涙 〜風になりたい番外編〜 「やっと会えた!」 ククールはマルチェロを見つけたとたん駆け寄り抱き締めた。 「お前!!」 「ずっと探してた!!」 ククールは涙を浮かべ喜んだ。 マルチェロはどうしろとも言わず、ククールに身をゆだねていた。 なぜ自分など探していたのだろう? それから生活はガラリと変わった。 二人はどっか離れたところで家を作り暮らし始める。 それに至ってはいろいろと他人の協力があったからだ。 正直マルチェロはついていけなかった。 「・・・どういうことだ。」 「住むに決まってるでしょ?」 あっけらかんと無邪気にククールは言う。 ククールはマルチェロから受けた不当の扱いを気にしていないようだ。 もし、反対の立場だったら・・・いやこの話はやめよう。 正直いってマルチェロはククールが妹としってからどう扱っていいかわからなかった。 修道院では本当に凄い扱いをしたと思っている。 女としても陵辱もしたし・・・・・・一番辛いことも平気でしてきた。 それなのにこの女と来たら、忘れたようにマルチェロの隣にいる。 理解ができなかった。 血が半分繋がった兄妹 しかし、明かさなければだれも知らない関係だ。 まだ家に住み始めて間もない頃、買出しに行く時は良く夫婦と間違えられていた。 ククールは嬉しそうだったが、マルチェロはい嫌そうだった。 だからって兄妹なんて言い返すのも馬鹿々しい。 でも、少しづつゆっくりとククールはマルチェロの心の奥まで踏み込んでいく。 ククールはマルチェロのことが好きだ。 じゃぁ・・マルチェロは? 「兄貴・・・!!」 変わらない笑顔 心を乱す妹 「お前は・・何故私なんかといるのだ?」 イラついた。笑って平気でヘラヘラと一緒にいる。 押し倒すなんてたやすいことだ。 そう、昔もこんなこと平気でして来たのだから。 男と女が一つ屋根の下にいるのだ。何があっても可笑しくない。 「私は・・・兄貴が好きなの・・・」 恥ずかしくもなくそういってくる。 「私は・・・」 「黙れ・・!!」 口を塞ぎ、いつものように体を貪るだけだ。 ククールは甘い声を上げて、マルチェロにしがみつく。 昔は征服感でいっぱいだった。 今はそれとなく心地が良かった。 涙を流してマルチェロの声を呼ぶとマルチェロはククールにキスをする。 それが二人のいつものパターン。 時々ククールはリーザスにいるゼシカのところに遊びに行く。 現状報告というか・・・ ゼシカがいなければ今の二人はないだろう。 どうやら彼女がククールに後押ししたらしい。 ククールは本当に幸せそうな顔をしていた。 マルチェロから見てもそれはわかる。 一体何がそんなに嬉しいのだろう? 「兄貴・・・大好き。」 夜な夜なククールはその言葉を発する。 それはもう呪文のようにそれが当たり前のようになっておぼれる。 「ククール・・・」 つい答えるように自分から言ってしまう事だってある。 あぁ・・そうか・・私はだんだんとククールに惹かれているのだろう。 マルチェロはそう思った。 何ヶ月が過ぎた後だった。 マルチェロは、ふもとの教会で神父の手伝いをしている。 もと聖堂騎士団の団長だけあって、教会でのことは何でもできる。 時々ククールが手伝いに来る。 ククールのほうが高度な呪文が使えるからだ。 ある夏の日だった、ククールが教会へ差し入れを持ってきた。 「お疲れ様。サンドイッチ作ってきたよ。」 丁度、旅人も去っていったところで一区切りだった。 「いや〜、マルチェロくんにはこんな可愛いお嫁さんがいるとはね。」 「別に・・妻では・・」 「隠すことないって」 神父は笑ってマルチェロの背中を叩く。 「わしはかまわんぞ。わしにも妻と娘がいいる。神に仕える心を忘れなければわしはいい。」 「ありがとうございます。」 「・・・お茶持ってくるな。」 そういったときだった。 ククールはふらついてばたっと音を立てて倒れた。 「ククール!!」 マルチェロは駆けつけてククールを抱き上げる。 