もう一つの未来 10 「う!」 つわりだけは慣れない。 お腹の中に新しい命を宿すのは、これで三回目になるが、この気持ち悪さには慣れる事はない。 病院から妊娠告知を受けて早二日、調子が悪いなら病院に行ってこいと怒鳴っていたサスケは サクラの体調の事を聞いてほっとしたようだった。 無理もない。病院には行ったが、原因はわからなくどうすることも出来ないといわれていたからだ。 コレで綱手にも診てもらってどうしようも無かったら、どうしようと内心ハラハラしていたのだ。 結果、妊娠時のつわりだったらしく、過去に二度も経験しているならもっと早く気付いて欲しかったと サスケはサクラの鈍さに心底あきれた。 「ね、今度はどっちだと思う。」 「・・・一人目は男で、次は女だろ?次は順番的に男じゃねぇの?」 「そんな簡単にいかないよ〜。」 「あーハイハイ。」 「今度は、サスケ君似の男の子がいいな。」 「は?楓だって、俺に似てるだろ?」 「髪の毛は私の色だもん!今度は黒髪黒目のサスケ君似の男の子がいいな!」 「んな無茶な・・。俺はそんなの自分のクローンみたいでいやだ。」 「え〜!」 サクラの意見にサスケはげんなりした。 自分に似ている子供は当たり前なのだが、似すぎて瓜二つすぎるのも返って不気味だ。 ちょっとイヤになるのは、無理もない。 「お前だって、桜色で翡翠色の女の子でお前と瓜二つの女の子が生まれてもいいのか?」 「え?だって、小さい頃の自分みたいで可愛くない?」 「あぁ・・・そうか。」 どうやら、サスケとサクラでの物の考え方が根本的に違っているようだ。 どっと疲れが出てきた。 サクラはのんきに、こんな感じだの、髪の毛はこうで瞳はこうで、と色々リストアップしていた。 生むことは出来るが、自由自在に子供の容姿まで指定をすることが出来ないのに何をやっているのか・・・・。 「サクラ、お前それ・・・全部産む気なのか?っていうかそんな都合よくいかねぇよ。」 「サスケ君がそれを望むなから生んじゃう・・かな?」 「????」 「だって、サスケ君の目標って一族復興でしょ?」 「あ!」 そうだった。 確かにその目標は、幼い頃からの目標だった。 一族復興と復讐。 優先順位は常に復讐だった。 己を孤独に追い詰めたたった一人の肉親に、殺意を募らせていた。 そんな荒んだ世界の中でしか生きられなかったサスケに手を差し伸べてくれたのは紛れもないないサクラだった。 どんなに冷たい態度をとってもめげる事の無かったサクラだけが、サスケの唯一無二の存在となっていた。 今じゃ、一人では大抵一人では生きていけそうにない。 サクラと他人から恋人になって、夫婦になって、 今では二人の子供に恵まれて、今新たに新しい命が誕生しようとしている。 「俺はどっちでもいいよ。元気に生まれてきてくれれば・・。」 「うん、私もそう思う。」 まだ目立つことのないお腹を優しく撫でる。 見た目では全然わからないのに、もうサクラのお腹には新しい命が宿っているのだ。 またすぐに、大きくなって元気に生まれてくるのだろう。 「今度の名前はどうすっか?」 「やだもう!サスケ君気が早いよ。」 「楓も紅葉も秋に生まれたからこの名前だけど・・。」 「三人目も秋生まれだったりして・・。」 「・・・ネタがねぇぞ。」 「そうね・・・」 「・・??」 「男の子だったら銀杏で、女の子だったら芙蓉!」 「いいなそれ・・。」 「でも、秋生まれじゃなかったらどうしようか?」 「いいじゃんそん時はまた考えればいいだろ?」 「そうだね。」 ------------------------END------------------------ そういえば冬生まれがいないことに気付く。 次の子供は冬の方がいいかな? サスケ→夏 サクラ→春 楓・紅葉→秋 次はやっぱり冬か・・・・。 |
BACK NEXT |