隣人は密かに笑う    5





開いたパソコンの画面。
そこには目当ての映像ではなく、厳重に顔を隠した男と、組し敷かれていた自分の映像だった。


「クソ!!」


まるで行動を読んでいるかのようだった。
ついこの前まではそんな、顔を覆い隠すようなことは無かったハズなのだ。

実際目隠しをされていたので、そこまで確定はとれていなかったのだが直接灘に触れてた事はあった。
その時は、ストーカーは顔を隠していなかったのだ。
そのために、ルルーシュが目隠しをされているだけだったから・・。

この部屋には盗聴器でもつけられているのだろうか?
そもそも、心で思っただけで、口には出していいない。

じゃぁなんで情報が漏れた?
ルルーシュが小型の防犯用カメラを買った事を知っているのは・・

リヴァル
スザク
店でレジを担当した店員
俺がカメラをとって時周りにいた人
ぶつかった人


・・・数え上げたらきりが無い。
消去法として、リヴァル、スザクはありえない。
彼らは普通に好きな人がいるハズだ。とくにリヴァルはミレイを好いている。
スザクは軍人だし、こういった卑怯なやり方はしないだろう。百歩譲っても、ルルーシュを好きでもそんな事はしない。
レジを担当した店員は女だ。コイツも白
周りにいた人たちは、保留だ。

一番怪しいのは、ぶつかった人のよさそうな男。
大人しい人が、一番キレると怖いように裏があるのか?
しかも、買ったものを事細かく見られている。
今まで出一番怪しい。


しかし、ルルーシュの思考は別の論点に達した。


もし、本当にぶつかった男が犯人としたらそれはそれでおかしい。

相手はルルーシュの顔を知っているが、ルルーシュはしらない。
情報収集としても、相手に見つかるようなことはしないだろう。
しかも相手に接触して、顔がバレるような危険な事などしない。

少なくとも、ルルーシュだったらストーカーは置いておいて、相手に顔がベレるような事はしない。



「と、すると、コイツも白になるか。」



「なかなか長期戦だな。」


「C.C.。」


「早くしないと遅れるぞ?学校・・。」

「いわれなくても、分かっている!」


ルルーシュはパソコンのデータを消去して、カメラに入っているメモリデータも消去した。





「ルルーシュ!!はよ!!」

「リヴァル。おはよう。」


「な、な昨日のさ、早速使ってみタンだけさ、ヤッパリ最新型は違うな〜。」

早速写真をプリントアウトしたのか、リヴァルは画質がどうのカメラの機能がどうこう
相当、機能買ったデジタルカメラが気に入った様子だった。

ルルーシュは自分の当てが外れて、適当に相槌を打っていた。
それがリヴァルにばれて、”本当に聞いているのかよ〜”といつものように肩をまわされた。


「!!!」


ルルーシュは驚いて、思いっきり腕を振りほどいた。


とっさの行動で、リヴァルも驚く。
いつもの光景なのに、何故ルルーシュがそんな拒絶を見せるかがリヴァルには変わらなかった。
確かにルルーシュはベタベタするのは嫌いだ。

あんまり集団の中でもいつも一緒に居る事はない。
時々こうやってリヴァルと賭けチェスで一緒になる。

でも、リヴァルが肩をまわすなんて、いつもやっている事だった。
一体なにがあったのか?




「ルルーシュ・・?どった?俺変なところ触ったか?」

「いや、ちょっとくすぐったいところに当たった。」

「マジ?ゴメンルルーシュ!」

「いいや、別に大丈夫だ。驚かせてすまない。」


ルルーシュの言葉に納得したのか、リヴァルは何事もなく会話を続けた。
それがルルーシュには嬉しかった。


(他人に触れられる事が、以前にもましてイヤになっている)


どう考えてもここ最近現れる不審者のせいであることはわかる。
トラウマというヤツだろう。



















その日も案の定、授業は耳に通る事は無かった。

















「ホーラ!!ルルーシュ寝てたでしょ?手が動いてないよ!」


ポンと頭を叩かれた。
放課後生徒会室の生徒会室はにぎやかだ。

お祭り大好きの会長、ミレイを筆頭にいつも教室は煩い。

昨夜は久しぶりに眠る事が出来たが、朝起きてどっと疲れが出てしまった。
授業中も睡眠時間に費やしていたが、それでも精神的な疲れか何時間寝ていても疲れが取れる事はなかった。


