好敵手は美しい女だった   5




頭が朦朧とする。
骸が大人しいのをいい事に、雲雀は手を進めていく。

「ワォ、大人しいね。やっと決心してくれたのかい?」

骸からの返答はなかった。
この沈黙を肯定と読み取って、雲雀は骸の着ている服を脱がし始めた。

肌理の細かい肌の感触に笑みがこぼれる。

「・・・・。」


(どうして僕は拒めないんでしょうか?)

意識が飛んでいる骸は、大人しく雲雀のいいようにされている。
膝を割われて雲雀が前に立っていることに気付かない。

(僕は・・男です。女の子では・・・ないハズです。)

それなのにどうして、目の前にいる雲雀は自分を女のように扱い、
服を脱がし、肌に触れてくるのでしょうか?


「綺麗だね・・。骸。」


脱ぎにくい服に少々手間取り、雲雀は骸の着ている服を胸元の部分を破った。
ビリっと布を切り裂いた音と一緒に、丁寧に編まれたレースは解けてしまった。

「流石僕。見立ては完璧だね。」


上は下着のみで、腰に来ているワンピースが落ちている。
下着も良く骸に合っていた。
後ろのホックを外して生の骸の胸を堪能してる時だった。





「委員長。この資料に目を・・・・。」


応接室に草壁が入ってきた。
草壁は、応接室にいる雲雀と骸の姿をみて固まった。

骸はソファに横になって、上は下着を外され胸が見えている。
下半身はワンピースのスカート部分は、捲れ上がって綺麗な脚が顔を覗かせていた。
脚の間に、雲雀が覆いかぶさり手は骸の豊かな胸の上に乗っていた。


「・・・・。」

雲雀の尋常ならぬ殺気に、草壁は脂汗をかいた。
間違いなく今逃げないと殺される。


「草壁・・・。」

「・・・ヘイ・・・。」

「さっさと出て行ってくれない?今いいところなんだから・・。」

「・・?草・・壁?」


第三者の出現で、骸の口が開いた。
そういえば、どうして骸が雲雀に押し倒されているのか草壁には謎だ。
並盛生徒を襲った事件の主犯は、六道骸だと聞いたが、確か骸は男のハズ。
しかし、今雲雀の目の前にいる骸という存在はどこからどう見ても女だた。


「え・・女・・・?」

思わずポロっと草壁からそんな言葉が漏れてしまった。

「六道骸は・・女?!」


「あ・・・!!」


今の草壁の言葉に、骸の意識がハッキリと戻った。
朝ベッドから起き上がるように、腰を上げる。

「ワォ。骸大人しくしててよ。これからがいいところなのに・・。」

さっきまで骸が大人しかっただけに、雲雀の警戒が解かれている。
今なら逃げ出せるかもしれない。
と、いうか今の自分の格好と状況を見て骸は急に恥かしくなって
雲雀を突き飛ばした。
油断していた雲雀は、ソファから落ちてしまった。

「痛いよ・・骸。」

「い・・やぁぁあぁああぁぁ!!!!」


骸はドアの前にいた草壁さえも突き飛ばして、逃げてしまった。

「・・・委員長。アレは骸なのですか?」

「それより草壁・・・・・死ぬ覚悟は出来てるかい?」


骸との楽しみを3回も邪魔が入り、いつもよりオーラが黒い。

「殺す・・・!!!!」










「ハァハァ・・・。」

骸は無我夢中で走った。
途中廊下で数人の並盛生徒とすれ違ったが、そんな事気にしてられない。
あの中に、ボンゴレ達がいないことを祈った。

走りながらワンピースを直すが胸元が破けてしまっていて
隠しながらでは上手く走れなかった。
ブラのホックもハズされているわで、走ると胸が揺れて痛い。

初めてのミュールで足が痛いし散々である。


「キャ!!!」


慣れないヒールで走って転んでしまった。

「うう・・・。」

泣いては駄目だ。
ここはまだ並盛町、誰が見てるか分からない。

転んでからは骸は、歩きながら帰った。
どうやら転んでを捻ったのか、左足が痛んだ。




「・・・骸様、遅いですね。」

「な、柿ピー迎えに言った方がいいぴょん?」

「そうだな。最近の骸様・・・。」

「俺も思う。骸しゃんなんか・・・雰囲気が変わった。」

「私も・・そう思う。」



「行こう、犬、クローム。」

「おう!ってあれ?骸さん?!」

「・・・骸様!!」


骸の帰りが遅いと思い、千種と犬、クロームは骸を迎えにいこうとした矢先、骸は帰ってきた。
とりあえず一安心と思いきや、三人は骸の姿を見て絶句した。

家を出る前は骸は黒曜中の男子制服を着ていたはず。
なのに今骸がきているのは、女の子が好んで着る可愛い服だった。
が、胸元は大きく破かれ、脚はキズだらけで立ち方がおかしい。

