Angelica 8 ナルトの様子が変わってから、周りの空気が一変した。 禍々しいチャクラを感じ取って、困惑する三人がいた。 (何?この邪悪な気配!!) サクラは邪悪で禍々しい気配にとても敏感だ。 自分が聖気を主とする生物であるだけに、こういった気配は注意を払わなければいけない。 「サクラ?!どうしたんじゃ?!」 サクラは体を包むようにして震えていた。 段々体に力がなくなり、座り込む。 (聖気が吸われている?!) 天使と悪魔の場合、力関係をあらわすのはとても簡単だ。 弱いほうが強いほうに力を吸われる。 天使は聖気 悪魔は邪気 それぞれ、力やレベルに合わせて威力がある。 弱いほうが吸われてしまい、弱ってしまう。 サクラはそこそこ階級も上で、全体図からみても中の上だ。 大抵の悪魔は排除できる力を持っている。 しかし、そんなサクラの膝をつかせる人物は誰なのか? 「く・・・はぁ・・!」 「サクラ?!大丈夫か?」 タヅナはサクラの事情を知らない。 突然のサクラの変化に慌てている。 「ごめんなさい。タヅナさん、すっごい邪悪な力を感じて・・・ビックリしたの。」 「そうか・・・やっぱり忍びになる子は違うんじゃな。」 「ううん、そうでもないよ。」 サクラはタズナに支えられて起き上がった。 体が鉛のように動かない。 でも、一体誰がこんな気を出しているのか分からない。 再不斬とカカシの気配とはまた違う。 ヨロヨロと場所を移動した。 とりあえず、声以上聖気を吸われない一定以上の距離をとらなければいけない。 もし今何かあっても、サクラがこれじゃ何も出来ない。 カカシもサスケ、ナルトも戦っているのだから、今サクラがタヅナを守るほかないのだから。 「タズナさん、少し場所離れましょう。戦いが悪化してる。」 「ああ、分かった。」 大分場所を放して、体が思うように動ける様になった。 「タズナさん、ありがとう。」 「いやいや、ワシに出来るのはこんなもんだけだからな。」 二人は三人の戦闘を見守っている。 ずっと橋の上にかかっていた霧が晴れた。 戦いが終わったのだろうか? 目の前に見えるのは、お面の子が再不斬を庇って、左胸を貫通されていた。 「!!!」 カカシは無事。 そして、サクラはナルトの姿を発見した。 「ナルト!無事だったのね!」 ナルトはいつものように、はしゃぐ様子もなくなんかおかしい。 そういえば、サスケの姿が見えない。 「サスケ君は?」 いやな事を聞かれたかのように、ナルトは横を向いた。 何かあったのだろうか? そういえば、さっきの禍々しい邪気と関係有るのか? サクラは動きたくて仕方なかった。 でも、人が死んだのならサクラは分かる。 一つの魂が役目を果たして天に還る気配はなかった。 じゃぁ、どうして? 「サクラ、ワシも一緒に行こう。そうすれば先生のいう事を破ったことにはならんじゃろ。」 「はい。」 サクラはタヅナをつれて、ナルトが元いたところへと駆け出した。 そこで二人が見たものは、変わり果てたサスケの姿だった。 無数の千本に指されて動かなくなったサスケ。 (嘘・・!!だって・・・それとも私が気配を見落とした?!) サクラは、サスケの頬を触る。 冷たい。 命が通っている温度ではなかった。 「サスケ君・・・!!」 何度人の死に遭遇するのはなれて居ない。 サクラはサスケの体に縋りついた。 無論体も冷たかった。 「サクラ・・・。」 「重い・・・。」 「サスケ君?!」 サスケの声がした。 幻聴かと思いきや、やはりサスケの声がした。 死んでなかった。 サスケは生きていたのか、思わず出ていた涙が止まってしまった。 ガバっと抱きついて、そしてまた止まったと思った涙がまたでる。 「サクラ、痛てーよ。」 「あ、ごめん。」 「ナルトは?お面のヤローはどうした。」 「ナルトは無事よ。お面の子は、死んだわ。」 「死んだって・・!ナルトがやったのか?」 「私にもよく分からないの。再不斬を庇って・・・。でも、よかった致命傷を避けていたのね。」 サクラはすぐにナルトに、サスケがちゃんと生きている事を伝えた。 サスケはナルトに顔をあわせなかったが、手を上げてナルトに答えた。 「おいおい!お前ら安心しすぎ!」 橋の片側に、ガトーの手下達がまだ残っていた。 さっき再不斬がガトーを殺して、一度ひるんだが、カカシ達も再不斬との戦いで、 力が少ししか残っていないと分かり、このまま町を襲って金目のものを強奪すると言っている。 「カカシ先生なんかいい術なにの?」 「無理だ。雷切。口寄せと写輪眼、悪いがチャクラはゼロ。」 「そんなぁ?!」 サスケの瀕死の状態。 タズナさんは戦える状態じゃない。 と、なると・・・。 (私が戦うしかないみたいだわ。) 幸い、サクラは今までの戦闘に参加していなから一人ぴんぴんしている。 それに力を使うことはご法度だけど、聖気を使う術が禁止されているだけあって 普通に剣術や武術なら大丈夫だろう。 ここの世界にきてから大して力を使っていないから体がなまる。 それじゃいきましょうかと、指を鳴らした矢先、水の国の島の住人がみんな武装して橋の反対側に立っていた。 「それ以上、島に近づく輩は・・・島の全町民の全勢力をもって!生かしちゃおけねぇ!」 イナリが皆の心を動かしてくれたようだ。 ナルトのそれに乗るように、影分身をして建前上人数を増やした。 (それなら今のチャクラでもできるかな。) ハッタリにはなるか・・カカシも印を結んで、ナルトより多くの分身を見せた。 そして、ガトーグループの残党がひるんだ。 カカシの殺気じみた顔で、怖気づいてみるみると内に逃げていった。 一人残らず脱げると、やっとガトーグループを追い出せたと、島の町民は盛り上がった。 「終わったみたいだな・・・カカシ。」 若干、再不斬に息が残っていた。 「あぁ・・・。」 「頼みがある。あいつの・・白の顔がみてんだ。」 「ああ。」 カカシは再不斬を白の場所へと運んだ。 すると季節でもないのに雪が降ってきた。 (エンジェルズの気配。そうか・・・この二人を迎えに来たのね。) 雪の演出はどうやら、魂を迎えに来た天使たちのイタズラだったようだ。 サクラはエンジェルズの姿を確認した。 そして、エンジェルズもサクラの姿を確認すると、敬礼をした。 サクラも敬礼で返す。 エンジェルズ達が迎えに繰るなら、二人は一緒に天国へ行けるだろう。 (よかった・・・。) 二週間後、 再不斬達の埋葬も済み、サスケとカカシ、ナルトの怪我の治癒も終わり 木の葉へと帰る日となった。 「あの少年がイナリの心を変え、イナリが町民の心を変えた。あの少年は”勇気”というなの”希望”へかけ橋をわしらにくれたんじゃ。」 ”かけ橋か・・・” ”そういえば、この橋に名前つけんとな” ”なら一つ、この橋に超ピッタリな名前があるんじゃ!” ”おお!どんなだ?” ”ナルト大橋っていうのはどうじゃ” ”フ・・いい名前ね。” 「よし!かえったらイルカ先生に任務終了の記念としてラーメン奢ってもらおう!」 「ナルト・・・お前ナ・・。」 「ふん・ウスラトンカチ。」 (人間ておもしろいな・・・) この任務が終わった日、サクラがこの世界へ来て一ヶ月が経とうとしていた。 |
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