贖罪〜贖いの翼〜   5



「シランさん?何かあったの?」
変な音が気になってモモカは様子を見に来た。
「!!」
ソコには血だらけになったシランの姿とサツキが笑って立っていた。
「シランさん!!」
シランにはもう息が無かった。

サツキはモモカに包丁をむけた。
「サツキちゃん私を殺すの?」
「うん」
「そうね、、ママは何もしてあげられなかったね。」
「うん」
「ごめんねサツキちゃん、、、サクラちゃんにもそういっておいて」

モモカはサツキに背中を向けた。




---------!!-----------


モモカも息を引き取った。












サクラが家に戻ってきたとき、家の周りにはパトカー・救急車、野次馬などがたむろっていた。
突然、刑事の人がサクラに話をかけてきて驚いた。
「君、ここの家の子だね?」
「うん」
「君には酷かもしれないけど、、、、、」
「死んだんでしょ?パパママ」
「!!!」
「妹がやったの」
刑事は笑ってサクラの頭を撫でた。
「何を言ってるんだ?そんな事あるわけ無いよ。」
「違う!!サツキだ!!」
「あっ!ちょっと待って」

サクラには心当たりがあった。
生まれて初めて外に出たときモモカが勤めていた所、、、その屋上!!
「おい!!」
刑事はサクラを捕まえた。
「ね、、お願いがあるの、、、−−−−ホテルの屋上に連れて行って」








「なにがあるんだい?」
「いいから、、」
屋上へと続くドアを開けた。
「サツキ!!いるのはわかってるの出てきて」


「!!」
腕に痛みが走った。
「ごめんさっきと同じ所切り付けちゃった。今度は深いなー」
「え、、子供、、」
刑事は信じられなかった。
どう見たって5〜6歳ぐらいの子供。
「パパとママ殺したの私だよ。」
サツキは持っていた包丁を放り投げた。
「なに、するの?」
「サクラいったでしょ?私自由になりたいって、、」
サツキは柵によじ登って下を見つめた。
「よせ!!馬鹿な真似はやめろ!!」
「サツキ!!」
サクラはサツキのところへ駆け出した。
「サクラ、、私サクラのこと好きだよ、、ずっと」
高いホテルの屋上からサツキは舞い降りた。




「サツキ!!!!!!!!!!!」









一夜を明けて春野家の事情は世間に知れ渡った。
案の定誰もサクラを引き取りはしなかった一人を除いては、、
ルーカス・アスターだった。


彼はずっと春野家を監視していたのだった。

それから7年間サクラはアメリカで暮らす事になる。





























−−−−−






「荷物は持ったか?」
「うん」
「そうか、、、」
サクラはルーカスを説得して日本に帰る事にした。
「サクラちゃん!!」
「ナルト、、」
見送りにはルーカスといつも遊んでいたナルトが来てくれていた。
「サクラちゃん!コレあげる」
ナルトはサクラにペンダントをあげた。綺麗なピンクの石が付いてる。
「ありがとうナルト、、。」


そしてサクラは日本に帰っていった。



あれから7年、もう12歳になっていた。
12で一人暮らしも異常だが、、、。
サクラ自身ルーカスを父親と慕っていいのか戸惑っていた。
だから、離れた。
それがいいとサクラは思った。

広い部屋、、一人じゃ何も出来ない全部ルーカスが与えた部屋。
生活はちゃんとできるようにしてある。
学校も手続きして、、、

これからは孤独に生きていく。



自分ひとりがルーカスのもとでぬくぬくと暮らすわけにはいかない。


殺風景なへや
その部屋が孤独をもっと暗く孤独にしていく、、、。




















最近、あのときの夢を見るようになった。
サツキが死んだとき。
目覚めは最悪で汗が酷い。
いつも、サツキが跳び降りて体がめちゃくちゃになった姿で目が覚める。
初めは戻してたりもしてたが、、日に日に慣れてきてしまった。




一言で言えばサクラは、サクラはその夢に縛りつけられているかもしれない
だから幸せにはなってはいけない。
死んだサツキに申し訳ない
でもあの夢はもう見たくない
ここ、一週間毎日見るようになって
見るたびに生々しさがリアルによみがえってくる。
サクラは日に日にやつれていった。






第一部   完



忘れられない。あのときのサツキの顔とあの言葉

瞳に焼き付いている。頭から離れない

私の妹何故死を選んだ?

私は理解していたはずだった。

でも、全然理解していなかった。

激情に走った妹

知っていながら自分の身を守るだけで精一杯だった姉

妹は自害し悔やむ姉

今思えば、、私達が生まれてきた時点で、、

狂い始めていたのだ










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