DOLL   2





次の朝、ククールが朝のお祈りに出席することはなかった。


体を綺麗にして、ベッドの中に入ってそのまま熟睡してしまいお昼まで寝ていたのだ。



このククールの失態に兄のマルチェロは眉間にしわがよる一方だ。



マルチェロは一言で言えばひどく潔癖な男だった。
性欲だの、男同士だのそういった話にはあまりかかわらないようにしていた。
誘われても断る一方だっだ。
男女ならまだしも男と男、嫌悪感を持っていた。



数年前の話だ。

まだククールが少年だった時代
団員達の欲のはけ口となっていたのをずっと見ているだけだった。

ずっと見ていた。


ククールは視線をマルチェロへ投げる。
その瞳は助けを求めているとうことはわかっている。



サラサラで綺麗な長い髪の毛

容姿端麗な顔

透き通る肌

華奢な体

声変わりもしていない高い声



目をつけられる要素がありすぎた。
頻繁に行われる行為は、団員達の目の保養となり、欲のはけ口となる。


そして今日もマルチェロは冷たい視線を送り続ける。




そして、飽きたら去っていく
それがマルチェロの日常だった。



時々気まぐれで最後までいて、異母兄弟のククールを部屋を運んだりした。
そんな事指の数しかなかったけど・・・・・





初めの頃は、ククールの顔の青さには院長も心配していた。


事情を知った時は、ククールを自分の部屋にいるようにさせていた。
いつも一緒に行動するようにした。
いわば、暫くククールは院長の付き人というような形になっていた。


出張で修道院から離れる時も、院長はククールを放さなかった。
それにククールもひと時も、院長から離れることはなかった。
アンナ思いはしたくないからだ。

でも、そんな事つかの間の平和にしか過ぎない事ぐらい知っている。









それとは反対にあまりに院長に可愛がれ過ぎて、逆に快く思わない人も結構いたのだ。
騎士団の殆んどは、貴族などのある程度の地位を持った人がほとんどだった。
しかし、最近はそうでもない
マルチェロを初め、行き場を失った者も腕や知力しだいで入れるようにまでなっていた。



院長はそんなもの達のいわば第二の親だ。
一人だけ可愛がられているククールに好感は持てない。






無論マルチェロも同じ気持ちだった。
いや、むしろ他の人より大きくそんな感情を持っているかもしれない。


ククールを憎むあまり、嫉妬心が公に出ていた。






さすがの院長もこれ以上傍に置いておくのは危険だと思い、ククールを元の生活に戻した。


ククールは少しいやな気持ちがあったが、仕方ないと元の生活のサイクルを取り戻していった。





そして、マルチェロはククールとは反対に順々と地位をあげていった。
小隊長、分隊長、副団長・・・・


マルチェロが地位を上げていくたびに、それらの行為は少なくなっていったがククールへの仕打ちだけは変わらなかった。
彼がククールを嫌っているのを皆知っていたので、誰も咎めるものはいなかった。



だが、あまり公には出来ない。
もともと影ながらデ行われていた情事だったので今より極秘で行われていた事のようだった。





マルチェロが上に立つことによって、そういうことがうやりにくくなってきたのだ。

ククールを辱めることに快感を感じえいた団員達は、そんなことやめる事は出来ないかのようにずっと続いていたのだ。




マルチェロが団長になり、騎士団のトップのになってからはこういったことを廃止した。
秩序を狂わす下賎な行為にマルチェロは終止符をうった。


























ククールは夜中抜け出して、ドニの町へ行こうとした。
しかし、途中で他の団員に見つかり行くのをやめた。

軽く舌打ちをして部屋に戻ろうとした時、呼び止められた。



「丁度お前の部屋に行こうと思ってたんだよ。」

「・・・?」

こんな夜中に何の用事があるのか?


「俺はもう寝る。」

きっといいことじゃない。
呼び止めた団員はいつもククールを陵辱するメンバーではなかったが身の危険を感じた。
戻ることだけ言ってさっさと歩き始めたら腕をつかまれた。



「・・・駄目だよ・・・。みんなククールを待ってるんだから。」

「何のことだよ。」
「ごめんね。ククール・・・。」


腹部に鈍い痛みを感じた。
それからのことは覚えていない。
















目が覚めると自分の予想通りの展開になっていたことがわかった。
目に見えるアイアンメイデン

壁にぶら下がる鎖

三角木馬


腕は縛られていて解けない



いくら口で言ったって無駄だ。
今まで散々欲を思いのままにやってきたのだ。
歯止めが利かない奴らだって充分と言っていいほどいるはずだ。



「起きたな・・」
いつものメンバーだけじゃなかった。
数えていたら大人数だった。

怖くなった。
いつも怖かったが、こんなに恐怖感を感じることはなかった。
いつもは縛られることなんてなかったし、こんな10人はいる。



「ククール・・・お前震えてる?」

見るからに顔は悪く
瞳が怯えている。

ククールは黙ったまま震える体を必死に抑えていた。


「・・・へへへ・・お前今までで一番いい反応してるぞ?」
下賤な笑いを浮かべながら一人がつぶやいた。

「はなせ・・・・」
震える声えつぶやいたが、団員達を煽るしかなかった。

「俺・・男とこういうことするのは初めてだけど・・なんか興奮してきた。」
「おれも・・」

他の騎士団の顔がだんだん雄の顔むき出しになってきた。
大人数で囲まれる。
駄目だ。
完全に逃げられない。

「久しぶりだからな。たっぷり可愛がってやるよ。」
「そうそう、最近は団長がこういったことを禁じてたからうかつに動けなかったしな。」

あぁ・・・やっぱり


「さっさとやっちまうぞ!」





いくつになっても
環境が変わろうと

なにも変わらない













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