Angelica  2





サスケは固まった。
今、この背中に羽根の生えた女は何を言ってきた?


自分の記憶が正しければ、この天使は自分の家に一緒に住みたいと言っている。
サスケは嫌だった。
メンドクサイ。それに、保護をするのなら、もっとちゃんとした所や、大人のいる家。
チラッと、サスケはカカシを見たが、カカシはやめておいたほうがいいと思った。


大体、サスケといいナルトといい、木の葉の里は結構保護をしなければいけない子供を野放しにしずぎなのだ。


「駄目かな?」


サクラは呑気に、サスケに同意を求めている。
ちゃんと許可を貰おうという心がけは認めよう。
サスケの周りには、煩い女の子が多くいすぎる。


「で、どうするのサスケ?」



横で、絶叫しているナルトを尻目に、サスケはカカシとサクラの笑顔に圧力に結局折れた。


「チ・・・仕方ねぇな・・。」



サクラはやったと大きく喜んだ。
何が嬉しくて、キャーキャーしてるのか分からないが、生活サイクルが大幅に狂うと思うと深いため息が出た。
それに任務も猫を見つけた時点で終わり。
サスケはサクラを家に、泣く泣く連れて行く形になった。



「うわ〜。広いね。一人で暮らしてるの?」
「あぁ・・・」

「そうなんだ。」


サクラはものめずらしいのか、家の中のものキョロキョロと見合わした。



とりあえずこれからどうするか決めておこう。
部屋に・・・食事に・・・、掃除とか・・・流石に全部やってもうらうなんて、そんな甘い考えは持っていないだろう。


「おい、サクラ。お前の部屋、ここで・・・・」




「なんか淋しい空間がする。前は確かに暖かい気配を感じるのに・・・」



何を言ってるんだコイツ?と思い、サスケの言葉を無視するサクラの腕を掴んだ。



「!」

「おい、人が話しているのに無視するな。」
「あ、ごめんなさい。」



サクラには部屋の場所を教えて、他の場所も案内する。
とりあえず、人並みにこっちの生活知識は持っているらしい。
常識のある奴で、サスケは少し安心した。



コレで本当に、何も出来ない天使様だったら、正直泣いていたかも知れない。
サスケは苦笑いをした。



「私ね・・ここの世界少し覚えてるんだ。」
「?」


突然、サクラが変な事を言ってきた。
そりゃ、住んでいた世界が違うのだ。
多少のずれや、聞いた事のない言葉があるのは当たり前だ。



「私ね、天使になる前きっとここの世界の人間だったんだよ。」
「な・・・。」


サクラは窓の外の景色を見ながら語った。


「なんかね、良く分からないけど、覚えてるのこの町並みと里の雰囲気。」
「そうか・・・」


とりあえずサスケは、喉が渇いたので、冷蔵庫から飲み物を出した。
サクラにもだして、テーブルに着かせた。
サクラは自分の事を良く話してくれた。

天界の世界は思っていたより、規律が厳しそうな所だ。
サクラは女の天使と聞いて、ほっとしたが殆どの天使は両性らしい。
ただ単に、好きな性別に変えているとか、サスケの天使のイメージはサクラによって覆られた。


「そうだ・・・私三ヶ月ここに居なきゃいけないの。」
「そうか・・。」

「驚かないんだね。」

「・・・ここまでくればもう、何もおどろかねぇよ。」
「そっか・・。」



笑顔ははやり穢れなきなんとか・・と連想させるものがある。
サクラの笑顔を見て、サスケも口角が上がる。


「とりあえず、コレはそこまで薄情な奴じゃないか・・・」
「?」

「祝ってやるよ。お前の歓迎会だ。」
「ホントに?」


サクラは身を乗り出して、サスケの顔に至近距離で近づいた。

「ちょ・・・顔近けぇぞ。全くお前は・・・。」


サクラは純粋だとこの数時間で、サスケはサクラの性格を把握した。
まず疑う事をしないだろう。
それはこの世界にとっては、命取りになる事なのに・・・
なんて皮肉だ。

サクラの感が本当なら、きっとサクラの前世は忍びだ。
殺されて、転生して、前世の世界へやってきた。


ここは、まず警戒と拒絶を使わなければ生きていけない世界に
サクラは先入観を持つという事を、忘れて戻ってきてしまった。


サクラはきょとんと顔をかしげて、サスケの言葉を待った。



「手伝えよ。俺の気が・・・変わらないうちに。」

「うん、分かった。じゃ、私何すればいいのかな?」


「とりあえず、お前の好きな食べ物なんだ?言っておくが俺が作れそうなモノにしろよ。」


サクラは暫く考え込んで、ボソリとつぶやいた。



「えっと・・・あんみつ?」


「それでいいのか?」


「駄目?」


サクラは上目使いで、サスケを見つめた。
何か悪い事でも言ったのだろうか?問いかけるような瞳だった。


「別に・・それならいい・・・。俺が知らない料理よりいい。」

「うん。ありがとうサスケ君。」


サスケは冷蔵庫を開けて、材料を見ているようだった。
一人暮らしが長いサスケは、テキパキと事を進めていく。

「サクラ、俺は足りないもの買ってくるから、お前はコレやっておいてくれ。」

渡されたのは、果物。
ああ、あんみつに使うのかとサクラは受け取った。

「お前の好きな形にでもきってろ。」
「うん。」



サスケはすぐに、家を空けた。



「・・・・本当・・ここ、かすかに暖かい記憶があるきがする。」

それはこの家が持っている記憶。
サクラは台所に立つと、静か過ぎる場所にうわ言のように繰り返しつぶやく。

「今はなんかとても悲しい空気が覆いかぶさっている。」

「きっとこれがサスケ君に感じた、暗いオーラなのかな?」




人を幸せにするのが、天使の仕事
それは上級、下級など階級に囚われず、天使の指名である。

中間クラスにいるサクラは、まれに悪魔祓いの仕事に行く時もあるが、やはり人の幸せの笑顔を見るのが一番いい。



「・・・私に課せられた任務の意味は分からないけど、やってみよう。」


悲しく笑う少年の心の闇は分からないけど、
その闇を自分という光で、消してみよう。



「・・・一筋縄じゃいかないな・・。あの闇は結構厄介だ。」


「何が厄介なんだ?」



「あぁ!!」



気配なく帰ってきたサスケに、サクラはうっかいり果物を落としてしまった。
何やってるんだよと、サスケは呆れて荷物をテーブルに置いた。
サクラは笑って誤魔化すが、サスケは呆れていた。



とりあえず今夜は、サスケからの歓迎会をサクラはありがたく頂戴した。
























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