自己犠牲   前編






計画は完璧だったはずなのだ。
黒の騎士団もとい、ルルーシュはコーネリアの軍と特派のランスロットも想定して、念密な作戦を練ったのだ。

始めは黒の騎士団の軍が、押しているかのように見えた。
そう、いつも邪魔をされて計画が失敗される原因になっているランスロットでさえも、ルルーシュの策通りだったのだ。
しかし結果は黒の騎士団が敗れた。


コーネリア軍の他のに別の援軍が居たのだ。


殆ど壊滅したと思っていたので、油断をしていたのかも知れない。
その援軍は第二皇子シュナイゼルの軍だった。

彼は極秘でエリア11を訪れ、黒の騎士団を警戒していたのである。
黒の騎士団はブリタニア本国でも危険因子とされていたのだ。
ふいをつくために、本当に上層部しか知らない極秘の事だったのでルルーシュも知らずに居たのだ。



そうして黒の騎士団は援軍の攻撃に、太刀打ちできる力が足りず捕まったのだ。


捕まったのは、ルルーシュと幹部達。
他のものは皆殺された。


ルルーシュは白い拘束具を着せられて、椅子に雁字搦めにされていた。
幹部達は全員で独房へと追いやられている。
兵士達は憎きゼロの顔を拝めるのを今か、今かと待ちわびていた。
まだ仮面を取られることを、上から許され居なかったのだ。

コーネリアとシュナイゼルが来るまでのお楽しみなのだ。


「なぁ・・・こいつどんな顔してると思う?」
「さぁな。幹部にも見せてないんだってな。さっき奴らを尋問したら知ってる奴居なかったって話だぜ。」
「おーこわこわ!」
「案外女だったりしてな?」
「うわ!お前マジかよ!!」


兵士達の目障りな声をルルーシュは無視していた。
幸いC・Cはここには居ない。
ギアスを発動させなければ、この能力はバレる事はないだろう。

ルルーシュはずっとどうやってここから逃げ出すかを考えていた。
自分だけ捕まったのから、まだ都合がよかったのかも知れない。
他の団員が居るのは、少々厄介だった。




カツカツと足音がしてきた。
横に居た兵士達は、姿勢を整えブリタニアの忠誠のポーズを取った。
シュナイゼルとコーネリアが現れたからだ。

ルルーシュと黒の騎士団の団員達は、通路を挟んだ隣同士だった。
ゼロが一番に殺されるんじゃないかと、皆絶望的だったのである。


「さて、コーネリアこれが我がブリタニアを梃子摺らせていた組織の親玉か?」


シュナイゼルはものめずらしそうに、ルルーシュを見た。
コーネリアはすぐにでも仮面を剥ぎ取り、義弟とルルーシュのせいで死んでいった部下の敵を取りたくて堪らなかった。

