贖罪〜贖いの翼〜   3




モモカは憂鬱な気持ちで家のドアを開けた。

案の定、夫はもう帰ってきていた。
モモカの夫の名前は、春野 シラン。
ルーカスに負けないぐらいの容姿を持っていて頭脳明晰だった。
結婚前はやはりモテていたが、それとは裏腹で性格は温厚だ。
反面、切れると手に負えなくなる。
「お帰りモモカ、遅かったな。」
「えっ」

いえるわけが無い、、、

「モモカ?顔色悪いぞ?」
「あ?ああ、、何でもないの。退職パーティーやってくれてね少し飲みすぎちゃったみたい。」
シランが笑った。
「あはははは、、お前あんまり酒強くないもんな。風呂はいるか?俺もう入ったから部屋に行ってるな。」




とりあえず、シャワーを浴びる事にした。
早く洗い流したかった。

でも消えない。不敵な笑みと、笑い声、感触。
そして、あの言葉、、、


“逃げようと思っても無駄だ貴女は自らここに着たんだから、、”

どうしたらいいかわからない。
黙ってれば、、普通の平穏な生活で要られる?
私だけが我慢すればいい?

訴えたって無駄。向こうが有利だ。刃向かうだけ無駄

そう、何もなかった事にするのだ。




「そうよね、、、」




シャワーを終えてたモモカはタオル一枚で寝室に向かう。





「ん、、モモカ、、?」





恐怖に勝てなかったモモカは、体を塗り替えるようにシランと肌を重ねた。












それから、3ヶ月が過ぎた。
モモカは専業主婦になって家事を頑張っていた。
あの夜を忘れるように、、。

とても平穏で、幸せな生活を送っていた。



しかし、それはつかの間の平和でしかなかった。

ある日、モモカは食べ物の匂いに吐き気を覚えた。
前からは気づいていた。
生理は元々不順だったからソコまでは気にはしていなかったが、もしかしたらと、、、







「春野さん、、」
「はい」
「おめでとうございます。いま3ヶ月ですね。」
「--------------!!」
不安で仕方なかったモモカは産婦人科に行ってみた。
やはり妊娠していた。



堕ろそうか迷っていた。
3ヶ月ならあいつの子供もありえるのだから、、


おろせなかった。
もし、シランの子供だったらと思うと堕ろせなかった。
シランの子供と信じて生むしかないのだ。




その夜、モモカは妊娠のことをシランに話した。


「やったあ!やったな!ありがとうももか!!」

シランは喜んでいたが、モモカは不安でたまらなかった。
「俺は、男の子でも女の子でもどっちでもいい!無事に産んでさえくれれば。」
「ありがとう、、シランさん。」



それから、モモカは世間を欺くため自分の実家で生む事にした。


だんだんとお腹が大きくなるにつれてシランの子供でありますようにと切に願った。



そして、運命の日がやってきてモモカに陣痛が起こった。


「はい、、息吸って、、吐いて」
「う、、」
「はい、頭見えてきましたよ!もう少しよ。」
「はあ、、はぁ、、」
「頑張れ!!」
「ああああ」



オギャア、、オギャア、、


「うー、、、」


オギャア、、オギャア、


「おめでとうございます。女の子の双子の赤チャンですよ。」
双子?
ふと見た赤ん坊の髪の色は桃色だった。
、、私の子供、、、良かった、、あいつの血は混ざってないのね。
「それにしても見事に綺麗に混ざらずに生まれましたね。桃髪と紫髪。」

「えぅ、、、」
もう一人の赤ん坊は紫の髪をしていた。








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