この恋を君に捧ぐ  6





「よ、スザク!なんだよ機嫌悪そうじゃん。」
「・・・悪いなんてモンじゃないよ〜。」

スザクはブスっとした顔で、不満を友達にぶつけた。


「何でだよ?そういえば婚約者の皇女様とはどう?もうやった?」
「・・できないから不満なんだよ。」
「え?うっそマジ?」

あの手の早いスザクが未だ何もしていないと聞いて友達は目を開く。


「・・・・父さんがさ、変な根回ししてさ〜。式終わるまでお預け。」
「それは災難だな。」


「俺としては早くうち解けたいんだけどね。」
「何を?」
「ナニを・・」
「ププ・・!!」




スザクの下品発言に友達は腹を抱える。

「お前それ間違っても皇女様にいうなよ。」
「当たり前だよ。でも意味わかんないと思うけどね。それよりまだ学校こなきゃ行けないのか・・」
「もう少しだって。一般受験の家庭研修はいるから・・。」
「つぎは卒業式までお休み。」




スザクは高校でも最高学年だ。
進路は推薦できまっていたが、一部は受験を控えている。
2月はまるまる学校が休みになる。


3月は卒業式でおわりだ。
はやく冬がすぎないだろうか?


スザクはルルーシュに触れたくてたまらないのだ。
よくわからないけど、自分から触れてみたいと思うのが初めてだったからだ。
首から垣間見える白い肌に、顔を埋められる日は何時になるのか?

それ以前に、ルルーシュはスザクを警戒しているというか怖がっている。
顔には出ていないが、瞳がそれを物語っている。
目は口ほどにものを言う。
そんな言葉が見事に当てはまる。











あれにはどうにかならないものか?
せっかく仲良くなろうとしているのに、肝心の本人が拒否をしている。

「・・・日本人馬鹿にしてるのか?・・・・・ただいま。」
「おかえりなさい。」

乱暴に扉を開けた目の前に、ルルーシュは立っていた。
普段はめったに部屋から出ないのに、何故こんなところにいるのだ?

「あれ・・・珍しいね。」
「・・・たまには・・・。」
「ふうん、そう。」

会話は成り立つが、目線が・・・・まったく顔を合わせてくれない。

「ね、ルルーシュ。」
「!」

スザクはルルーシュを壁際へと迫らせる。
両手を壁につけて、逃げられないように確保をする。
ルルーシュは顔を赤くして、自分の身を守るように両手を体の前に構えて下を向いた。

「俺は君と仲良くしたいんだけどな・・。」

声は頭の間近からした。

「ね、顔上げてよ。」

スザクはルルーシュのあごを掴んで無理やり上に向けさせる。

「あ・・・」

ルルーシュはスザクの腕を掴み、逃げようと試みたがスザクはびくともしなかった。

「ルルーシュだって変に気を使って距離とるより、仲良くして普通にここに居たほうがいいでしょ?」
「え・・その・・・私は・・・・。」
「ルルーシュ様、ルルーシュ様〜。お手紙とお荷物が届いてます。」

「あの・・・呼ばれてるので・・。」
スザクは舌打ちをしながら、手を離した。
逃げるようにルルーシュは、呼ばれた部屋へ去っていく。


「あと、もう少しだったのにな・・・残念。」

とりあえず、ルルーシュ宛てに届いた荷物に興味があるので、
荷物を部屋に置きにいってから、スザクも同じ部屋に行くことにした。


「ルルーシュ様、コーネリア様とユーフェミア様からからです。」
部屋に入ってきたルルーシュが見たのものは、綺麗に包装された箱と手紙だった。

「まぁ、素敵!ウェディングドレスだわ。」

ルルーシュは二人の手紙を読み始めた。







>親愛なる妹ルルーシュへ
 

ルルーシュ、元気か?
お前が居なくなってから、シュナイゼル兄上とクロヴィスはとても寂しそうだ。
無論、父上も同じだけどな・・・。
お前の夫になる男、枢木スザクといったか?
報告に書いてあったように、アイツはとんでもない男だ。
可愛いお前に何をしてくるかわからない。
私から首相に話は通してあるから、大丈夫だと思うが・・・・。

