幼い果実 1 エイトは中学を卒業した後、私立の高校に入学した。 入学式の日綺麗な男の子を見た。 銀髪の髪の毛、綺麗なブルーの瞳をした少年だった。 その少年は、髪を後ろで束ね風に揺れ桜吹雪と似合いすぎて見ぼれていた。 「ククール!」 「あぁ。兄貴。」 銀髪の少年は、黒い髪のどうやら兄らしき人物と去っていった。 もう、入学式も終わり帰る時間帯だった。 エイトは一学年の時はその少年とは同じクラスにはなれなかった。 でも、エイトは思った。 友達になりたいと・・・・・・・ そして、2年になったときだ。 クラス替えをしてククールと同じクラスになることが出来た。 しかし、一年の時の仲の良かった友達とは離れてしまった。 そんなエイトが初めて2年で友達になった人物は、19歳で留年をしていたヤンガスだった。 彼は見た目が怖そうで、近づくものはいなかったがエイトだけは違った。 ヤンガスはそんなエイトの優しさに感動し、それ以来ヤンガスはエイトのことを 「兄貴」 と呼んでいる。 一方、ククールは誰にも交わらないで一人で教室にいた。 本を読んで、寝てて、ボーっとしている。 誰も話しかけようとはしない。 やっぱり綺麗な人だ。 女の子もさわいでるし、ククールが休み時間寝てると 「ククール君寝てるよ。」 「ほんとだ。カッコイイよね!」 「綺麗な髪の毛だよね。いいな〜。」 「それに日本語ぺらぺらだよね。」 なんてこともある。 声をかけたいんだけど、人目が気になる。 今までククールに話しかけてくる人なんて居なかった。 みんなククールのことを見てるだけだった。 きっと触れられない聖域なんだ。 それはクラスの暗黙の了解だった。 男子ならまだしも、カッコイイ男に女の子がキャーキャー群がらない。 これほどのカリスマ性を持った人は初めてだった。 別に先頭に立っているわけでもないのに。 可笑しいね。 外国人だし英語もうまいかと思いきや、イタリアで暮らしていた為英語はからっきしだそうだ。 しかし、発音はうまかった。 日本語はあまり顔の肉を使わないし、舌をあげるだの下げるだのしないから他の語学を覚えるには辛い。 勉強がどうこうってわけではないが、中の上くらいだと思う。 凄いなとエイトは本気で思った。 「ははは・・あっしなんていまだに下でやすよ。」 「ヤンガス、僕はちゃんと今年で進級するからね。」 「おっと、これはいけない!」 それは体育の時間の時だった。 男子は剣道で、武術専用体育館でのことだった。 偶然2人で組み手をとることになって、エイトの相手はククールだった。 ビックリだ。 「兄貴〜アンナ奴兄貴なら一発でやすよ!」 エイトは剣道部に所属していた。 だから自身があった、レギュラーだし結構腕前はあると思う。 でも、実際やってみると 「一本!!」 勝ったのはククールだった。 隙をつかれて、一本とられてしまった。 その素早い動きが閃光のようだった。 防具を片付けて居る時 頭の被り物を脱いだ瞬間が綺麗だった。 汗ばんで、髪はアップにしていたから余計だった。 変な色気が出てて・・ 「兄貴!何してるんでやすか?」 「え・・あ・・・」 エイトの目線の先はククールだった。 「あ・・ククールの奴を見てたんでげすね。あいつ俺の兄貴をいともたやすく・・なかなかやるでげす。」 「ヤンガスはククールの事どうおもう?」 「そうでげすね〜」 ヤンガスは考え込んだ後結論を出した。 「・・・女みたいな奴だと思ってたんでげすが、やかやなやる奴でげすね。」 「女みたいね。」 実際女子の服を着ても違和感はないと思う。 「で?ククールの奴になんで・・・」 「ん?あんなに腕があるなら、剣道部にスカウトしようかなって・・」 「そうでげすか。」 これは単なる口実だ。 まあ、同じ部活に入れればなんて思ったのは事実 話しかけることに重要があり、部活に入る入らないはどうでもいい これをきっかけに仲良くなりたい。 放課後、エイトは思い切ってククール話しかけてみた。 「・・・ククール。」 「・・・何?」 ククールはびっくりしてその後、それとなく聞き返した。 「なんか用?」 「さっきの体育の時間でさ、ちょっと話したいんだ。」 「・・・」 「僕、剣道部に入ってるんだけどククール入ってみない?君、動きが素早いし強かったからスカウトしたいんだ。」 あっけにとられたククールだが、暫く黙ったままだった。 迷っているのか? もし、他の部活にないっているのならすぐ断るはずだ。 もしかしたら・・・・・ 「悪いが、部活に入るつもりはない・・」 「じゃあな・・」 「まって!」 ここで終わってしまうのはいやだ! そう思ったら勝手に呼び止めていた。 「何?」 「僕、今日は部活ないんだ。良かったら一緒に帰らない?君ともっと話してみたい・」 「・・・・別に・・・いいけど。」 うまくいった! 取り合えず、もっと一緒にいたいし寄り道とかしよう。 「ククールって帰りどっか寄る?」 「いいや。まっすぐ帰る。」 「「・・・・」」 「そうなら、今日くらい寄ろうよ。僕、ククールともっと話してみたい。」 「お前・・・面白い奴だな。高校入って話しかけてきたのお前で3人目だよ。」 ククールは小さく笑った。 ああ・・・綺麗な笑顔だな・・なんて見惚れていたのは黙っておこう |
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