隣人は密かに笑う。 2 ルルーシュは丁寧すぎるぐらい体を洗った。 肌に傷がつくのでは?というくらいゴシゴシと擬態語がよく響く。 気持ちが悪かった。 綺麗にしたかった。 でも洗えば、洗うほど手の感触と与えられた熱が消えない。 ルルーシュは最後には冷たいシャワーを浴びて、体のほとぼりを冷ましていた。 制服は、首まで隠れるデザインだったおかげで、なんとか痕は見られずに済みそうだ。 こういう時ルルーシュは背が高くてよかったと、自分の成長期に感謝した。 普通にしてれば何も問題はないのだ。 あったクラスメイトに挨拶を交わして、席に着いた。 「ルルーシュ!おはよう。」 「ぁぁ・・おはようスザク。」 「おーい!!ルルーシュ!スザク!!」 ルルーシュとスザクが互いに挨拶を交わすと、次にリヴァルが声をあげる。 大丈夫だ。これなら大丈夫。 ルルーシュはまた繰るかも知れない、変質者のことを振り払って、”いつものルルーシュ”でいる事に勤めた。 「・・・ルルーシュなんか元気ないね。どうしたの?」 「・・!!え・・?そういうふうに見えるか?」 ほんの少しの変化にスザクだけは気付いたようだ。 伊達に幼馴染ではない。 ルルーシュの少しの変化も、スザクなら普通に気付くのだ。 「・・・なんか・・・顔色悪いよ?大丈夫?」 「あ・・いや・寝不足なんだ。最近ネットチェスにこってて・・・。」 「そうなんだ。睡眠不足を侮っちゃいけないよ。」 「分かってるって。」 どうやら話を切り抜けられて、ルルーシュはホっとした。 自分が普通の女なら、警察にいくないり、スザクに出来るかぎり一緒に居てもらう事が出来たのかななんて思う。 じっさい自分が女でも、警察は素性がバレる可能性があるので行きたくない。 それに・・・他人にそんな事言えない。 ミレイ辺りには相談という形で出来たかも知れないが、自分は男だ。 おおっぴろまにいえるわけが無い。 下手をすれば笑いものだ。 自分で何とかしなければ・・・ ルルーシュは授業などそっちのけで、頭の中は今後の対策と傾向でいっぱいだった。 放課後、生徒会の仕事を終えてルルーシュはクラブハウスのセキュリティ管理室に入った。 残念な事に、プライバシーの侵害だ。という思想から監視カメラはごく一部のところしかつけられていない。 しかし、いたるところにはセンサーは配置されているので、普通そのセンサーに引っかかり反応を示すはずなのだ。 昨夜にはそれが無かった。 一度だけここに強盗が入った事があるのだ。 あの時はナナリーの部屋に侵入したが、すぐに万全なセキュリティのおかげで、すぐに強盗は捕まった。 そう、普通はつかまるはず。 そうならないという事は犯人は、かなりクラブハウスの配置や特徴、データを持っている事。 ずっと狙われていたという事実がルルーシュの頭によぎる。 我ながらつくづつ自分は、女の子もさることながら、男にもモテる事を思い知らされた。 「・・・気持ち悪い。」 ルルーシュはいたってノーマルだ。 男をどうにかしたいなんて、そんなこと考える奴の気が知れない。 ルルーシュはとりあえず、管理のデータを弄くり、設定を最高の設定に変えておいた。 普段は中くらいにしてある。 高くなると、些細な事で警報がなるので、普段は普通レベルなのだ。 しかし、今回はこうでもしないと駄目らしい。 センサーのデーアタや、警報機のレベルをかえ、侵入経路になるところにカメラをつけておいた。 これで何かっても、記録には残るから後々楽だろう。 ルルーシュはとりあえず、これで様子を見ることして、自分の部屋に戻った。 昨日の今日で来る事はないだろう。 暫くの2〜3日は、ルルーシュはビクビクしながらも、ゆっくりすごす事が出来た。 「・・・・お前・・・なんか変だぞ?」 「そうか?」 C.Cはとりあえず言葉だけ、心配しているぞという意思表示をとり、大好きなピザをほおばっていた。 