Angelica   5






「そーっとやれば大丈夫だってばよ!」

「本当に?」



「いくってばよ!」









バチ!!




「「ぎゃーーーーー!!」」






「ん?何やってんの?お前達・・・。」

「フン、ウスラトンカチが・・。」







あの後、タズナが力尽きたカカシを支えて、タズナの家に行った。

カカシは完全に気を失っていたのである。
タズナの娘のツナミは布団を敷いた。

眠るカカシの素顔を見ようと、悪戯しようとしたナルトは、カカシのマスクを取ろうとした瞬間カカシに気付かれた。
カカシの素顔にはサクラも興味があったので、一緒になってマジかで見ていたが、
ナルトと同じく撃沈した。



「大丈夫かい?先生。」

「いや〜、全くスミマセン。」


「先生、その眼の力凄いけど、リスクが高いと思うわよ。」

サクラの鋭い突っ込みに、カカシは返す言葉も無かった。



「・・・・。」


そんなのほほんとした空気も束の間、急にカカシは考え込んだ。
真剣に手を口に当てている。

戦闘以外でこんな真剣な顔を見たのは初めてだ。









「!!!」

「どうしたんだってばよ?」


カカシは急に顔を青ざめた。
周りにいるナルト達は、カカシの前に座る。


「ナルト、サスケ、思い出せ。あの仮面の少年が使った武器を・・・。」

「確か、殺傷能力の低い千本。」

瞬時にサスケがその時の状況を思い出す。
ナルトはカカシが一体何を言いたいのか分からず、キョロキョロと左右を見ている。

「ご名答!おそらく・・・再不斬は生きている・・!」

「「なんだって〜!!」」

カカシの発言に、ナルトとタヅナは絶叫をした。
サスケはやはりなかというように、ため息をついた。



「え?皆気付いてなかったの?」



「「「「へ?」」」」


ここで、一番空気を読んでいない言葉が、部屋の中に木霊した。
サクラは何故皆が、再不斬が生きている事に驚いているのだろうか?


「サ、サクラ・・お前もしかして・・。」

「モチロン、気付いていたわよ。人間はね、死ぬ瞬間に肉体と魂が離別するの。再不斬にはそれがなかったわ。」


あぁ。そうだった。
サクラは天使だった。
時には死んでいった人間の魂の導きもするだろう。

「でも、大丈夫でしょ?あの仮面の少年が・・。」

「いや、サクラ。アイツは再不斬の仲間と見たほうがいい。」

「どうして・・。」

カカシは自分の推理を語る。
後になって死体を処理するのはおかしい。
だって、首さえ持っていけばいいのだから・・。




「サクラ・・。」

「はい。」

「今度、俺達以外・・・もとい敵が違う事いったら教えてね。サクラ・・。」

カカシはガックリ肩がさがる。
そんなにしょっとだったのかのサクラは申し訳なくなる。
サクラも皆気付いてると思っていたのだ。

しかし、死後の事なんか分かるのは天界の人間だけである。
読みが甘かったのかも知れない。
種族の違いが、こんなにも壁になるとは思っても見なかった。


「ま、俺も再不斬も暫くは動けない。とうわけで、その間はお前達の修行の時間に当てる。」


「修行って!?」


とりあえずついてこいと、カカシに促され近くの森にナルト達は来た。

「先生、修行って何するんだってばよ!」


「ん?木登り」


え?木登り?
何故子供の遊びのような事が修行に繋がるのか?
三人は頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。



「まぁ、見てろ。こするんだ。」

カカシが印を結び、そのまま木の幹を歩き始めた。
しかも垂直にだ。


「歩いてる・・。」

「しかも垂直に・・。」

「どうなってるんだってばよ。」



「チャクラを上手に使えばこういったことも出来るんだ。」

カカシはチャクセの性質を、全然理解をしていないナルトに優しく噛み砕いて説明する。
無論サクラも、興味心身でこの世界の魔法のようなしくみに瞳を輝かせている。

「ぐちゃぐちゃ言うより、体で覚えたほうがいいな。」

カカシはクナイを三人の足元に刺した。

ナルトは意欲満々に大口叩いて木を上り始めた。
しかしナルトは初めの一歩で、幹から滑り落ちすぐに地面についてしまった。
反対にサスケは、初めは上手く上れたものをチャクラノ力が強すぎて幹に弾かれた。
それでも、幹に登れた跡は付ける事が出来た。


(まぁ、ナルトとサスケの差はこんなもんかな。)


カカシは予想通りの読みに、頭を悩ませる。


そして、残ったサクラは・・・・



「・・・そうえば、私って”チャクラ”は持っていないのよね。」


ふっとサクラが登った木を見上げると、頂上に近いところの枝に腰を下ろしていた。

「でも、サクラちゃんどうやってそこに・・?」
「あら?忘れてない?私にはこれがあるのよ。」


フワっと背中から姿を現したのは、純白の羽。
サクラの体より倍に大きく、バサバサっと少し羽ばたきをして落ち着いた。

「先生、私も木登りの修行参加したほうがいい?」

「ん〜、そうだね〜サクラが自分のやりたい事すればいいよ。」

「そっか・・。じゃぁ、そうするわ。」






































「ふぁ〜暇ね。」


サクラは、一人タヅナの護衛についていた。
ナルトとサスケはまだ森で、修行をしている。


「そういえば、あの金髪の小僧とすかした小僧はどうした?」

「修行中。」

「お前さんはいいのか?」

「私は忍びじゃないし、優秀だからね!」


「え?忍じゃないのか?」

「言って無かったけ?つきそい♪」

「そうかい・・。」





本日の仕事を終えて、タヅナとサクラは家に帰る。
帰る途中、タヅナの買い物に付き合ったサクラだったが、町並みがとても廃れていた。

町全体に活気が無い。
子供が小汚なくうずくまり、泥棒と叫ぶ声が聞こえても誰も助けようとはしない。

タヅナは近所の八百屋に入った。
中はガランとしていて、商品も殆ど無い。


(ナニコレ・・・木の葉と全然違う。)


そういえば、タヅナが行っていた。
水の国は大名さえもお金を持っていない、貧しい国だと。
大名が金を持っていないなら、国民だって貧乏なのは当然だ。


だからこそ必要なのだ。
橋が・・・・!!


完成させなければ橋を・・・!















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