「マルチェロ、早くこの人を教会のヘッドへ」 「はい。」 「貧血じゃろうか?」 「・・・最近ククールの体調がよくないんです。」 「本当か?」 ククールは傍ですやすやと眠っている。 「医者に行きたがらなかったんです。大丈夫と・・」 「そうか、しかし倒れてはな・・知り合いの医者がいる。診てもらうか?」 「はい・・・」 それからククールが妊娠していると判明した。 マルチェロは戸惑ったが、ククールは何の迷いも泣なく子供を産むといった。 そして、数が月後ククールとマルチェロの子供が生まれてきた。 子供は男の子と女の子の双子だった。 黒髪が男の子で銀色が女の子 目を開ければ瞳は自分達とは反対の色だった。 これでよかったのか?そう聞きたかったがククールは子供を抱いて 「名前どうしようか?」 なんて聞いてくる。 じつはもう決めてあった。 男の子なら ルカ 女の子から サラ と決めていた。 両方使う羽目になるとは思わなかった。 子供は可愛かった。 父親になるなんて思っても見なかった。 まだククールのことはわからない。 でも・・・ククールが笑ってくれるならそれでいいと思った。 ククールの笑顔と・・・子供たちの笑顔が消えないようにと思ったのは本当だ。 子供たちは口が聞けるようになり、歩けるようになり、成長を遂げる。 自分のことをパパと呼ばれるのはまだなれない。 ククールは板についてきてるが、マルチェロのほうはイマイチだった。 本当に絵に描いたような家族だった。 こんなに幸せでいいのだろうか?と思う日もある。 でも、ククールと子供が幸せならいいと思った。 そんなことを思う自分にマルチェロは驚くばかりだったが、おそらく自分は変わったのだろう。 だが、自身がもてない。 今の生活は平穏で好きだ、このまま続いて欲しい。 しかし、自分は本当にククールの事を愛しているのだろうか? 今、ククールは子供をつれてゼシカという女の家に遊びに行っている。 かつての仲間といっていた。 ああ、あの気の強い女性のことだろう。 ククールがいなくなって思う。 自分は幸せだと。 今はコレでよかったと思えた。 しかし、ククールの体のことが心配だった。 医者が言うには子供を生むと体が弱くなったり悪くなる女性がまたにいる。 ククールはそれに該当するということだ。 しかし、ククールは生んだ。 きっと昔のこが・・・自分が原因だろう。マルチェロは今になって大変すまなく思った。 あの時は自分が見えていなかった。 何をするのも 否定的だったららだ。 「ただいま!」 「「たっだいま〜」」 元気な声が聞こえてきた。 今はこの幸せをかみ締めよう。 自分自身の気持ちも、いづれ気づくだろうと思い、穏やかにすごそう。 突然だった。 ククールが倒れた。 いよいよ体を悪くしたらしい。 ククールは大丈夫といっていたが、顔色が悪かった。 暫く寝たきりの生活が続く 「無理をするな。二人は私が見る。」 「えへへ・・ありがとう。」 そういえば子供ができてからはそんなに触れ合うことがなかった気がする。 「マルチェロ・・」 ククールは起き上がってマルチェロを抱き締める。 「ククール・・・・」 今までのククールに対してのつけが回ってきたのだ。 子供の頃から無理なことをさせて体がもう限界なのだろう。 だから医者はククールに子供を生ませるのを反対した。 ククールはわかってて生んだ。 マルチェロはただ見ることしかできなかった。 「神様って意地悪だな・・」 ククールは独り言のようにつぶやく 「ククール・・・?」 「だって今すごく幸せだ。それなのに幸せの絶頂で神様は命を奪うんだぜ?」 「ククール」 「それに・・・やっとマルチェロとこうして仲良く暮らせることができたのに・・・」 「もういい・・興奮すると体によくない」 ククールはマルチェロの手を握る。 「私は・・・マルチェロとずっと一緒にいたかった。小さい頃からずっと!ずっとそれなのに・・」 目から涙が出てくる。 