その後は何もわからない 何も覚えていない 自分はどうしたのか? いつ眠りについたのかさえ・・・ ただ、解かることは本能のままに動いたこと 自分の体が支配されていること 君にはわからないんだ 僕がどれほど貪欲で傲慢な生き物なのか 1つ覚えているとしたら 夜中、手紙を書いていた 最終章 紅い雪 |
贖罪〜贖いの翼〜 15 あの夜、時刻はもう日付がとっくに変わっていた。 カカシはベットに気を失っているサクラをそのままにして机に座った。 窓を見ると雪が降っていた。 今年の初雪は例年より遅かった。 引き出しから便箋を取り出した。 机だけの電気をつけて何かを書いていた。 書き終わるとカカシはそれを机の中にしまい、外へ出る身支度を始めた。 サクラに気づかれないようにそっとドアを優しく閉めていった。 「さよなら・・・サクラ。」 サクラはまだベッドの中で寝ている。 サクラが気がついた時にはカカシがいなく、がらんとしていた。 「カカシ・・?」 すぐ戻ってくるだろうと思って待っていたが、カカシが帰ってくることはなかった。 もしかして、あの時を気にしていたのか? 「そういえば・・・なんであんなことになったのかな?」 サクラは1日中そんなことを考えていた。 24日 クリスマス せっかくプレゼントの用意したのに肝心のカカシがいない。 いくらなんでも心配になって、サクラは家を飛び出した。 二人で出かけたのは指の数に入るほど。 どこを探しても見つからない。 外は雪が積もっていた。 今でも少し降っている。 早く探さなきゃ!! 「どこにいるのよ!!」 空を見上げた。 口をあけると雪が入ってくる。 「・・・」 ふと、人気のない廃墟になったビルが気になった。 屋上に誰かがいた。 囲いもない、近づけば足が立ちすくんでしまうほどの危なく見える。 あそこに見覚えのあるシルエットが見た。 カカシ? 「なんで?」 思わず駆け出した。 「何であんなところに?!」 サクラのいるところとビルのところは軽く距離があった。 「やめて!!」 大きな声を出しても届いてないだろう・・・ 「なんで?」 カカシはずっと屋上から下を見下ろしていた。 雪が降ろうが、気温が低くなろうが関係ない。 「サクラ・・・やっぱりきてくれたんだね。」 「カカシ!!」 サクラの声はかすれていた。 「サクラ・・・」 「いや!?」 声は届かない 「大丈夫。俺はここにいる。」 「カカシやめ!!なにする・・」 「俺は必要ないから消えるよ。」 「やめて。」 「でもね、行き場がないんだ。」 「・・え・・・」 「だから、この世から消えることにした。」 カカシは屋上から飛び降りる。 「いやああああああ!!」 グシャ!! 降り積もった雪が紅く染まっていく。 やむことなく、紅く紅く広がっていく。 「カカ・・・やだ!!」 サクラがカカシを揺さぶる・・・ まだ少し意識があった。 「サク・・・・ラ・・・」 「ねえ!!なんで!!」 サクラの瞳から涙が溢れ出す。 「サ・・・・クラ・・・・愛し・・てる・・・」 「私もだよ!!なのに!!」 「引き出し・・・」 その一言を残してカカシはもうしゃべらなくなった。 「やだ・・・・目開けてよ。」 「やだ!!いやああああ!!」 その後。通りかかった人が救急車と警察を呼びサクラが第1発見者となった。 カカシとの関係は黙っていた。 そのほうがいいと思った。 カカシは家族の元へと帰っていくのだから。 複雑な気分だ。 この人と2年ぐらい一緒に住んでいました。 あの家族はきっと恨むんだろうな・・・なんて思いながら・・・ ここから立ち去りたかった。 カカシの家族はサクラに何か言っていたが、サクラは聞いていなかった。 もういいから・・・ カカシが戻ってきたんだからいいでしょ? 無論、カカシの葬式にもサクラは出なかった。 もう、何がなんだかわからない気分だった。 ふと思い出した。 死に際のカカシの一言 机の引き出し 慌ててホコリまみれになっていた引き出しを引く サクラ宛の手紙らしきものがあった。 「これ・・・・」 それは、カカシが残した遺書だった・・・・ |
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