幼い果実 3 エイトはずっとヤンガスの言葉が気になっていた。 ”あいつは上級生に目をつけられている” 何でだろう? 目立つ行動はしていない。 放課後だってすぐに帰るのに・・・・・ あれ以来同じクラスなのに顔をあわせることがなかった。 必然的にそうしていたのかもしれない。 休み時間だってそうだし、昼だって、あの時偶然体育で組み手が一緒になっただけだし・・・・・ 放課後になればエイトは部活だ。 ククールはさっさと帰ってしまう。 もう、接点なんてないのだろうか? 「は〜。」 「あら、エイト。どうしたの?大きなため息ついて・・」 「ミーティア・・。」 家のリビングで何度も大きなため息をすれば誰だって気になるはず。 「エイト・・・なにか心配事でもあるんですの?」 ミーティアは怪訝な顔をしてエイトの顔を覗きこみエイトの座っているソファの隣に座った。 ずっと小さい頃からの幼馴染はエイトのほんの小さなところもすぐ見破ってしまう。 「ちょっとね。同じクラスの奴との事で・・」 「それってこの前一緒に帰ったククールさんて人?」 「知ってるの?」 ミーティアはにっこりして続けた。 「人気あるわよね。ファン倶楽部とかあるのよ。」 「ミーティアも入ってるの?」 「いいえ、ミーティアは興味ありませんわ。」 「そうなんだ。僕のクラスの殆んどは皆夢中かな?」 「ミーティアは他の事に夢中ですわ。」 「それって・・・何?」 「秘密です。」 ミーティアは結構秘密主義者である。 エイトとは仲がいいが、本質的な彼女が良く見えない。 いつも自分に優しくしてくれて感謝している。 自分は親なしなのに幸せ者だな・・・・エイトは改めて思った。 その日は雨だった。 エイトは室内の部活に入っていたから雨の日でも普通に活動できる。 しかし、今日は外の運動部のように部活が中止になった。 エイトは提出しそびれた課題を担当の先生へ届けてきたその帰りだった。 ククールを見つけた。 (今日は珍しいな・・・。) そんなこと勝手に思っていた。 ククールの顔色は良く見ると悪かった。 なんか機嫌の悪そうな感じだった。 その視線の先には、3人の男子がいる。 カラーを見るなり上級生だってすぐわかった。 ”あいつ上級生に目をつけられているでガスよ” ヤンガスの言っていたことが脳裏によぎった。 「まさか・・・」 エイトは心配で見つからないようにそっとついていった。 もし、集団で暴力がきたら加勢しよう。 鍛えてあるし大丈夫だ。 後ろによって見つからないように角際について目だけをだす。 ククールと3人の上級生は特別教室に入ってしまった。 (しまった!) あそこたしか・・視聴覚室だ・・・ 鍵がある部屋だったと思う。 しかも一番遠いところにあるからあまり誰も使わない。 まずいな・・・ エイトは見張りのように隣の教室に入って、壁に耳を当てた。 ほんの少しだけど、声が聞こえてくる。 「・・・っとに綺麗だよな。お前。」 ケケケと変な笑いが聞こえてきた。 「欧米はこういうの進んでるんだろ?どうやるんだよ。」 「イタリアでもこんなことしてたのかよ?」 上級生の声だけでククールの声は聞こえなかった。 しかし、一体何の意味なのかエイトにはわからなかった。 殴る音は消えないからとりあえず様子を見ることにした。 「・・・・・つ・・・」 一瞬かすかだが聞こえた。 ククールだ。 中で一体何をしてるんだ? 混乱する一方だ。 目をつけられてるの? それともただつるんでるだけ? 此処まで来て何もないのなら、そんな考えだって出てくる。 「あう・・・・や・・」 「すっげ・・・」 「そこら辺の女よりずっといいぜ?こいつ・・。」 「あ・・・我慢できねぇよ。」 荒い息 曇った声 今、隣の部屋で行われている行為を理解した。 でも・・・・女の子なんていないよ。 もしかしてビデオとか? でもそれだったら違う。 現実にいまあの4人で行われているんだ。 でもどうやって? 「やぁ・・・!あぁ・・」 「ククールお前・・結構淫乱だよね。」 「男に犯されて気持ちいいのかよ。」 「やめとけってこいつそういう性癖なんだろ?」 「・・・・・!!・・・・・」 心臓がはちきれそうだった。 今の言葉・・・本当? じゃあ、エイトの推測が正しければ男同士でやってククールが女の役をしてるって事? 「あぁ・・はぁ・・」 踏み込んじゃいけないところにきたみたいだ。 気がつけばエイトは瞳に大粒の涙をためていた。 「ククール・・」 呟いた言葉は聞こえるはずもなく 隣の部屋から聞こえてくるククールの喘いだ声がただ響くだけだった。 「んん・・」 「お前・・しゃぶるのもうまいな・・はは!!」 「お前何回した?まだいけそうかよ。」 「あう・・・」 「震えてるぞ?ククールちゃんよぉ・・ひゃははは女より可愛いな。こいつ。」 「でもよ、この背中の傷もったいねぇな。」 エイトは震えてしゃがみこみ、隣の情事が終わるのをひたすら待っていた。 ”俺にあんまりかかわらない方がいい・・・” 確かに彼はそういった。 でも、それじゃ何にも救いの施しようがないよ。 まだ、艶やかな声は響き渡っていた。 |
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