話は変わるが、贈り物を見たか?
私とユフィでお前のドレスをデザインして作ってみたのだが・・・
気に入ってくれたら是非着ておくれ。
もうドレスの衣装合わせがすんでいるのなら、無理して着なくていい。
きっと綺麗な花嫁になるだろうな・・・・
今度の挙式でお前に会えるのを楽しみにしているよ。

P・S
何かあったら必ず連絡しろ!すぐにても飛んできてやるからな

                          コーネリア





>大好きなルルーシュお姉さまへ

お元気ですか?私とお姉さまは元気です。
(シュナイゼルお兄様とクロヴィスお兄様はなんか寂しそうですが・・・
 お父様も平気なフリしてますけど、本当は寂しいんですよ♪)

実はお姉さまと二人でルルーシュお姉さまにドレスを作ったんです!
ルルーシュお姉さまは、ナナリーと同じでリボンがお好きでしたよね。
それにちなんで、後ろのウエストを絞るリボンが私の自信作です。
素材や全体的なバランスはお姉さまが考えてくれたんですよ。

挙式はお姉さまも私も勿論出席します。
早く春にならないかしら?
お姉さまはルルーシュお姉さまの旦那様をあんまり気に入ってないけど
私はお会いするの楽しみです。
ちゃんと紹介してくだいね。

                          ユーフェミア



「ルルーシュ様、合わせてみますか?」

ドレスを広げたお手伝いさんは、ルルーシュにあててみた。
せっかく二人がルルーシュのために作ってくれたのだ。
着ないわけにはいかない。

「そうですね。お願いします。」


ルルーシュは着ている服を脱ぎ始めた。


「ブリタニアでは、背中の開いているのがはやっているんですか?」
「そうですね。前より後ろ開きが今流行で・・。」
「日本では、ノースリーブで後ろ裾の長いのが流行なんですよ。これは少し後ろが短めですね。」

お手伝いさんはルルーシュの着ていた服を畳み、ドレスを渡した。
さすが姉妹の見立てはいい。
サイズもぴったりで、ルルーシュによく似合っている。

「まぁ、素敵ですね。」
「はは・・・これでは服に負けそうです。」

鏡の前に立ってルルーシュは、シンプルながらも豪華なドレスに戸惑う。



「ね、ルルーシュ。なにが届いたの?」
「スザク様!」

ノックも声をかける事もしないで、スザクがいきなり入ってきた。


「あ・・・・。」


スザクはルルーシュがウエディングドレスを着ていることに気がつくと、荷物の正体がわかる。

(・・・へぇ・・・)

純白のドレスに身を包むルルーシュ。
とても見惚れてしまう。

「スザク様、いきなりではルルーシュ様もびっくりしますよ。」
「・・!ハハ・・そうか、ごめんね。ルルーシュ。」

「・・・・別に、途中じゃなかったから・・。」

不幸中の幸いである。
確かに着替え途中のほうが、肌は露出してるから惜しい気もするが、
こんなに綺麗なら別にかまわなかった。


「・・・あの、私もう着替えたいんだが・・。」
「え・・?」
「このままじゃ・・。」
「ごめんね。俺は戻るよ。」

スザクはルルーシュの言うことを察して、部屋から出て行った。

「まったくスザク様は・・・ルルーシュ様、ドレスはこちらにしまっておきます。
 それと思い出しましたが、白むくも今合わせてしまっていいですか?」
「ええ、かまいません。」










「あぁ・・・びっくりした。」



好奇心丸出しで入った部屋にルルーシュがウェディングドレス姿で立っていたのだから
驚くのも無理もない。

「綺麗だった・・・・な・・。」

さっきの光景を思い出して、スザクは口元がゆるむ。

「・・・早く春にならないかな。」
手を口にあてて座り込んだ。
あれは反則だ。
一瞬時間が止まったかのように、スザクの回りが静かになったのだった。
使用人が声をかけてくるまで、動けなかった。



「・・・早く春にならないかな。」

これほどある日を指折りにして楽しみに待つ事はなかった。

















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