幼い果実 4 エイトはどうしたらいいのかわからなく、ただ壁にもたれて泣いていた。 隣の声はだんだん大きくなって良く聞こえる。 ククールの声が・・・ 女の子みたいな曇った声が・・・ 「けけ・・・良かったぜククールちゃん。」 「また相手してくれよ。」 結構な時間がたった後、そんな声が聞こえてきた。 時計に目をやると、もう夜になっていた。 もうここにどのくらいいたんだろう。 扉の開く音がしてとりあえず様子を見た。 いたのは上級生。 ククールはまだ中にいる。 完全に上級生がいなくなったと、エイトは意を決して視聴覚室の中へ入った。 そこには案の定ククールがいた。 まだ裸で体の後始末をしていた。 「お前!!!」 ククールはエイトの存在に気づくと、あわてて服で体を隠した。 「なんでここに?!ククールは驚きを隠せなかった。」 エイトもエイトでククールになんて言葉を投げたらいいのかわからなかった。 ここは夜の巡回ぐらいしかあまり人が来ない処だ。 こんなところで偶然に会うなんて可笑しすぎる。 「お前・・・俺の後ついてきたのか?」 エイトは首を振る。 「違う、偶然見かけたんだ。部活の・・」 「今日は剣道部なんてないよな?一緒にいたやつらに剣道部員がいたぜ?」 しまった。 そういえば、一人いた。 部活の先輩が・・・!! 「おまえずっと此処にいたのかよ?!」 「ククー・・・」 「そんなに俺のこんなの見て楽しいのかよ?」 ククールは怒鳴りだした。 「違うよ・・・ただ・・・!!」 「うるせぇよ!!何が”友達になりたい”だよ結局お前だったあいつらとおんなじだ!!」 「誤解だ・・」 もう何を言ってもククールはなしを聞いてくれない。 「もういい!俺は言ったはずだ関わるなと!」 「クク・・」 「もう、俺に近づくな!!」 ククールはさっさとワイシャツを着てエイトを跳ね除けて出て行った。 「ククール!!」 外は放課後より雨が酷くなっていた。 夜になって気温も下がっている。 エイトはため息をつく そんなはずではなかった。 まさか、あんなことが行われているなんて思っても見なかったのだ。 エイトも教室へもどり私宅をして、変えることにした。 窓からククールの姿が見えた。 暗くてよく見えなかったけど、きっとあれはククールだ。 ククールは傘をさしていなかった。 次の日、案の定ククールは欠席だった。 あんな雨の中、傘をささずに走ってかえりゃ風邪も引くだろう。 エイトはククールとの誤解を解きたかった。 学校の課題もでてるし、お見舞いに行きたかった。 でも、近くまでは知っていたが詳しいところまでは知らなかった。 エイトは今日部活を休み、放課後担任にククールの住所を聞いてお見舞いに行くことにした。 途中で、ククールの好きそうなデザートを買って・・・・・ 「確かこの辺りのはずなんだけど・・・」 メモを見ながら、きょろきょろとあたりを見回した。」 でもすぐに見つかった。 「・・・・でかいよ・・・。」 兄弟二人で住んでいる割には、とも大きすぎる家だった。 (・・・・・・きっとククール一人だよね。お兄さんは仕事だよね?) 緊張してインターホンを押すのに時間がかかった。 アナウンスの確認の声はなくおしたらすぐに扉が開いた。 「あの・・・僕ククールのクラスメイトで・・・お見舞いと今日の授業の・・・」 「ああ、ククールの友達かい?アリガトウ。私は兄のマルチェロだ。」 「初めまして、エイトといいます。」 軽くお辞儀をした。 出てきたのはククールの兄マルチェロだった。 似ていない。 黒髪に碧の瞳。本当に兄弟? それに・・・ 「弟なら、2階の奥の部屋にいるよ。」 なんかちゃっといやな笑いを浮かべるお兄さんだった。 「今日は仕事では・・・?」 「今日は私の講義はお休みだ。」 「あ・・・そうだったんですか・・」 講義?そういえばお兄さんがいるだけで何も詳しいことなんて聞いていなかった。 「ククールの友達がくるなんて何年ぶりだろう・・」 「あ・・いえ・・」 「別にコレは私の独り言だ。ククールは寝てると思うけど、顔見に行ったら?」 「あ・・・・そうさせていただきます。 丁寧な言葉なのに、何故か刺々しいのはなんでだろう? それに・・2階へ上がった。 ククールの部屋は奥ではなかった。 ドアにちゃんとプレートが下げてある。 それに奥は、兄の部屋だ・・・。 どうして? 有名店の人気のデザートのプリンをもっておくの部屋へ進んだ。 まさか、もう元気になってるのかな? でもそしたら、マルチェロの部屋にあるのはなおさら可笑しい。 それとも、マルチェロが看病しやすいようにマルチェロの部屋で寝ているのだろうか? 一応ノックをした。 返事はない。 寝ているのだろうか? そっとドアを開けた。 「・・・・・・・・・・・・・」 しんと静まり返った部屋。 ベッドの上にククールはいた。 不自然な格好で・・・・・ 「ククール?!」 持っていた荷物を落としてしまった。 その音でククールの目が覚める。 「ん・・・」 二人の目があった。 「な・・・!!なんでお前ここに・・・・」 エイトは呆然と立ちすくんでいた。 目には涙を浮かべ・・・固まっていた。 ククールもあわててシーツで体を覆った。 ククールの体にはいくつものキズと痕跡があった。 服は脱ぎ散らかされ、全裸だったのだ。 昨日も見たけど、ククールの体は本当にキズだらけなのだ。 それに、なんだか変な臭いがする。 顔もボロボロで、涙の跡があった。 ドアの向こうでマルチェロが声に出さないで笑っていた。 「ご・・・ゴメンククール・・・」 エイトはカバンをもってあわてて飛び出した。 マルチェロに嵌められた。 あのザラっとした雰囲気は・・・まさにエイトを騙そうとしたのだ。 あれは・・・・折檻された後だ。 虐待をされたるんだ。 だから彼はあの時言ったのだ。 ”俺にあんまり関わらないほうかいい” 今この本当の意味を知った。 |
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