「無理をするな。決して治らないわけではない。今はゆっくり安静にして治すんだ。」 「うん・・・」 「・・・マルチェロ・・・」 「なんだ・・・?」 「愛してる・・・」 ククールはそうつぶやいてにっこり笑った。 いつもその後を返すことはなかった。 何を今更言えるものじゃない。 今更、・・・・・いえるはずがないだろう。 いまだ臆病な自分がいる。 「・・マルチェロはいつも何も言ってくれないね。」 「・・・・・・」 冬の寒い日だった。 ククールの病状が悪化した。 「最善の手は尽くしました。今日が峠ですね。」 「そうですか・・」 ククールの顔は青白く息が荒かった。 ルカとサラはククールに引っ付いている。 「ルカ、サラ、静かにしなさい。」 ククールは何かつぶやいていた。 「ククール・・・?」 「・・・私のことは気にしないでね。ありがとう。」 「何を言ってるんだ?!」 「・・・私・・・貴方の優しさに甘えてた。」 違う 「ゴメンね・・・」 ククールは泣きながらも笑顔だった。 ククールの言いたいことはマルチェロには良くわかる。 でも、それは誤解だ。 「ずっと夢見ていたことが叶って幸せだった。一緒い入れてよかった。短かったけど・・」 「私もだ。・・・ククール。」 「無理しなくていいよ・・・あのね・・マルチェロ・・」 「なんだ・・・」 「好きだよ・・・・・・・・・・」 そういってククールは何も言わなくなった。 医者はククールの手首の脈を測った。 「・・・・お気の毒ですが・・・」 「そうですか・・・・・・・」 逝ってしまった。 どうすればいいのかわからない。 あの夜なぜだか涙が止まらなかった。 なんで出たのだろう? 私は一体・・・・・・? それから半年が過ぎた。 ククールを死を誰にも知らせていなかった。 ひょんなことから、ルカとサラが偶然ゼシカと会い、ゼシカは知ってしまった。 それから、ゼシカはマルチェロのことが心配になり、たびたび訪れるようになった。 そして、体を崩し、精神的に弱くなり本音を子供たちに聞かれてしまった。 正直私は逃げていた。 ククールという存在に 私は弱い それでも私のことを好きといってくれるククールがい愛しかったのに・・・ 子供たちはいなくなり必死に探す。 また失ってしまうのか? 大切なものを? あの時、勇気がなくて何も言うことができなくククールは逝ってしまった。 今はあの二人がかけがえのない存在なのに。 ククールの忘れ形見・・・ ルカ・・サラ無事でいてくれ 湖のところでふたりを見つけた。 子供は泣きながら自分に嫌われてるんじゃないと思い泣いていた。 あぁ・・・そっかククールお前もずっと私に、まだ恨まれてるんじゃないかと怯えていたんだな。 だからいつも・・・・・好きといって・・・ ゴメンな・・・ククールかわってあげられなくて ”ククール” 「ルカ・・・サラ・・・」 ”ごめんな” 「ルカとサラはパパの子供だから、何も悪くない・・。」 ”愛してるよ” 「ルカもサラも大好きだよ。」 ”ずっと・・・” 「さあ・・・帰ろう」 私が不甲斐ないばかりに・・・遠回りをしすぎてしまった。 初めて自分に向かいあえたような気がした。 もう大丈夫だろう。 マルチェロは、久しぶりにククールの墓の前に立ち新しい花を添え、墓石に口付けた。 「愛しているよ・・・ずっといえなくて悪かった・・・。」 --------------------------END-------------------------- かなり微妙です。 はっきり言って何が言いたいのか私にもわかりません←はい? 書きたかったのは、ククールが死ぬシーンと、ルカ・サラ失踪時のマルチェロの描写。 コレだけです。 もう十分です。書き逃げします。 なんか日記みたいになってしまった・・あわわ!! |
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