「骸さん・・・」

「骸様・・。」


「あ・・・ぁ・・。」


骸は千種の胸に体を預けたとたん泣き出した。
叫ぶような鳴き声に、千種も犬も驚いた。
骸の泣き声に、クロームも駆け寄る。

骸の体の力が抜けてきた、膝が曲がり床に座り込む。


「大丈夫ですよ、骸様。俺たちがいます。」

「そうれす。骸しゃん、何も怖いことなんかないびょん!」


「う・・あぁ・・いや・・いやです。こんな・・・こんなの僕じゃない・・。」


変わってしまう事への恐怖。
千種の中でうずくまっている骸はもう以前の骸ではなかった。
完全に女になりつつあるその姿に、大丈夫と三人は受け入れた。



「やぁ、君忘れ物だよ。」



「「「!!!」」」

「何しに来たの?雲雀恭弥?」

一番冷静だったクロームが、窓から顔を覗かせている雲雀に前に立つ。
クロームはトライデントを持って今でもかかっていきそうな様子だ。

「別に僕は、骸の忘れ物を届けに着ただけだよ。」

雲雀の手にあったのは、骸が雲雀に返そうとしたプレゼントの山だった。

「ソレ・・・骸様が返そうとして・・。」

「これは君のだ。」

雲雀は構わず家の中に入り込んで、骸の前に跪いた。


「骸、これ返すよ。」

紙袋の中には、さっきまで着ていた黒曜中の制服も入っていた。


「帰れ。雲雀恭弥、お前のせいで骸様は・・。」

「そうだ!帰れびょん!」

「言われなくてももう帰るよ。骸・・・。」


雲雀に呼ばれて骸はビクっと、方を振るわせた。

「コッチを向いてご覧。」

骸はゆっくりと後ろを振り返った。


「誰にも見せないって思ってたのにゴメンネ。
 一つだけ言っておくけど、僕は君の事好きだよ。例えどんな君でもね・・・。」

チュウとリップ音をたててキスをした。

「・・!!!」

「じゃぁね、骸。」


雲雀は何事もなかったかのように窓から帰っていった。


「・・・人騒がせ。」

「アヒルのやつ・・。」

「骸様、立てますか?着替えになったほうがいいです。紅茶でも入れておきますから。」


「そうですね・・千種。お願いします。クローム手伝ってもらえますか?」

「はい。骸様。」









着替えが終わり千種は骸の一番好きな紅茶を入れてくれた。

部屋で一番好きな銘柄の紅茶を飲む。
こうやって部屋でお気に入りの紅茶を飲んでいる時間が一番落ち着く。


(どうして僕はアノ時・・・。)

思い出して顔が赤くなる。
掴まれた腕、乱される服、鋭い眼差し。
あの瞳に見つめられると全てがどうでもよくなってしまう。

射抜かれるような瞳に、骸の鼓動も大きくなった。

ドクンドクンと大きく動く己の心臓。
不思議とときめく自分の胸。

「僕は一体どうしたいんでしょう・・?」


『僕は君の事好きだよ。』


言われて嬉しかった。


あぁ、もう駄目だ完全に雲雀を一人の男性として意識してしまっている。
その仕草、様子はもう女だ。
怖い・・女である自分が怖い。でも・・・・雲雀恭弥に好きといわれる女の自分は・・・・
なんだか嬉しい気がするのは何故?

「そっか・・・僕はもう・・・。」



女になってしまっている。















「・・・やぁ、骸。来ると思っていたよ。」

「こんにちは。雲雀恭弥。」


次の日、骸は再び雲雀の元へ訪れた。
今度は男でも好敵手でもなく・・・・・・


「そっちも着てくれたんだ。似合ってるよ。」


骸の身を包んでいるのは、先日雲雀が骸に送ったものだった。

パタンとドアの閉めて、雲雀の前に立つ。

「雲雀君・・僕は・・・。」

「骸、おいで・・・。」

骸の言いたい事はもう分かっているというのか、言葉をさえぎって骸を抱きとめた。
そうして待ちきれないように口付けをかわす。

すぐに舌が入ってきて、骸の口内を犯した。

「く・・は・・はぁ・・。」

「骸・・・君はもう僕のものだよ。」

もう離してあげない、手放してあげない。
やっと堕ちてくれた美しい女。

彼女の瞳は恋に落ちている女の瞳。

骸を抱えてソファにおろせば、そこからもう二人の時間だった。


「僕が君を女にしてあげる。」






倒したいと思っていた人は美しい女だった。
それを愛でる事が出来るのは、彼女の好敵手となる事ができた彼のみ・・・。














---END---


お・・・終わった。やっと骸様が委員長に落ちてくれました。
本当は始め短編で1話で終わり!っという予定でしたが、
結局くっつくまで書いてしまいました。

本当はね、コレ蛇足的な続きも考えてるよ。
これから始まる二人のエロシーンとかね(笑)
その後、一線越えた後に二人でちょっとソファの上でまどろみながら
第2ラウンド・・・ってところにまた邪魔がはいっちゃうとか(笑)

今度は、ツナ達が応接室に入って雲雀に咬み殺されちゃうとか
骸は体が辛くて動けなくて、ソファから一歩も動けないから
脱がされたままで意識が朦朧としてたりとか
それを見ちゃって、顔を赤くするツナ達とか

考えてるんだけど、ストーリー上としてはここが一番キリがいいかなと思って
ここで区切らせていただきました。

・・・えっと蛇足読みたいですか?


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