幼馴染 学校に入る前は一緒に暮らしていた。 野垂れ死にそうになったとき、救ってくれたのがキンだった。 あの時の干し柿の味は、決して忘れることはない。 「松本なんて、あの市丸君と幼馴染なんでしょ?」 「え?」 ギンの後を追って、学校に入学した乱菊。 聞くところによると、ギンは才能を一気に開花させてもう卒業間近だった。 ギンの背中を追いつくのは、まだまだ遠い。 「そう・・だけど・・。」 「いいなぁ。ねぇ、普段の市丸君てどんな人?」 「それ私も気になる〜。」 クラスメイトに囲まれる中、乱菊は今までの生活のギンを思い出す。 「学校と変わりないと思うよ。つかめないヤツ。考えてる事も分からない。 私も・・・いつも背中ばかり見てた。」 「そうなんだ。」 「やっほ、乱菊おるか?」 クラスメイトとの会話をさえぎったのは、丁度噂話をしていたギン本人だった。 「ギン・・。」 「乱菊。丁度よかったわ、上ではなさへん?」 「・・別に、いいけど・・・。」 「じゃ、いきましょか?」 教室で、黄色い声と男の変な声を尻目に、乱菊は教室を出た。 こやってギンは神出鬼没のように、乱菊を呼び出してはただ話をするだけ。 「もう卒業して、隊に入るって聞いたわよ。」 「なんや、もう広まってんか。」 「そういう噂は風より早いのよ。」 屋上には丁度、ギンと乱菊しかいなかった。 今日は風が強くて、髪の毛が風に遊ばれる。 「せっかくこうして入ったのに・・・。」 「何や?」 「ううん。なんでもない。」 今も昔も変わらない。 幼馴染という、今一番近いポジションでもギンと対等に並ぶ事は出来ない。 「ずるい・・・。」 「なら、乱菊も早くこっちにきたらええ。」 「言われなくても・・!」 「待ってるで?」 「え・・?」 フっとギンが笑ったように見えた。 いつも不気味な笑みをこぼしてるけど、今まで見たこと内顔だった気がする。 「ね、ギン。」 「何や?乱菊。」 「今の顔、もう一回やって。」 「え〜イヤや。」 「ケチ。」 「乱菊が、隊に無事に入隊しとったら見せてあげますよ。」 「・・約束よ。」 「ほな、じゃ指きりげんまん。」 乱菊が護廷十三隊に入隊したとき、ギンは既にもっと高い地位にいた。 ちゃっかり席官クラスになっているギンに、乱菊は苦笑を隠せない。 そして、隊に入ったら、入ったでまた質問攻めにあう。 「松本さんて、市丸席官と幼馴染なんですって?」 そんなセリフも聞き飽きた。 私だって、普段ギンがどうしてるのなんて・・・・ そんなの私が知りたい。 幼馴染って、一番近い存在に見えて、実は一番遠い存在と言ったのは、誰だろう? -------------------------END-------------------------- 乱菊ってきっと女性死神からこんな質問結構受けてると思う。 ギンてカッコイイし、溢れるばかりの才能でポンポン上にいってるから、 周りの女の子のチェックには必ず入っている。 そして乱菊と幼馴染というのはギン本人からみんな聞く。 ギンはこれ以上言わないから、みんな乱菊に質問攻め。 |
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