DEEP  後編





「・・・それで、今に至る・・・。」


「・・・・。」


あまりの真実に、阿部はなんと言葉を投げたらいいのか見つからない。


「気にしないで、もうなれた。」

「バ・・!!お前投手なんだぞ!もっとだな・・」

「阿部君だけだよ。俺の・・からだ、気遣って、くれるの・・。」

「三橋・・・。」

「・・・阿部君にしか、は・・・話したことない・・から、そうなんだけ、ど・・。」


あとは察しがつくでしょ?と話を進めた。

一人ではイけなくなった体では、満足に性欲処理をする事もできなかった。
男同士の発展場に行くようになったのは、中三の秋ごろ

途中、受験などでなかなかいくことは出来なかったが、
それでもいくのといかないのでは、三橋の体の負担は違った。


本格的にいき始めたのは、高校に入ってからだと聞いたときには驚いた。
群馬はあまり無かったと三橋は話す。
東京に近いほうが、こういった事は多いのかな?と三橋はうっすらと笑った。


「お前・・これからもこういった事続けるのかよ?」

「つづ、けるよ。・・だって・・」



「フザケンナ!!」


ダン!と大きな物音をたてて、阿部は三橋を壁際へ追い込んだ。
三橋は特に驚く様子もなく、平然としている。
普段の三橋なら、顔色を変えてキョドるハズなのに、一切表情が変わらなかった。


「お前、今のが本性か?」

「大抵の、理不尽や、暴力には・・・経験済み・・だか、ら。」


しゃべり方は変わらないが、今までのは全て演技だったのか。
高校生としえはありえないぐらいの、泣き虫と卑屈な性格は全てカモフラージュだったのか
体を売っている自分を隠すための・・・。


「お前!もっと自分の体をいたわれ!投手なんだぞ!それにお前、昨日のオヤジあいつヤバそうだったじゃん!」

「・・あれ・・・は、完全につきまとわれて・・る。」

「だったら・・・!!」


「・・・だって、こうでもしないと、俺・・自分の体・・ロクに、、」


性欲を事故処理できないなんて聞いて呆れる。


「こ・・・コレは、俺の問・・題。阿部君には・・関係、ない。」


「・・・」


三橋は身なりを整えて、先に帰った。
阿部は三橋の話をどう受け止めたらいいのか、分からなくなっていた。


知らないほうが良かった。
あの時、人違いだろうと、気にせず帰っていればこんな事知ることも無かったのに・・。






暫く阿部は、三橋のことを避けていた。
部活は必要最低限の事しか、はなさなくなっていた。

阿部なりに、気持ちの整理がつくまではこうしようと考えていたのだ。
しかし、事情を知らないほかの野球部メンバーから見れば、何かあったのかと
二人の仲を心配する者はいる。


「阿部さ、最近三橋とちゃんと話してないでしょ?」

「気のせいだ。」

「嘘、だって、最近三橋のこと気にかけてない!」


いつもの阿部なら、三橋に昨日はちゃんと寝たか?とか
体重はこまめに量ってるか?とか聞いているのに、最近それがピタリとやんだのだ。

「なぁ。栄口」

「ん?」


「お前さ、自分の友達が・・・いや、なんでもない。」

「それって三橋と関係あるの?」


栄口はなかなか勘の鋭いほうだ。
中学からの付き合いもあるだろうが、その眼光は鋭い。

「・・あるよ。プライバシーに関わるからやめとくわ。」

「そっか、なら仕方ないね。」

「そういう事だ。」

「それはいいけど、ちゃんと仲直りしてよ?見てるこっちがハラハラする。」


「分かった。暫く気持ちの整理したいだけだ。」

「それを聞いて安心したよ。あ、予鈴鳴ったよ。教室戻ろう。」


昼休みの終わりを告げる鐘が鳴った。
はやり、阿部の行動はチームメイトには不安要素だったみたいだ。

普通に話すのはいいが、これからどうやって三橋に接したらいいのか分からないのだ。
中途半端じゃ、三橋にも失礼だ。
人それぞれだし、偏見する気もない。
でも、身近にいるとは思ってなかったから、驚きを隠せないのだ。


「あいつ・・・ずっとああなのかな?」


なんとかしてやりたい気持ちはあった。


昼休みの屋上。
とっくに栄口は、教室に戻っていった。
阿部は少し遅れて、教室に戻った。
























「やっべ、屋上にウォークマン忘れてきた。」


部活が終わり、帰ろうと準備をした頃、
愛用のウォークマンがない事に気付いた。

そういえば今日は、屋上で音楽を聞いていた事を思い出した。
途中で、栄口が声をかけてきたから、音楽を止めて自分の足元に置いたのだった。
考え事をしていて、時間ギリギリになってすっかり頭の中に無かったのだ。



