Angelica   7





「ナルト!ナルト!」

「駄目だ、サクラ。ナルトは限界まで体力を消耗している今日は起きないだろう。」



夜が明けて大分たった。
また今日から護衛の任務なのに、ナルトはピクリとも動かない。

「仕方ない、今日は3人でだな。」

「すみません、ナルトをお願いします。」

カカシはイナリの母親にナルトのことを頼み橋へと向かう。


目的地の蜂へ着くと、人が二人倒れている。
敵襲が早かった。
カカシ、サスケ、サクラはタズナを守る様に、陣を組む。
そうすれば、この前カカシと戦った再不斬のの声が聞こえた。


サスケの武者震いを怯えていると勘違いして高笑いをしている。
既にサスケは水分身を見切っていた。
カカシもこの一週間の修行で十分分かっている。
”ヤレ”の一言で、一気に再不斬の水分身を蹴散らした。

サスケも手ごたえがあり、ハッキリと見えていたのだ。


「ほう、あのガキかなり成長したな。ライバル出現ってところだな。白。」

「はい。」


再不斬と一緒に登場したのは、この前再不斬に止めを刺したはずのお面を被った少年だった。
どやらカカシの読みは当たっていた。
殺すフリをして、再不斬を助けに来たあの少年。



「アイツは俺がやる。」

サスケはあの仮面の少年に敵意を丸出しだ。
先手必勝の言葉の元に、その言葉に仮面の少年”白”と呼ばれた子は動き出す。











一方、ナルトは今日は一日起きないと思われていたが、目を覚ましていた。
置いていかれていた事を怒り、慌てて用意をして家を飛び出した。
途中で、森の中の不自然に切り刻まれている無数の刀の傷を不審に思いながら前に進む。
しかしやはり家のことが気になって、家に引き戻した。

イノシシが無残に八つ裂きにされている。
考えてみれば、あの木に刻まれた傷は一気に、イナリの家に向かっている。


(クソ!!さっき戻ればよかったてばよ!)



案の定、戻ればゴロツキがイナリの母親を襲っていた。
それを止めようとイナリが、向かっていくがこのままでは殺される。
ナルトは間一髪で、ゴロツキを足蹴りにする。

一気に怪しい二人組みを片付けた後、もう一度橋へ向かいだした。











サスケと白の攻防が続く。
サスケは完全に白のスピードを見切っていた。
カカシはこの流れなら大丈夫と判断し、再不斬との一騎打ちに入る。

サクラはタズナをつれて後方へ回り、戦いの巻き添えにならないように離れる。


「タズナさん、私から離れないでね。」

「おお、分かった。」


忍び同士の本気の戦いを見るのは、タズナもサクラも初めてだ。
殺気しか見当たらない空間に、気がめいりそうになる。

でも白という少年は何か違っている事に気付いた。

サクラは纏う空気を感じ取る事に敏感だ。
カカシと再不斬は素人からでも分かるように、殺意しか感じ取れない。
サスケは白に勝ちたいという闘気がみなぎっている。

何故か白には争いごとに必ず感じ取れる雰囲気が他の三人とは違う。

何かを躊躇っているような?
本気で力をだしていないような・・・?


そんな事を考えている間に、白の動きが変わった。
片手で印を作り攻撃態勢に入る。
サスケは修行の成果を実践に上手く活用して、その攻撃をかわす。


白にダメージを与えると、白の纏うオーラが一変した。
今度こそ本気で来る。
サクラは飛び出して応戦したいが、タズナを一人に出来ない。

白がもう一度、違う印を結ぶと氷の壁が出来た。
その中にサスケを閉じ込めて、無数の千本がサスケを襲う。


ワナワナと震えるサクラを見て、タズナは言っておいでと優しく言った。
タズナの言葉を素直に甘えて、一回本体に向かってクナイを投げつけたが、簡単に取られてしまった。
こうなったら、背中の羽根を出して聖気をためて・・・


背中の羽根を出そうとしたが出ない。
どうして?昨日まで普通に出せて、力が使えたのに!!


