Angelica    4





タズナは護衛の本当のわけを離してくれた。
波の国の貧しさ、ガトーという独裁者のおかげで国の人たちが悪政に苦しんでいる事。
ガトーが霧隠れの忍びを数名雇っている事。


そして、他の国へと渡れる橋を作ろうとしているタズナ達の命を狙っている事。
全て話してくれた。


それの訳を離してもなお、カカシたちは現在も任務を続行中である。


霧に隠れながら、いそいそと小船が川へ下っている。




波の国の印象とても殺風景だった。



ナルトは今度こそはと名誉挽回に張り切っている。

手裏剣をを草むらに投げつけた。
暴れるなとカカシに怒られるが、ナルトの耳には入っていないようだ。

またナルトは物音のした場所へ、手裏剣を投げつけた。

今度は、白いウサギがいたのだ。



カカシは、瞬時にウサギを見て敵襲だと気付いた。


大きな刀みたいなものが投げつけられているのを察して、伏せろと命令した。




「・・・!!!」


とても邪悪なエネルギーをサクラは感じ取った。
ずっとずっと何年も、殺戮を平気で繰り返してきた瞳。

それを当たり前かのように楽しんでいる目。

「・・・悪魔の中でもこんなヤツは居なかったのに・・。」


サクラは中級天使だ。
まだまだ、悪魔の階級もたくさんあるのは知っているが、己のレベルに合わせた悪魔としか戦ったことがない。


(人間でも、平気でこんな瞳になれるのね。)


いい勉強になるわと、置かれている状況を無視してサクラは構えた。



ナルトも今度こそと、動こうとしたときカカシが止めた。
これはお前達が叶うようなレベルの忍者ではないと。

額宛で隠していた目を開けて、カカシは宣戦布告をする。

攻撃をかけていた男、桃地再不斬もカカシを知っているようだ。
お互い噂で聞いた事ある同士らしい。


ナルト、サスケ、サクラはカカシの命令で、卍の陣でタズナの前に立つ。




カカシと再不斬の空気は一触即発だ。

再不斬は刀から降りて、湖に浮かんだ。
かなりの”チャクラ”というものを使っているのが分かる。

カカシも、それに対抗するかのように術をかけ始めた。



上忍同士の戦いが、コレほどまで凄まじいとは思わなかった。
サクラは身震いした。

人間でここまでの殺気が出せるのだ。

サクラの人間観はもう少し穏やかな生き物だと思っていたが、少し考え直さなければいけないらしい。
今まで見てきた人間が、弱すぎるのも原因だったのか、同じ人間にもイロイロあるのだろう。
弱い存在だと決め付けるのはやめよう。



”8箇所”


不気味な声が聞こえた。
再不斬の声だった。

この脅しは四人を脅すには効果的だった。


しかし、

「大丈夫、俺の仲間は絶対殺させやしなーいよ!」


優しい笑顔で回りは落ち着くが、再不斬は冷静に次の攻撃に回っていた。







油断をしていたのが悪かったのか、それとも再不斬が一枚上手だったのか、
状況は、再不斬の方が有利だ。

クナイを喉元に突きつけたのは当初カカシだったが、水分身だった。


分身と気付かず、安心したカカシに今度は再不斬が、後ろからクナイを突きつけた。
が、その体勢から上手く逃げたカカシだったが、湖に蹴り飛ばされた。

上がってきたのも束の間、カカシは再不斬の術に捕まってしまった。


身動きできないカカシをイイコトに、再不斬は水分身で、ナルト達を攻撃してくる。

カカシは逃げろと叫ぶが、ナルトとサスケはいう事を聞かずに、戦闘態勢をとり始めた。




(・・・私は、私はどうすれば?)


サクラは迷っていた。

二人がタズナから離れる。
自動的に、タズナの護衛なので全員が離れるわけにはいかない。
サクラはタズナからは離れらない。

でも、ナルトとサスケだけで勝てるのか?


サクラにだって、力は持っている。
今までだって、任務で悪魔と戦ってきた事だってある。
それも命がけでだ。

対悪魔用の力だが、人間にだって効く攻撃だってある。

しかし、”天使の自分”が勝手にこの世界で好き勝手していいものなのか?


メタトロンは判断は自分達にゆだねられている。
ここで手を出すなら、ずっとここに居る以上は普通に仲間として戦う。

それとも、あくまでも傍観者の立場になって見守る?