「あぁ、そうだ。」
「へぇ・・見かけによらず細身だな・・。女か?」

「・・・・。」


ルルーシュは沈黙を続けていた。
それが気に入らなかったのか、一人の兵士が、椅子を蹴りバランスを崩されたルルーシュは地べたへ這い蹲う形になった。

「いい眺めだな・・。ゼロ。お前の顔・・・見せてもらうぞ!」

コーネリアが合図をした。
横に居る兵士は、ルルーシュのかぶっている仮面に手をかけた。




「「「「!!!」」」


「え・・・。ルルーシュ・・・」

とっさにカレンは声を顔見知りのクラスメイトの顔と、ゼロの顔が一緒だったので口に出してしまった。


ゼロの顔を見たことがなかった、団員達も驚いた。


「お前・・・。」
「・・・ほう・・。」



そこには綺麗な顔立ちをした、アメジストの瞳を持った青年だったのだ。


「おい、そこの女。」
「え・・・お前の事だ。赤毛の女。」
「な・・・。」


シュナイゼルは何か引っかかるような言葉を聴いたのだ。

”ルルーシュ”と・・・。

「お前が今言った言葉、”ルルーシュ”と言っていたな?」

「な・・何よ?文句あるの?」


カレンは挑発的だったが、むしろシュナイゼルは面白いものを目にするように笑っていた。


「ははは!!こりゃ傑作だな!」
「・・・まさか・・・ルルーシュ・・・ってまさか・・。」

コーネリアも気付いたようだ。
二人に”ルルーシュ”という人物は一人しか当てはまらない。

外交の道具とされた。マリアンヌ后妃の長子。

ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア




「・・・ルルーシュ。死んでいたかと思っていたが、まさか生きているとはな・・。」

「・・・。」


「貴様!何故皇族の血を引くお前がそんな事を!!」


周りに居る人間は、コーネリアの言葉に驚いた。
ゼロはブリタニアの皇族という事。


「え・・・ゼロ・・?」
「うそだろ・・マジ?」

団員達の反応も、尋常ではなかった。




「コーネリア・・・・ルルーシュの始末は私がしてもいいか?」

シュナイゼルは、ルルーシュの髪を引っ張り、自分に向けさせた。

「久しぶりだな。ルルーシュ、元気だったか?」
「・・・お前達が来なければ・・・もっと元気だったさ。」

「そうか・・・。」

シュナイゼルはルルーシュを壁へ突き飛ばした。
頭を強く打ったルルーシュは、そのまま気絶してしまったのか、全く動かなくなった。


「兄上・・・こいつをどうするつもりですか?」

コーネリアはシュナイゼルの考える事は、良く分からないでいる。
特派の研究チームをエリア11に持ってきたり。
極秘でここを来ることとか、兄の行動はいつも唐突なのだ。


「・・・私は兄上が始末をしてくれるのから、それはそれでかまわない。」
「ありがとう・・・。団員達のほうはコーネリア、お前に任せるよ。」
「分かった。」


シュナイゼルはルルーシュの拘束道具をはずした。


「な・・・兄上!何を!!」
「私には私のやり方がある。こいつを連れて行くぞ。」

「お待ちください!」

「大丈夫だ。悪いようにはしない。」


怖い笑みに、コーネリアも背筋が凍りつき、反抗をやめた。


「それにコイツにはどれだけ私達が心配をしていたのか、分からせてやろうと思ってな。」

「程々にして下さいね。」


心にもないことを・・・コーネリアは内心思った。






















ルルーシュは頭痛を伴いながら目が覚めた。
先ほどとはいた場所が、変わっている事に気付く。


どう見ても、貴族や皇族の寝室のようなところ。
何故捕らえられた自分がここに居るのだろうか?

そんな事考えるのは、あの人間達の中で一人しか居ない。


「やぁ。ごきげんようルルーシュ。」

「お前・・。」

「・・・・兄に向かってお前はないだろう?ルルーシュ。」



シュナイゼルはさっきの恰好を少し着くずしていた。
どうやらここはシュナイゼルの部屋らしい。


「久しぶりの兄弟の再会なのだ。祝ってあげなくてはな・・。」
「誰か!」


「お前は自分の立場を分かっていないな。」


シュナイゼルはルルーシュの着ている衣服を全て剥ぎ取った。


「な!!」

「いいのか?ルルーシュ、お前が反抗したら地下に居る仲間や、妹がもうなっても?」
「・・!!」

しかし、団員達はコーネリアの尋問を受けているはずだ。
シュナイゼルにもそいった権限はあるはずだが、今は違う。
だからルルーシュの最愛の妹ナナリーを、シュナイゼルは脅しの対象に持ってきた。
彼が言うのだから間違いない。
ルルーシュが反抗したら、ナナリーまでもを危険にさらさせるつもりだろう。

