贖罪〜贖いの翼〜  4



看護士はすぐ家族に知らせようとしたが、モモカはそれを制した。




モモカは桃色の赤ん坊だけをシランに見せた。
シランの子供とルーカスの子供を同時に生んだ?
こんな事ってありえるのか?
しかし、目の前にあるのが事実本当なのだ。


紫髪の子供は施設に預けられた。



しかし、驚くべき事がおこった。


それは桃色の髪の赤ん坊が目を開いたとき、、、


赤ん坊の瞳の色は、、、翡翠色をしていた、、、。


それはすぐバレた。
モモカは、紫髪の赤ん坊をシランに見せて全てを話した。








「そっか、、そうだったのか、、。」

「ごめんなさい。私、、、私、、毎日毎日、、シランさんの子供であるように祈って、、」
「いいよ、もう。お前が悪いんじゃないんだから。」
「シランさん。」
「それより名前を決めよう?届けは明日までだろ?」
「うん、、。」

シランの優しさに涙をこぼした。
そうして、二人は
            桃髪が姉の“サクラ”
            紫髪が妹の“サツキ”
                           と名づけた。


二人は世間をだました。
サツキは家から一歩も出さず、サクラはカラーコンタクトをしなくては外に出してもらえなかった。
幼い子供がコンタクトなんて目にも悪い。
結局、体が弱いという事で嘘をつき家から一歩も出さなかった。



二人の物心が着く前、シランの様子がおかしくなった。
モモカはシランの変化にはすぐ気づいた。
最近子供に優しくない。
無理も無い、ただでさえ強姦された男の子供なのだから、、、

シランの行為が虐待に変わるのはそう時間は掛からなかった。
二人が物心付いた時にはすでに、シランから暴力を受けていた。
モモカは恐くて何もできずただ悲しく見ているだけだった。

毎夜毎夜、泣き声が鳴り響く、、、
近所も見て見ぬふりだった。


何かしたら力いっぱい殴られる。
何もしなくてもやはり殴られる。
どうすればいいのだろう?


シランを見ると

「その姿で俺を見るな!!消えろ、汚らわしい!!」


と暴言を吐きながら殴るける。
幼いサクラとサツキに容赦なく暴力は続くのだった。





あれから三年たった。
サクラとサツキはもう6歳になる。
相変わらず虐待はつづくがサツキへの仕打ちが特に酷かった。
紫髪がシランを余計怒らしているのだ。
ルーカスの血を強く受け継いでるせいか気が強かった。
最近は抵抗してくるようになっていった。
一方、サクラはモモカの血を受け継いでいる。
おとなしい性格だ。しかし、緑の瞳で見ているとやはりぶたれる。




ある夜、シランは仕事が上手くいかずストレス発散に二人を殴りつけていた。
シランは酒を飲んでいたため酒臭かった。
突然シランの手がやんだ


「−んで、、お前らは俺の子じゃないんだよ、、、もし、、、」

「ちくしょーお前らなんて生まれてこなければよかったんだ。」
それは、二人にとっては一番聞きたくない言葉であった。

生まれてこなければよかった=死んじまえ

その言葉は二人を深い傷に陥れる。


真夜中、サクラとサツキはふたりでうずくまっていた。
無口な二人だが、二人きりになるとよく小声で会話をしていた。
「さくら、、」
「なに?サツキ」
「私もう、、耐えられないよう」
「泣かないで?」
「泣いてないよ。それでね凄いの持ってきゃったんだ。」
サツキは包丁をサクラに見せた。
「それ包丁でしょ?危ないよ?」
それを握っていたサツキは笑っていた。
「テレビで見たんだけどコレさすと死ぬんだって」
「、、、、サツキ、、?」
「だから刺すのパパママ」
「駄目だよ」
「嫌!!」
まるで欲しいものを手に入れた子供みたいにいっぱいの笑顔で言葉を続けた。
「せっかく手に入れたチャンスだよ?」
「、、、、サツキ、、本気なの?」
「本気よ」
「駄目だよ。いけない事だよ習ったでしょ?」
「コレは“正統防衛”なんだよ」
「でも、、」
「、、、、」
「あ、、、」
「私、譲れない」


サツキの意志は固い。
賛成をしないサクラにサツキはサクラに襲い掛かった。
「きゃあ!!」
サツキはサクラの腕を切りつけた。
サツキは本気だ、このままでは殺される。


真夜中、何とかサクラはサツキから逃れ家を飛び出した。

一人で出歩くのは初めてだった。




だが、このとき外にい逃げていったのが間違いだった。
サツキの言葉が脳によぎった。
まさか、、

サクラは家に引き戻す事にした。





家の寝室には酒に酔ったシランがベッドに入ろうとしていた。
ドアの開く音がした。
「モモカ?」
ソコには不気味な笑みを浮かべたさつきが立っていた。
「なんだ?また殴られにきたのか?」
すばやくサツキは後ろへ回った。
相当酔っていたシランは上手く動きが取れない。
「サツキ」
「ばいばい」
「−−−!!っあ!!」
背中に痛みが走った。
「、、、私コレで自由よ。」
包丁を抜き取った血が出た。
「く、、」
「ヤダまだ生きてる。」
再びサツキはシランの背中を刺した。
血が流れる、、、サツキは返り血でいっぱいだった。








BACK     NEXT