Angelica  3




カカシ班只今任務中です。
実況は私、力天使(ヴァーチェズ)サクラがお送りします。

サスケ君とナルト君は木の影に隠れながら、気配を消して標的に近づいている模様。
因みに、私は木の上から二人の動きを観察中です。
5m以内の距離に入り、いったんカカシ先生に連絡を入れて、標的を一気に囲み捕獲!

今日の初めの任務は、大名の妻の飼い猫探しでした。
コレにて一件落着でございます。
























「んま〜トラちゃん!死ぬほど心配したのよ〜。」

大名の妻のマダム・しじみはもう放さないといわんばかりに、ほお擦りをしていた。
横目でみたトラと呼ばれた猫は、少々同情した。
あれでは逃げ出したくもなる。

次の任務の予定を火影から告げられるが、そんな雑用任務ばかりじゃイヤだとナルトが駄々をねこる。
サスケもナルトのいう事には、さりげなく頷いている。
カカシは新米がそんな任務できるわけないと、叱るがナルトは暴れるのをやめない。


見かねた火影は”Cランク”をやろうと言って、ある人物の護衛を任命した。

橋作り職人タヅナさんの護衛だった。











「出発〜!!」


各自、荷物を持ってきて木の葉の門に集合。


「お前までついてくるのかよ。」

「だって、一週間くらいって結構な時間。私もついていく。」

サクラはサスケに残るように言われたが、ついてきた。
残るのもよかったが、やはり外の世界は見ておきたい。
この世界の人は、どのような景色を見て、どんな風に感じて生きているのだろう。
サクラの無垢な笑顔に、サスケも何にもいえなくなり”勝手にしろ”と横を向いた。

「サクラちゃんも行くの?!」

「えぇ、私もついていくわ、ナルト君。」

「なんかナルト”君”なんて似合わなねぇナルトでいいってばよ!」

「そう?じゃ、ナルトってこれから呼ぶね。」

「おう!」










歩いている途中で、この世界のことをカカシから大まかに教えてもらった。
五影にいくつもある隠れ里。
この世界の基本的な経済の流れや、思想。
あの火影と名乗る、おじいさんは実は凄い人だという事が判明。
内心バカにしていたら、カカシに突っ込まれたというのは言うまでもない。


この文化が、近代と少し昔とで入り乱れる世界はギャップが激しすぎる。
戦いが当たり前なのね。
忍びになって、里の為、国の為に戦うのね。

機械や化学の経済的レベルは、近代都市と言われるような世界とかわりないのに
思想が中世までさかのぼるとはどういうことだろう?

サクラはこの世界の独特な雰囲気はまだちょっと、理解に苦しむようだ。









サクラはみんなで楽しく歩いている途中で、強い殺気を感じた。
気配は消されているので、どこにいるのか良くは分からないがカカシは気付いている様子。
大丈夫と瞳で訴えられ、カカシの様子が変わった。

そう思っていたのも束の間、見知らぬ二人組みがサクラたちを襲ってきた。





カカシは取り押さえられ、体を裂かれた。
それにびびったナルトは、体を硬直させている。
サスケはいち早く反応し足に括りつけてある、ホルダーから武器を取り二人組みを圧倒した。
が、2対1で大人と子供じゃ、勝敗の行方は目に見えている。


一人がサスケの攻撃を避け、タズナへと向かっていく。
今動けるのは、サクラ一人。


本当は、任務や、サスケやナルトの手助けをするのは、カカシから止められていたが
今はそんなとこ言ってる場合じゃ、ないだろう。
人一人の命がかかっている。

サクラも護衛用に貰った、クナイを前に持ってきてナズナの壁になる。


「おじさん!下がってぇ!!」


クル!と生唾を飲んだ瞬間、サクラの視界はサスケの後ろ姿になる。

(え?)


そう思ったときには、カカシは見事復活して、襲ってきた二人組みを取り押さえていた。




ナルトは手傷をおった。
毒が入ってるらしく、戻って一回手当てをしたほうがいいとカカシが言うがナルトは言うとおりにしなかった。
さっき自分だけ動けなかったのが、相当悔しかったのだろ。
サスケにさえ”ビビリ君”と言われてしまったのだから、プライドはズタズタだ。


ナルトはクナイを出して、振りかざした。
振りかざし、一気に自分の怪我をした手の甲にクナイを刺した。

刺したところから血が滝のように出てくる。


「この左手の痛みに誓って、オッサンが必ず守る。任務続行だ!」


ナルトの目は本気だった。
誰も止められないだろう。

それに、それだけ出血をしているのだから、毒血も出て行ったろうとカカシは呆れた。


「ナルト・・・景気良く毒血を抜くのはいいが・・・」

「?」

「それ以上だと、出血多量で死ぬぞV」


語尾にハートマークが入るような、口調でカカシはいい笑顔で言った。

「ぎゃぁぁあ!!」

出血多量死という言葉を知らないのか、ナルトは暴れだした。

「ホレホレ見せなさい。」

呆れたカカシは、怪我をしたナルトの傷口を見る。
カカシがあまりに真剣に手を見るから、ナルトは心配になったがどうやら取り越し苦労だった。
持っていた包帯で、丁寧にナルトの傷を包んだ。




「先生さんや。」


ナルトの手当ても終わり、少し休憩しようとしたところ。
タズナが真剣な顔で、カカシに何か伝えようとしていた。


「大切な話があるんじゃ・・。」

やはりなとカカシは、サクラ達と少し離れたところで、タズナは訳を話し始めた。





















BACK          NEXT