寝る時以外はこうやってルルーシュの部屋で好き勝手やっている。 「・・・お前、二日前の夜。不審な人物を見なかったか?」 「いや、見なかったが・・・」 「が?」 「変は音がしたのは聞こえだぞ。」 「音?・・」 「そう・・・・ソレとお前の声。」 「!!!」 「自分で慰めるには、少々大げさじゃないか?」 「うるさい!」 C.Cは意地悪な笑みを浮かべてルルーシュをからかう。 せてC.Cが目撃していればと思ったが、それも叶わなかった。 「お前・・・狙われるのか?」 「うるさい!」 「ストーカー男は執念深いし、妄想癖も激しい。気をつけろよ。」 「そんな事分かっている。」 C.Cは分かっているようだ。 二日前の夜、なにがあったのか。 それでも教えないという事は、”傍観者”に回るという事。 悪趣味なことを考えるものだ。 C.Cの覗きは今に始まった事ではないが、はやり不愉快だ。 「なんだ?言っておくが私は顔は見ていないぞ。私だって部屋に居たのだからな。」 「そうか・・。」 「なんだ?それとも怖いのか?なんなら一緒にねてやってもいいぞ?」 「うるさい・・。」 「そうか、じゃぁ。私は部屋に戻るぞ。」 C.Cはピザを食べ終わり、満足したのか自室の方へ戻っていった。 ルルーシュもそろそろ寝ようと、寝巻きに着替えてベッドの中にはいる。 シーツの中心臓がバクバクと震えているのが、ハッキリと分かる。 あの夜があってから、夜が来るのが怖くなった。 これなら、本当に誰かいてくれたほうが大分落ち着く。 ルルーシュに正直にC.Cに言えばよかったと、少し後悔したが今更素直になれない。 目を瞑ってれば次第に眠気も訪れるだろう。 ルルーシュはじっとして、意識がなくなるのを待った。 やっと眠れてきたなと意識が薄くなったとき、ガサっと物音がした。 何かモノが倒れた音のようだが、不自然すぎる。 モノとモノがぶつからない限り、損そんな事ありえない。 モノとモノ・・・ まさか・・・ルルーシュは一瞬目を開けた。 最悪のシナリオが頭に浮かぶ。 ミシミシとフローリングが軋む音がした。 来た? しかしどうやって? セキュリティのレベルを上げるだけでは、意味なんて無いのか? ルルーシュは恐怖で、体が動かなかった。 目だけがうっすらと開いて、うつ伏せの状態でシーツを見ている。 振り向く事は可能だ。 しかし、怖くて振り向きたいけど向けられない。 どうしよう。でもこのまま何事もなかったら良いと、ルルーシュは寝てるフリをした。 暫く経っても何も起こらなく、部屋は静かだ。 ルルーシュは気のせいかと、一安心して警戒を解いた。 取り越し苦労で、眠気が深くなってくる。 ちょうどいいこのままぐっすり寝てしまえ。と思った矢先だった。 「!!」 上から体重が乗られた。 ルルーシュが警戒を解くの待っていたのだ。 相手はかなり頭の切れる男だ。 すぐに、男が持っていた布で手を縛られた。 「な!!」 うつ伏せのまま犯人の顔を見ようと、決死の覚悟で後ろを振り向いたが、目をふさがれた。 手で覆い隠された後、持っていぬので目隠しをする。 コレではこの前と二の舞だ。 「くそ!!はなせ・・・・!!」 この前よりかは意識がハッキリしているので、声を上げることが出来た。 「・・・放せ!・・・・つ・・・・んん!!」 口を塞がれて舌が侵入してきた。 ねっとりとした舌触りに気持ち悪い。 ルルーシュは離れようと頭を動かしたが、頭を掴まれて身動きが出来ない。 ふと片手が外れて、ルルーシュのお腹の上に持ってきた。 指先でなにかなぞっている。 ゆっくり動く指の動きにルルーシュは気付いた。 ”あんな子供だましでは私には効かない” 男は指でこう伝えた。 . |
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