Love since xxx.....   8


Can you tell love to you once again?



安っぽいホテルから出た景色はとても眩しかった。
何が悲しくて、行為の一つもしないまま10分そこらで高い金を払わなければならないのか?

「ついてねぇな。」


阿部は時間が空いてしまい、家には遅くなると伝えてあるので帰るに帰れなかった。










叶が無事群馬に帰った。

『もう一回、アイツに好きって言うんだぞ!』

そんな言葉を残して、叶は三橋を勇気付ける。
一度フラれた相手に、もう一度告白できる度胸なんて、三橋は持ち合わせていなかった。
伝えようか、伝えまいかウジウジ悩む日々が続いたいた。



そんな三橋に噂は風の様にやってきた。


阿部の交際は駄目になったらしい。
学生時代のよくある恋愛事情だ。

いつの間にかくっついて、何時の間にか別れている。
本当に、こういう事には人間は目敏い。



でもチャンスだった。
三橋にとって、もう一回阿部に本当の気持ちを伝える・・・・。


コレで付き合っていた女の子に後ろめたさも感じなく、正面堂々と伝えることができる。
ちゃんと言おう。
あの時は、いきあたりバッタリで三橋自身も上手く言えなかった。



今度こそ・・・・・。











「そういえば聞いた?阿部の事。」

「あぁ・・なんか駄目だった見たいだな。」


部活の終わり、主将と副主将二人は監督に呼ばれて、まだ部室にはいなかった。
残ったものが、阿部の事を話していた。
無論、最近話題になっていた、阿部とその彼女の破局だった。


「俺、絶対阿部が彼女怒らしたと思うんだよね〜。」

「阿部って、ムッツリそうだもんね。」


アハハと笑う中、三橋は今日阿部が帰ってくるまで待とうと思った。
いつも身支度の遅い三橋だ。
一人で残っていても、何の違和感もない。


「な、三橋はどう思う?」

「え・・俺?」

「そ、阿部ももったいない事したよな。」

「そ・・そうだよ・・ね。」


どう答えたらいいか分からなく、とりあえず話をあわせておいた。

「って、オーイまだ皆帰ってねぇのかよ!」

「お、花井!」


監督とミーティングで残っていた三人が帰ってきた。
ダラダラと残っている皆に、花井は声を出す。

「遅いんだから、さっさと帰れよ。」


はいと、返事をした後、何人かはすぐに部室を出て行った。
花井も栄口も、あまり帰りが遅くならないようにすぐに帰ってしまったのだ。


「今日の鍵当番誰だっけ?」

「俺だ。」


帰る前、花井が鍵を確認する。
今日の当番は阿部だった。

「阿部か・・・じゃ、後は宜しくな。じゃな。」

花井と一緒に栄口も出て行った。
残っているのは阿部と、三橋の二人きりだった。



「・・・・」

「・・・」


会話がない。
そんな沈黙を破ったのは、阿部からだった。


「俺の事聞いたか?」

「え・・・?」



「その・・・別れたって話し・・。」


阿部からそんな事を話してくるなんて思わなかった。
三橋は、黙って頷いた。


「そうだよな・・・。お前はどう思う?俺のこと・・・。」

「阿部君は・・スゴイ人・・だ。」

「いや、そうじゃなくてだな・・・聞いてないのか?俺が別れた理由。」

「理由?」


そういえば、別れたと聞いていたが詳細までは話にはなかった。


「そうか、ソコまでは回っていないのか。」

阿部は一人納得したようで、良かったと息を吐いた。
何かマズい事でもあったのだろうか?
さっき、皆が言っていたような事があったのだろうか?



「だっせぇんだぜ、俺。コクられた女にフラれてよ・・。」

「え・・・。」


信じられなかった。
三橋にとって阿部は絶対的な存在。
見た目もいいし、頭だっていいし、運動だって出来る。
そんな阿部がフラれたなんて、何かの間違いでは?



「・・・・ラブホに入ったんだよ。で、まぁしようとしたんだ。でも・・・できなかった。」

「・・・・・。」


「俺・・・途中で女の顔が、お前に見えた。」


「え・・・。」


「どうしてだろうな?」



阿部の三橋に対する視線が痛い。
とても怖い。


「お・・俺は・・。」


「分からない・・。阿部君の・・考えてる事・・わからな、い。でも、俺はまだ・・阿部君の事スキ、ダ!」


「え・・・・。」



三橋は今の気持ちを正直に伝えた。
今ここで、タイミングを逃したらきっと一生言えない気がした。

「聞いても、らっただけでいい・・オ・・オレ、別に・・見返り求めて・・な、い!」


久しぶりに、長い言葉をしゃべり、息をゆっくり吐く。
言いたい事が終わると、三橋はそのまま帰ろうとした。
そうだ、まだお礼を言っていない事に気付く。


「阿部君・・明日から・・また、普通に・・。オレの、気持ち聞いてくれた・・・だけで・・・・。」

「待てよ!」


阿部は、三橋の腕を掴んで、離れないようにした。

「勝手に自己完結するな。じゃ、オレの気持ちはどうなるんだよ。」

「え・・・?」



三橋は今でも阿部のことを好きだと言ってくれた。
こんな風に純粋に思われる事は初めてで、阿部自身まだ戸惑っている。

でも、間違いなく阿部は三橋に惹かれていた。幻惑を見るほど。


「なぁ、何でオレの中なら三橋の事が消えないんだよ。俺は・・・・」


きっとスキになっていたんだ。
素直に従順に嫌な顔一つせず、向き合ってくれる三橋をいつの間にか好きになっていたんだ。


「三橋・・・今更だけど、まだ間に合うか?」

「何・・・?」

「まだ、オレはお前が好きだよと、言う資格はあるか?」


「え・・阿部君?」


どうしてそうなるのか、三橋は混乱している。
だって、阿部はそういった事には興味もない。いたってノーマルだったハズ。
冷たくあしらわれたのを今でもハッキリと思えている。

酷く拒絶をされたのに・・・


「オレは・・阿部君の・・事好き。・・ただ、それだけ・・・だ!」

「三橋・・。」



「ごめん・・三橋。俺、どうやらお前の事好きみたいだ。」

「え・・・。」


「今更だから、お前になんていわれても俺は何も言えない。俺はまだお前に好きと言える資格はあるか?」



そんな事、答えはもう決まっているハズだ。
だって、・・・・



「モチロンだ、よ。阿部君。俺は・・ずっと、阿部、君の事好き・・・だ。」


「そうか・・じゃぁ、今度は俺からいう。」



阿部は、三橋の前に座りなおしていった。




「俺はお前が好きだ。だから、お前と付き合いたい。」



返事は分かりきっていたから、阿部は三橋の返答を待たずに抱きしめた。
三橋も阿部の背中に、腕を回した。

やっと手に入れた温もりはもう、今度こそ放しはしない。



だってやっと、思いが通じ合えたのだから。















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やっと終わった〜。
短期集中連載といっておきながら、けっこうかかりました。
何ヶ月かかったのか、分かりません!!ひー許してください。


体からはじまるアベミハを書きたかっただけなんです。
しかも三橋の片思いで、阿部はノーマルという設定が書きたかった!
そして、二人してイッパイ傷ついた後にハッピーエンドという
なんかのベタなシュチュエーションですね。

私にしては珍しくハッピーエンドでしたね(笑)


ここまで読んでくださって、ありがとうございました。











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