サクラの頭の中を何かの記憶がよぎる。
メタトロン様が言っていた言葉。

そうだ、必要以上に力を使わないように制限されていた事を思い出した。
今までは特にこの世界に害をなさないから使えたのだ。
そして今は、この世界の人の戦いに手を出している。
だから、メタトロンの力が発動して使えないのだ。

「く・・・!!」

「そんな攻撃じゃ、僕は倒せませんよ。」

が、一方からまた手裏剣が飛んでくる。
白はその手裏剣に気付かず顔に当たり、氷の壁から体が抜け出して地面へと倒れる。


lこのメンバー以外で、こんな事する人物は一人しかいない。


「うずまきナルト!只今見参!」


流行意外性NO1忍者のナルトだった・・・が、



「おい、助けに来たぜ!」


と何食わぬ顔で、白の作った氷の壁に自ら入っていく。

「な!!」


あまりの慎重性のない行動に、サスケは驚きを通り越して呆れる。

「このウスラトンカチ!!お前まで中に入ってどうするんだよ!」

「何だと!せっかく助けにやってきたのに!」

しまいには、敵前の前で喧嘩をする始末。
カカシもこの状況にため息しか出ないようだ。


(クソ!!これなら!)


「火遁、豪火球の術!!」


口から測れる炎で、自分達を囲っている氷へとぶつける。
が、氷は少しも溶けていなかった。


「そんな火力じゃ、この氷は溶けませんよ。」


術を見破れないサスケとナルトは、上下左右から繰り出される攻撃に翻弄される。
そんな三人の状態を見て、カカシは何かを悟ったようだ。
サクラには聞いた事ない言葉を耳にする。


「血継限界・・。」


血塗られた世界だ。
忍の必要な事は殺しの経験をつむ事。

サスケ、ナルト、白のこの三人の経験の差を見れば、結果は歴然だ。
このままでは危ない。
カカシは一気にこの戦いの終止符をつけようと考案する。

カカシは写輪眼の隠れた目を開ける。
そんなモノはもう怖くないと、再不斬は写輪眼のカラクリを自慢げに話した後、霧をだして姿を隠した。
気になったのは、以上に濃い霧だという事。

コレでは再不斬自信も何も見えないのでは?


こんなときだからこそ、自分は自分のやれる事をやらなくては。


「敵も気合が入っている。タズナさん絶対に離れないでね。」

「あぁ・・分かった。」


とりあえず、再不斬、白はそれぞれ相手がいるから安心だ。
でも油断は出来ない。
新手が来るかもしれないし、こんなに濃い霧の中何が起こるかはわからない。
サクラは神経を張り詰めて、クナイを構える。


周りはみんな殺気立ち、足がすくみそうだ。
でもしっかりしなくては、今タズナさんを守る事が出来るのはサクラ一人だ。


慎重にあたりの空気を読むサクラ、近くに怪しい気配はないが
なんせ相手はその気配を消す事が可能な人物だ。

せめて力がつかえたらと頭がよぎる。


ふっと黒い感じが背中に感じた。
振り向いたときには遅かった。
再不斬がタズナをきりつける。




「きゃああああああぁぁあ!!!」






(今の声はサクラの声!カカシの奴はなにしてるんだ!)

サスケは立ち上がり、白の攻撃をよける。
さっきまで完全によけれていなかったのに何故?



サスケを良く見ると、目が違っている。
黒い瞳が赤い瞳へと変わっている。
その瞳に写る形は、巴の形。

未完成ではあるが、


「写輪眼!!!」


白もその瞳を知っているようだ。


「そうですか・・・貴方も・・・。」


白の様子が変わる。


ならばと、白の攻撃は繰り出したが、方向がサスケのところではない。
千本が向かう先にいるのは倒れているナルトだった。


(な・・!!クソ・・間に合え!!!!)













「カカシ先生!!」


サクラは目を開けるとカカシの背中が見えた。
間一髪で、再不斬の刀をカカシが庇った。


再不斬はまた不気味な笑いをして、また消えた。
カカシは本気で今度は決着をつけようとしている。
胸のポケットから、巻物を取り出し、何か術をかけた。

そして、利き腕に大きな闘気を感じとった。










「う・・・。」


気絶していたナルトは目が覚めた。
視界に移るのは、煽れている白と自分の横に立っているサスケだった。


「全く、お前は本当に足手まといだ。」

「サスケ・・・!!」


サスケが勝ったのか、ホっとして立ち上がろうとサスケを良く見ると、体に大きな千本が刺さっている。
この体制はどう見てもナルトを庇っ体勢だ。


「な・・・んで・・。」


「仕方ねぇだろ、体が勝手に・・。」


サスケは力尽きて倒れた。


「仲間の死は初めてですか?それが忍びの道ですよ。」


ナルトの体が段々と熱くなる。
ドクンドクンと心臓がハチキレそうだ。


”殺してやる”

”許さない”


「!!!!!!」



ナルトの様子が変わった。
目の色が、青い瞳から、赤い瞳に変わった。
























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