めぐり行く想い   8


「見事ね、サスケ君。」
大蛇丸は上機嫌に拍手をサスケに送った。
「こんな短時間で50人・・・さすがね・・・。」
「・・・・・」
サスケは何一つ話さない。
今思えば初めて人を殺した。
生暖かい血の感触がまだ残っている。


「あら?・・サスケ君顔色が悪いわよ?」
「・・・・別に・・」
「そうね、サスケ君は初めての人殺しだものね。感想はどう?」
「ふん。血が気持ち悪い」
サスケはさっさと自分の部屋に帰っていった。

「ふふ・・・コレから楽しみね・・・」


「大蛇丸様・・・」
「何?左近」
「お話したいことがあります。」
「わかったわ。他のものは席をはずして頂戴」





「で?話って何なの?」
大蛇丸は左近の雰囲気を感じて何かいやな話だとは感じていた。

「サスケ様のことです。」
「サスケ君。」
「サスケ様は木の葉を捨て切れていない!!」
左近は大蛇丸に強く言った。
「まだ抜けたばかりだものね。戸惑ってるんじゃない?」
「違うんです。」
左近には心配にあるような材料がたくさんあった。




「話してごらんなさい。」
「それは・・・・・サスケ様が里抜けをされた夜・・引き止めた女がいました。
 その女はまるでサスケ様の里抜けを知ってたかのように毎日門にいました。」
「それは・・・こんな小娘じゃなかった?」
大蛇丸はサクラそっくりに変化した。
「!!!」
「この子ねサスケ君と同じメンバーでサスケ君に惚れてるのよ・・。わかってても仕方ないわ。」
「ですが!!別れ方が!!」


左近はサスケとサクラの出来事を一部始終見ていた。
全て大蛇丸に話す。
「ふうん」
「それに・・・サスケ様はいまだにその小娘と共に写っている写真も持っていました。」
「それは・・・本当?」
「はい・・・無意識と独り言を・・・先ほどの木の葉の襲撃のときも会ってましたあの娘と」

「それで、どうなったの?」
コレは興味深い質問だ。
「最後の50人目をその娘にしようと首を絞めてましたが結局できずに他のものを殺してきました。」
「そうだったの・・困ったのもね。」



しんと静かになった。
せっかくサスケを手に入れたのに木の葉を捨ててなければ意味が無い
「そう・・・私もね・・ちょっと思い当たる事があったからね。」
「大蛇丸様もですか?」
「ええ・・」
大蛇丸は変化とといた。

「とりあえずサスケ君はこのまま監視もいいけどちょっと試してみない?」
「と・・いいますと・・」
「耳を貸しなさい左近」
わざわざ、二人だけにしたがそれでも回りに聞こえないように大蛇丸は左近に何かを告げた。
ゆっくり左近から離れる。

「どう思う?」
「それは・・・大蛇丸にお任せします。」
「そうなら・・・決行よ。」


左近はそのときの大蛇丸の顔がとても面白そうに笑っていた事を不気味に思った。













サスケは部屋に帰るなりすぐシャワーを浴びた。
体に纏わりついた血を洗い流す。
「・・・・・」
初めての人殺しはあっけないものだった。
人間はこんなにたやすいものだとわかった。
サスケは自分の手を見つめていた。

「・・・・・・」


この手でサクラを殺そうとした。
危うく本当に殺そうとしてしてしまう所だった。
まだ残っている感触が忘れられない。

首を絞めたとき今までのサクラの笑顔に邪魔された。
自分は甘い
こんな事で心を動かされている
捨てなくてはいけない想いをいまだに持っている


あの時何故サクラは抵抗しなかった?


「わかんねえ・・・」




お湯の蛇口を閉めて風呂場から出た。
横に、服からはみ出ている写真があった。

「大体こんなもんがあるからいけねえんだよな。」

写真の中はいつまでもあの時のまま・・・
幸せな時間だった。


きっとうすうす気づかれている自分の半端さに一体どうしたら・・・・・・?

「また・・つくっちまった」












大切なものをまた作ってしまった

今度は自分から壊してしまえばいいんだ・・・

それならもう苦しむ必要も無い




写真が音を立てて破かれた
炎によって跡形もなくこの世に無くなった



こんな気持ちなど捨ててしまえ

あの・・下忍のなりたての


一族が殺されたばかりの気持ちを思い出せ!!




必ず殺すと誓ったはずだ!!


それを・・薄れさせたのが木の葉の里・・・
一度は皆とこうしてやっていくのが1つの道だとおもった。


でも違う!!





ああ・・そうだ・・・なかでもサクラやっぱりお前だよ
この復讐という思いを和らいでいたのは・・・









「そっか・・・サクラを殺してしまえばいいんだ。」


そうしたらきっと俺は苦しまずにすむ









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