もし、私の瞳が青色だったら

もし、サツキの髪が黒だったら

私達はどんな生活を送っていたのだろう?

サクラはこの緑の瞳が嫌いだった

この瞳のせいで人生をメチャクチャにされたのだから



第二部  自殺志願者同士の出会い




贖罪〜贖いの翼〜   6


サクラはいつもの悪夢で夢が覚めた。
少し様子がおかしい。
サクラの目に全く生気が無かった。
それはサクラにもわかっていた。

たらたらと服を着た。
十月末なのにノースリーブのワンピースを着た。
その上にストールを羽織って外に出た。
日曜日だから人も多かった。


無意識に海に来ていた。
さすがに人は居ない。
サクラは海に向かって進みはじめた。
我に返った訳ではなくずっと進んでいく。
冷たい風が冷たい波が体を冷やしていく。
肌が紫色に変化していく。


そのままサクラの身長以上の深さにきてきても進めて波の力に負けて流された。
もう、そのときはサクラの意識は無かった。
いつ死んでもおかしくなかった。







波は冬なのに穏やかだった。
どれ位たったのだろう?
サクラの体は海面に浮いていた。
「、、、、、、」
サクラは目を覚ました。
体は冷たすぎて麻痺していた。
どうやら頭上には岩がある。
「私、、死ぬ事も出来なかったんだ。」


「何してんの?そこのお嬢さん。」
突然声がした。
「君もここに来ない?コレじゃ寒いでしょ?」
岩の上に座っていた人は今の季節に合わないTシャツにジーンズだった。
顔を見た。
銀髪に片方が赤い瞳をしていた。かなり端麗な顔をしたいた。
「君も自殺志願者?」
「そうよ。」
「あははは、、その格好だもんね見てればわかるよ」
優しく笑う人悩みなんかなさそうに見える。
「貴方もでしょ?」
「そうだよ。」
「貴方、、見た所悩みなんかなさそう、、。」
「君もそう見える。」


男はサクラの珍しい緑の瞳に気づいた。
「原因はこれかい?」
男はサクラの目の辺りを触った。
「そうよ。貴方も私と一緒?」
どう見たって銀髪なんて考えられないロシア人?
「別に俺は、、そうじゃない、、ロシア人とのハーフね俺。赤い目は突然変異」
「ふーん」


「俺はね画家なのまあ、新人で結構芸術家じゃ知らない人居ないんじゃない?って感じ。
 自分の才能に限界を感じたんだ。」
「芸術家って自殺する人多いよね。」
「でも、、、」
「?」
男はサクラの髪に触れた。
「君を描いてみたくなった。ねえ、少しの間俺と一緒に居てくれない?絵のモデルになって欲しいんだ。」
サクラは少し悩んだ。
無理も無い。




でも、死ねなかったのなら生きるしかない。
この人と一緒に居るのを拒んでも無理だろう。そんな気がした。

それに、拒めない

何故?


「いいわよ。」
「本当?俺と生きてくれる?」
「ええ、、貴方志願者じゃなかったの?」
「君を描いてみたいって言ったでしょ?」
「そう、、私、、どうやら死ねないみたいだから、、いいわよ。」
「俺もだよ。お互い死に損ないだ。」
「フフフ、、ちょっと違うよ。」
「、、、別にいいさ。俺は、はたけ カカシ。」
カカシは手を出した。
「サクラ、、、春野サクラ。」
「そうか、、よろしくサクラ。」
「こちらこそ、、カカシさん。」
「カカシでいいよ。」
「カカシ。」
二人は握手をして笑いあった。







その後二人で沖まで泳いでいった。
サクラとともに暮らす事になった男・はたけカカシは一人暮らしをしていた。
それに、カカシは身辺整理をしたあとだった。
暮らしていたマンションも引き払っていた。

二人はサクラの部屋で暮らす事になった。


「1つ空いている部屋があるからそこを使って。」
「ありがとう。随分広いね。」
「ええ。」
「殺風景、、本当に女の子の部屋?」
「女の子皆が可愛いのが好きって訳じゃないの。」
「いや、、俺と同じでびっくりした。」
カカシは目を見開いていた。
「その前にその髪何とかしなきゃね。あと、“生きる”ために必要なものそろえなきゃ」
カカシの髪は肩ぐらいで少しボサボサ気味だった。
「うーん。やっぱりコレじゃまずいか。」
「うん、私明日から何食わぬ顔で学校行くけどカカシはどうする?」
「俺はそうだな、、髪を何とかするよ。サクラは学校辞められないの?退学届けだしちゃえば?」
「義務教育なの。やめられない。」
「!」
サクラは制服をカカシに見せた。
よく見ると“中”のも字が書かれてある。
「中学生?」
「そう、、カカシは、、大学は卒業してそうだよね、、。」
「うん。今年で26になるよ。もうおじさん俺。」
「私、、、今年で13になるわ。」


「まあ、この際年なんて関係ないよね。」
「そうね、」

サクラとカカシは少し笑って部屋の模様替えをした。
これから、二人の生活が始まる。









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