった。

だから、サクラの気持ちはもう決まっているのだ。



「誓います。」


「俺も、サクラを愛し続けることを誓います。」



「よろしい、では誓いのキスを・・・。」



頭から被ったヴェールをイタチはゆっくり上げた。
サクラは今にも泣きそうになっている。
これは嬉し涙というのは、みんな分かっている。


幸せだ。
これ以上の幸せはない。


誰にも祝福されなくてもいい。
こうやって二人でいけていけたら、もう何もいらない。
こうやっていつも包んでくれたら何もいらない。


「愛している。サクラ・・・。」


「イタチさん・・・。」


サクラもそのイタチの愛を返した。



「私も同じです。愛しています。」




ずっと一緒にいようね。
ずっとずっと・・・

大好きよ。
いっぱいイッパイ大好きよ。

だから放さないでね。
真っ白に包んでくれて有難う。
もう、他には何もいりません。







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これで、切なさシリーズ完全エンドです。
今まで切なさシリーズを応援してくださった方、有難うございました。

この二人が大好きでした。


イタサク大好きだ!!





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