「だからって叩かないで下さいよ。」

「もう!せっかく来週から二回目の猫祭りなのよ?チャッチャとやる!」


「でも会長どうしたまた猫祭りなんか・・・・?」


カレンも久しぶりの登校で、どうしてこうなったかは良く分からない。
なんでも、前にアーサーの歓迎会でやった猫祭りをもう一度、今度は全学園で行うとの事だった。
ミレイのお祭り好きにはみんながなれている。
それに感化されたかの様に、学園の生徒も結構騒ぐのが好きな人はたくさん居るのだ。

今回、前に行った猫祭りを一般の生徒もやりたいと意見が寄せられてからである。


よっしゃ、そうなればミレイのことだ、すぐにこの意見を通そうと今やっきになって準備をしているのだ。


「生徒全員分のネコミミのシッポを用意して、衣装はそうね〜。各自で持ってくるのもよし!
 生徒会にレンタルするのもよしよ。またコンテストもやるわよ〜。」


ミレイの頭のかなは、既に段取りが入っている。
ルルーシュはまたかと呆れたが、これはどうやらまた無理矢理つき合わされそうである。

この前もなんだカンダ言って、結局無理矢理猫祭りの衣装を着るハメニなってしまったのだ。
生徒会はまた同じ服装だろう。



「もう、ルルーシュはまた居眠りしないように、これを資料室に運んできて頂戴。」

「ハイハイ、分かりましたよ。」

「で、見張りはズザク君ね。ルルーシュをサボらないように見張って頂戴!」


「分かりました。」

「俺は信用ないでんすね。」

「アンタ最近生徒会を今までにも増してよくサボるようになったからね。」


真面目なスザクがいれば、いくらルルーシュでも帰ってくるだろうとミレイは言った。
確かにスザクは真面目だし、ルルーシュもそこは分かっているから観念して仕事をするようにした。














「ルルーシュさ、本当に最近顔色悪いよ?」

「寝不足だって言ってるだろう?」

「それはそうだけど・・・なんか隠してるでしょ?」

「ネットゲームが面白くてね。作戦を練ってそれを実行させて・・・。」

「本当に?嘘じゃないよね?」


スザクは、階段を下りていたが途中でジャンプをして一番下の段に着地をした。
ルルーシュはまだ階段をゆっくり降りていた。

「あぁ、嘘じゃないよ。・・・!!」


会話に夢中になったのか、ルルーシュは足を滑らした。
両手は荷物で塞がっていて、手で上手く体勢を整えるには難しかった。
おまけに、階段を折り始めたばかりなので高さがある。

もう駄目だと思ってルルーシュは目を瞑った。



「ルルーシュ!!」






いくら時間がたっても痛みがない。

そういえば誰かに支えられているようだった。


「ルルーシュ、大丈夫?」

スザクが見事にルルーシュをキャッチしていた。


「あぁ・・大丈夫だ。」


荷物と、書類は見るも無残な姿だったが・・。


「立てる?」

「あぁ・・・・・・。」


スザクは、ルルーシュが立ち上がりやすいように、抱え方を変えた。
腰を掴み持ち上げるような、子供みたいな扱いだそれ故とても違和感がある。


「・・!!」


「え?」


「ちょ・・お前、俺は子供じゃない!それにくすぐったい!」

「あ!ゴメン。」


スザクはすぐに離して、肩を掴んだ。



「!!!」



「え?」


スザクが肩を掴んだ瞬間、ルルーシュの肩はビクついた。

この両手をルルーシュは知っている。
暗闇の中、いつもつかまれる気持ち悪い手。

ルルーシュを快感の渦に突き落とす手。

感触がちょっと似ている。
リヴァルとはまた違うゴツゴツした、力強い指先。
似ているのだ。


「ルルーシュ・・・・?」



ルルーシュは初めて、自分の親友”枢木スザク”を疑った。





(お前なのか?・・・スザク・・・?!)

















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