サクラが悩んでいるなか、二人は動き出した。
作戦があるとかないとか言っていたが、果たして勝敗の結果が気になる。


再不斬の過去と殺気に怖気づいた二人。
再不斬はそこを見逃すはずもなく、攻撃を仕掛ける。
サスケのおなかに、裏拳で一撃。

サスケのダメージは大きかった。
口から血が出ている、ナルトは影分身で再不斬の視界からサスケを消そうと加勢する。


「かなりの数だな。」


再不斬は少し驚いたが、影分身全員でかかってもハがたたなかった。
それでも、ナルトは素早くリュックの中から大きな手裏剣をサスケに渡した。
サスケはその手裏剣の意味が分かったようだった。


「風魔手裏剣・影風車!」

サスケは手裏剣を受け取ると、間合いを取って再不斬へ投げつける。
狙いは再不斬本体だった。

余裕で再不斬はよけたが、手裏剣には影分身が施されていた。


「が、やっぱり甘い。」


一瞬戸惑いを見せたが、再不斬は見度とに手裏剣をよけた。
しかし、サスケの口の口角が上がっている。


よけた瞬間、手裏剣はナルトへと変化を遂げた。

「うらぁ!!」


ナルトの放ったクナイは見事に、再不斬の顔を掠めてカカシの術を止めさせるのに成功した。
怒った再不斬はナルトに襲い掛かろうとするところを、カカシが止める。


「ナルト、作戦見事だっただぞ!」


ナルトが嬉しそうに作戦の解説をした。


そして、戦いは終盤を迎える。


ナルトは下がり、カカシも間合いを取った。

再不斬とカカシの術合戦。
カカシは写輪眼で、術のコピーをして、スピード・印の形を一寸たりとも間違うことなくコピーした。
そう、しかも速さは同じ。


「「水遁・水龍弾の術」」


速さは同格、そして、今度は術だけではなく、動きも全く同じに様に行動する。
再不斬は動揺している。

そして、再不斬の心を読み取るようにカカシは言葉を並べる。


「水遁・大瀑布の術!」



湖の水が一気に溢れかえる。

術をかけるスピードはカカシが一気に上回った。
そう、これは今再不斬がカカシにしようとした忍術だった。

先読みしていたかの様に、カカシが先に術を施した。


術をくらった再不斬は、陸地のほうまで吹き飛ばされた。



「何故だ?お前には未来が見えるのか?」


同様ずる再不斬に、カカシは


「ああ、お前は死ぬ。」


と一言だけ告げた。」


カカシがクナイで再不斬の止めを刺そうとした瞬間、再不斬の首に二本の千本が刺さった。
急所を射止めたのか、再不斬は全く動かなかった。

千本が飛んできた方向には、お面を被った少年がいた。



「フフ・・本当だ。死んじゃったV」



カカシは再不斬の脈を確認した。
完全に止まっている。



お面を被った少年は、頭を下げた。


「ありがとうございました。僕はずっと確実に再不斬を殺す機会を伺っていたものです。」

「確か、そのお面霧隠れの追い忍部隊・・。」

「さすが、よく知っていらっしゃる。」

「追い忍?」

ナルト達は頭の上に?マークが飛んでいた。
少年とカカシの言っている意味がよく分かっていない。

「僕は”抜け忍狩”を任務とする、追い忍部隊の者です。」

背丈からしてナルト達とあんまり変わらないだろう。
ただの子供ではない事は誰でもわかる。



「なんだってんだよ!お前!!」


ナルトは納得いかないのか、お面の少年を指さした。

「ナルト、敵じゃないよ。」


「そんな事言ってないってばよ!あの再不斬が殺されたんだぞ?!あんな強いヤツが俺と変わらないガギに?!
 簡単に殺されちゃったんだぞ?バカみてージャン俺達?!」


「信じられないかも知れないけど事実だ。」


カカシはナルトを宥める。
人一倍負けん気の強いナルトのことだ、今の光景が信じられないのだろう。
サクラだって、タズナもサスケも、この情景をまだ受け入れられていない。


「この世界では、お前より年下で俺より強いガキもいる。」


ナルトは反論できずにだまったままだった。

仮面の少年は再不斬を抱き起こして、消えていった。






一安心したのか、カカシは額宛を元の位置に戻した。
タズナさんの家に向かおうと・・・


「!!」


ガタン!



「え?ちょっと先生?!」


突然カカシが倒れた。
敵の攻撃の傷が思ったより深かったのか?



「・・・写輪眼、使いすぎた。」



倒れた理由はあまりにもお粗末な訳だった。















BACK          NEXT