だがもうこうなってしまっては、拒絶してもしなくても同じだろう。


「さすがに妹の名前が出ると弱くなるな・・・お前は昔から変わらない。」

「ぐ!!」

シュナイゼルはルルーシュをベッドに押し倒した。
反動でベッドがギシっと音がする。

裸にされたルルーシュの体に、シュナイゼルの手が触れる。
その手がいやらしくて気持ち悪い。


こんな屈辱は始めただ。
男が男に犯されるなんて・・・。


「綺麗だな・・・お前の体は・・・まるで穢れを知らない。」

「くそ・・・!!放せ!!」

「お前はもっと色気のある声は出ないのか?」

「だれ・・が・・・・!!」


シュナイゼルの愛撫に段々と体が反応をしてくる。
全く持って不愉快だ。
ルルーシュは悔し涙が出た。

「ほう、泣くほどイヤか?」
「決まっているだろ!!」


「じゃあよくするまでだ。」


「ひ!!」





シュナイゼルの指がルルーシュの後孔へと侵入する。


「く・・・あ・・・。」

「悔しいか・・?」

「う・・・あ!」


不快感に背筋が凍る。気持ち悪くて仕方がない。
こえから自分が何をされるのか分かっているから、なおのことだ。

「いた・・・。」


「昔から、男も女も屈服させるには、この方法が一番手っ取り早い。」


「イヤだ・・・放せ・・。」


十分に慣らさせていないルルーシュの秘部に、指とはケタが違う熱を感じる。


「・・い・・!!」


ルルーシュは逃れようと必死に抵抗したが、それは叶わなかった。
シュナイゼルはしっかりと、ルルーシュを捕まえているのだ。
自分の熱をルルーシュの中に、無理やりねじ込んだ。


「あぁぁぁぁ・・・!!!」



ルルーシュはあまりの痛さに、悲鳴をあげた。
さっきより抵抗は強くなり、暴れだす。
しかし、力はシュナイゼルの方が勝っており、簡単に押さえつけられる。


「痛い・・・あ・・・抜いてくれ・・。」
「それは聞けない願いだな。そうしたら拷問の意味がない。」

「ぐ・・・つ・・ぁ・・・くそ・・。」


「さっきの威勢はどうした?力を抜いていないともっと痛くなるぞ?」




シュナイゼルは怖い笑みを浮かべて、腰を容赦なく動かした。
痛みしか感じられないこの行為は、ルルーシュにとっては拷問でしかない。
いやその言い方はおかしいと思った。
まさに今自分は、ブリタニア軍につかまり、捕虜のような立場に居るのだから仕方のないことだ。

やり方が、屈辱的過ぎるのだ。


ルルーシュは声を出すまいと、必死にこの行為に耐えていた。



「お前も必死だな・・。さて、ルルーシュお前はどうやってここまできた?」
「・・・。」
「黙秘か・・・?言っただろう?お前には拒否権はないと言うことを・・。」

「うあ!!」


シュナイゼルはルルーシュの背中を爪で引っ掻いた。
白い肌に、五本の赤い線が血と一緒に混じる。

「ゼロという立場での行動・・・。記録で見せてもらったが、お前・・・何か特別な力を持っているな?」
「!!」


ルルーシュの方が少し上がった。

「なるほど・・・そういうことか。記憶がないだの、態度が一変する行動だのそれで合点が着く。お前・・・人を操れるな?」

「そんな事・・・・ひ!!」


今度は顔を殴られた。
揺さぶられながらの暴力は、ルルーシュを窮地に陥る。

「さっきのお前の態度で分かったよ。言い逃れはできない。」
「だったら・・・なんだと・・・いう・・・・」


「簡単な話だよ・・・ルルーシュ。」

「あう!!」

「もしそうなら、殺すのは惜しい。」



シュナイゼルの動きが早くなる、限界が近いのだろう。
ルルーシュも強く揺さぶられ、痛みが増す。


「ルルーシュ・・・その力私の為に使え。」

「あぁ!!・・・つ・・いやだ・・。」

「・・・なら取引をしよう。」
「・・・ぁ・・・っ・・・な・・・・。」


「その力、私の為に使うというのなら、イレブン達の待遇はよくしよう。黒の騎士団たちの処刑もやめさせよう。無罪放免だ。」
「そんな・・つ・・!!・都合のい・・・はな・・し・・・誰・・が・あぁ・・。」

「おや?私は本気だ。そんな偉大な力なら、それなりの報酬はやろう・・。」


「いや・・・・・俺は・・!」



「私のモノとなれルルーシュ・・・。」

「あぁ・・!!」



シュナイゼルは一度、大きく腰を打ちつけた。
欲望がルルーシュの中を汚していく。


「ルルーシュ・・お前の体も、心も力も全て私のものとなれ・・。」




「イヤだ・・。」



ルルーシュは断じて、首を立てに振らなかった。



「まぁ・・・いいだろう。それなら・・分からせるまで続くぞ。」



ルルーシュの能力欲しさに、シュナイゼルは欲のままに行動した。




















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