Angelica   6






「そろそろ戻るか。」

三日月の夜、サスケとナルトは木登りの修行の成果がでたのか、木の天辺まで登る事が出来た。
二人とも服はボロボロで、あせも凄い。
ここまで来るのに幾日かかかった努力の賜物だった。


確かに今日は疲れた。
ナルトもサスケの言葉に同意した。


「あ・・!」

「おい!」


地に足が着くとナルトはふら付いて倒れた。






「おう!お帰り。」

「へへ・・・二人共天辺まで登ったぜ!」

ノルマをクリアしたとナルトは嬉しそうだ。
そんなナルトを支えているサスケは、相変わらずポーカーフェイスを崩していない。

(倒れるまでやるなよな・・・ウスラトンカチ)

カカシから、翌日はタヅナの護衛につくことを命じられて体力を回復するために早く眠りについた。


















夜中、ふとサスケは目が覚めた。

横ではナルトが天才的な寝相を披露している。
おまけに鼾までかいて・・・。
寝ていても起きていても、煩いなとサスケはぼやいた。

ふと外で何者かの気配を感じた。
別に殺気立っているわけでもない。
ただ”誰かがいる”とう雰囲気をだしているようだ。


それに邪な気配ならいち早くカカシが気付いているハズ。

「あ・・・カカシはまだ体が上手く動けねぇのか・・。」

もし、そうだとしても、全くは動けなくは無い。
サスケやナルトの何らかのアクションはしてくるハズ。
という事は、村の人なのか?
それにしてもこんな夜更けに?



サスケは怪しさを感じさせない気配なら、もう一度寝なおそうとしたが、気になって起き上がってしった。
念のため気配を消しておく。


外の廊下で一人ポツンと、腰を降ろしている人がいる。
それはサスケの良く知る人物だった。


「サクラか?」

「サスケ君。」


サクラは自慢の羽根を大きく開いていた。


「お前何やってるんだよ!」

「見て分からない?羽根を洗っているの。」


流石にお風呂では狭くて洗えないらしい。
サクラの体より大きな立派な白銀のソレ。

背中を恥かしげも無く見せて、なんとも思わないらしい。


「でも・・物騒だろ。こんな夜中に・・。」

「えでも、ここ着てからいつもそうだよ?」

流石に毎日は無理だけどと・・とサクラは念のために付け足しておいた。
明日はきっと何かが起こりそうだとサクラはつぶやく。

「明日か?」

「うん・・・私の予感ね。」


予感だけで分かったら、世の中はもっと上手く回っているだろうに・・・。


「それにしてもお前・・。」

「何?」

「恥かしくないのか?」

「え・・?」

「背中!!」


背中が丸見えなのをサスケは気にしていた。
こうやって、同世代の女の子の肌を見るのは生まれて初めてで、どうしていいのか分からないのだ。
顔を真っ赤にさせて指を刺してるサスケに対して、サクラはなんとでもないようだ。

「あぁ・・コレね。いつもの事よ?」

「はぁ?!」

「だって、絵に描かれている天使なんていつも裸よ?」


サスケはふと、博物館に描かれている絵を思い出す。
大半が子供だが、女性もかかれいる。
そして、その9割が裸体だという事を思い出した。

「お前・・じゃ、元の世界では・・・。」

「いや!全裸じゃないよ?・・・でもヤッパリ、羽根が出るように背中の開いている服だし・・・」


そうか、それで背中が見えているのは慣れているせいかとサスケは納得した。
大分カルチャーショックを受けた。
仕方ない。サスケとサクラは住む世界が違うのだから。



「いや、待てよ?」

「え・・まだ何か・・・?」


サスケはここで何か重要なことを見落としている気がする。
今のサクラの行動。
外で羽根を洗う。











「お前・・・・・木の葉でもこういったことやってたのか?」


恐る恐る聞くサスケに、サクラはあっけらかんと答えた。


「そうだよ。」




ソの無防備な発言に、サスケがガックリと肩を落とした。
そもそも木の葉には、霧隠れのような大きな川はない。
一体どこで?


「参考までに聞いておこう。サクラ。」

「はい。」

「お前、一体木の葉ではどこで羽を洗っていた。」

「えっとね・・・初めは噴水の水使ってたんだけど、それじゃ気が引けて、二回目からは不気味な森だったけど、
 そこで流れいる川を使わせていただいてました。」

「一人でだよな?」

「うん、そうだよ。あそこ入るのメンドくさくてさ、なんか厳重にお札とか、フェンス張ってるの?何でだろうね?」



不気味な森、厳重に完備されている。
それはつまり立ち入り禁止区域。

ぁぁ・・・サクラは、きっと演習場所に使われているところを使ったのだろう。
しかも、火影が許可を降ろさなければ出入りを許されない、危険な区域を・・・・。
そこは猛獣や、毒草、毒花や、かつて忍達が息絶えた死体がわんさか転がっているところだ。


それを不気味と一言で片付けられるサクラの肝の大きさに、ため息が出た。




「なぁ、サクラ。」

「?・・うん?」

「木の葉に帰ったら、もうそこには行くなよ?」

「え・・でも・・。」

「いいから!人の家の水道代気にするより、自分の身を案じろ!」

「でも・・・」

「俺がいいっていってるんだ!いいか?あそはお前は入るな!」

「は・・はい!」


サスケの凄い剣幕に、サクラは大人しく頷くしかなかった。
何かやってしまったのかと、サクラは己の行動を思い返したが特に思い当たる事は無い。
サスケの顔は赤かった

なるほど、サスケはサクラのことを考えてくれた結果がコレなのか。
一人で夜、気味の悪いところに行くのは非常識だ。


「ふふ・・・。ありがとう。サスケ君。」


「別に・・・。ともかく、もう寝るぞ。」


結構な時間話しこんでいた。
サクラの羽根も乾いた頃だろう。

大きな羽根を何度か羽ばたかせて、水気を取った。
そして、サクラの背中の中にしまわれていく。


「そうだね。」

サクラは、立ち上がった。

「・・・!!!」

「何?今度は何?」


「ち・・・近づくなーーーー!!」



夜中である事を気にもとめない男の悲鳴が響いた。


「ちょ・・・サスケ君。みんな起きちゃうよ?」

「いいから!お前はまず、服を着ろ!!」

「え・・あ!!」


そうだ。
座っているときは、膝を立てて座っていたので、前は見えていなかったのだ。
立ち上がった今、サクラの上半身は・・・


「俺は先に戻る!」

「え・・ちょっと待ってよ〜。」

「うるさい!」








その夜、サスケはなかなか眠れなかった。
















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