「夜の校舎って暗いな・・・。」


畜生と自分の失態に後悔して、夜の屋上への階段を上っていった。






「・・・・セーフ。パクられてなくて良かったぜ。」


幸いにも、ウォークマンは無事だった。
阿部の後、誰もいなかったのか、それとも気付かれなかったのか、ひっそりと転がっていた。
中身を確認して戻った。




校舎を早歩きで通り過ぎると、誰かの声が聞こえた。



「ひ・・・うぅ・・・ん!!」



何かをガマンしているような声だった。

「あ・・・はぁ・・。」


良く聞くと、喘ぎ声に近いものだった。
学校なんかでするなよな。と、どうせどっかのバカップルでも盛ってんだろうと急いで戻ろうとした。


「いいの?野球部のエースがこんな事してて。」

「ひ・・・ぁ・・。」

「にしてもコイツ女みたい。マジ、そそる〜。」


あぁ、これは完全に三橋だろう。
アイツ学校でもこんなことしてるのかよ!
阿部は頭に血が上ったような感じだった。

関わらないほうがいいのに、体はいう事を聞かない。

声のする教室のドアを勢い良く開けた。



「おい!何やってるんだ?!」


「「ヤベ!!」」


阿部の声に気付いた男はどうやら2人だった。
暗闇なことをイイコトに、反対のドアから出てそのまま逃げていった。



「三橋!お前そこにいるんだろ!」


「・・・聞こえた?」


「あぁ・・」


ヅカヅカと教室に入り込んだ。
窓辺に居るのが分かる。


「おい、何やって・・・・」


三橋は裸だった。
今まで情事をしていたのだから、当たり前なのだがその光景は普段の三橋からは想像も出来ない姿だった。

部室の着替えでもたまに見かけることはあるが、こうして色をまのあたりにされると阿部も反応してしまう。


「何って・・・性欲処理?」


自分の体を隠す事もなく、三橋は寝っころがったまま笑った。
月に照らされて見える三橋の姿は、艶めいている。

男の癖に、異様に白い肌、体も柔らかくて顔も女顔
この異様な色気を持ち合わせちゃ、さっきの三橋を襲った男も本気になるだろう。
そして、この微笑。本当に悪魔って言われているのは阿部は不本意だが、納得してしまった。

この色気をかねそろえた中性的な笑み。
綺麗だと思った。



「・・・」


「阿部君、タオルとってくれる?」

「・・あぁ・・。」


三橋の鞄の中からタオルを取り出すと、三橋は体にかけられたものを拭いていく。
もったいないなと阿部は三橋を見ていた。


「阿部君・・帰らないの?」

「お前送っていく。そんなんじゃ、しっかりと歩けねぇだろ。」

「優しい・・ね。」






「三橋、いつまでこんな事続ける気だ?」

「一生・・。」


ああいえばこういう。


どう受け入れたらいい?
三橋はチームメイトで、俺達はバッテリーで投手で・・・
こんな体を痛めつけられるような事は・・・して欲しくなかった。

自分の知らないところで体を酷使するなんて許せなかった。



「なぁ・・三橋・・。」

「何?・・・阿部君。」


「今後、そういったことしたいなら、俺を使ってよ。」


自分でも驚いた。
なんでこんなこと言ってしまったのか・・・。


でも、三橋が阿部の知らない所で体に負担をかけるよりかはマシだろう。
だったら、阿部が自分で抱いて、体調管理した方がいいのでは・・?
明らかに思考がおかしくなっているが、関係なかった。


「それが・・・阿部君の、答え?」

「あぁ・・・お前が下手に不特定多数と相手するよりいいだろ?」

「わから・・ないよ。」

「なら、俺はお前の投球制限を極端に減らすし、野球させない。」


「・・・まいったね・・。いい・・よ。」


「ギブアンドテイクだ。」


「阿部君は本当にコレでいいんだね。」


「あぁ・・。」


「俺、責任・・とら、ない。」

「とってもらおうとは思わねぇよ。」



「そう・・・じゃ、よろしくね。阿部君。」



ニコっと三橋は笑った。


「あぁ・・。」


その笑顔は綺麗だったが、悪魔のような微笑だった。
















----------------------END----------------------

え?これで終わり?
いや、これはコレでおしまい。

書きたかったのを書いただけ(笑)
ウリをやって性欲処理してる黒三橋と
それに振り回される白阿部が書きたかったの!

続きはまだ思いついてません。
続きません。私の黒三橋はこんなんですよ!と紹介分みたいな感じで書きました。
いや、本当にすみません。
需要無いよ黒三橋なんて・・・!!


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