切なさの行方2 〜風の通り道〜   4




「ヤッホー・・・・・」
「どうした?無花果?」


「別に・・・・・」
イタチの部屋を出た無花果はむすっとした顔をづかづかと歩いていた。
偶然、パートナーの男とあう。


「またイタチになんか言われたんだろ?」
「もう、頭きちゃう!イタチのヤツ!!」


「・・・・お前変なことたくらんでないよな?」
「まさか!・・・・でも・・・イタチのことは〜・・・・」
サクラぐらいの少女にヤキモチをやくのはいやだ。
だからって、このまま身を引くのもゴメンだった。


「でさ、イタチが連れて来た女の子ってどんな感じ?」
「何よあんた!」
「いくら人質でもさ、ここまで連れて来るんだから絶対気に入ってるだろ・・・」
「そうね〜、名前は確か春野サクラって言って髪の毛が桜色で・・・いかにも脆い乙女って感じ
 あれでも木の葉の下忍でしょ?・・・それにあの子寝てたからよくわかんない・・」


「へ〜ピンクの髪の毛?珍しいね〜。俺も見てこようかな〜。」
「馬鹿やめなさいよ。暫くしたら見れるようになるから我慢しなさい。」

無花果がさっきイタチを怒らせたので、イタチは機嫌が悪い。
それに、なれるようになったらサクラもここを出歩くようになるだろう。



「まっそうだな・・・・あ〜あ見たかたなぁ〜、他の皆は見たのに俺だけ見そびれたんだよな・・・」

男は残念そうに自分の部屋へ戻ろうとした。
「ちょっと待って!」
無花果は男の服を掴んだ。
「え?何?」



無花果は意地悪は笑みを浮かべていた。
無花果がそんな顔をするのは、何かよからぬことを考えている時だ。
男は嫌な予感がした。


「あんた”サクラちゃん”興味があるんでしょ?」
「そうだけど・・・・」
「だったら、あんたサクラちゃんイタチから奪ってよ!」
「はぁ?」
無花果は目を輝かせて叫んだ。
「そうよ!そうすればイタチは私のものよ!!それっきゃない!」






「勝手に決めるなよ・・・・」


「なによ?可愛かったわよ〜サクラちゃん〜お肌白くて、スベスベで、まつげ長くて・・・・・」
「その話し乗った!!」
「そう来なくっちゃ・・・。頼りにしてるよ、あんたは女好きなんだから節操ないでしょ?紫苑君?」
「女好きと節操なしは勘弁しろよ。イケメンが台無しだ。」


その男の名前は紫苑。
顔立ちはイタチに負けず劣らずの綺麗な風貌だ。
が、女癖が悪いのが玉にキズだった。


「同盟よ?紫苑がサクラを落として、私はイタチを落とす。」

「ああ・・・いいぜ?お互いうまくやろうな相棒?」
「ええ・・・・」




誰も知らないところで一つの闇が生まれた。





















あれから幾日がすきた。
イタチと鬼鮫は今まで以上に暁に居る以上サクラには気を使うようになった。


サクラはそんなに気にしなくていいといったが、本人達が気にするとの事で甘えていることにした。


イタチ達以外でのメンバーとも仲良くなっていた。

普通に出入りが出来るようにもなっていた。


皆サクラに優しかった。
サクラに何かあったら、イタチと鬼鮫がどうなるかわからないからだ。
イタチと鬼鮫のサクラへの態度は目に見張るものだったので、自然と全員がそうなる。



サクラもだんだん暁の生活に慣れていった。
あの時の監禁ほどではなかったので、なれるのもそれほど時間がかからなかった。



初めに仲良くなったのは同じ女性の無花果だった。
そして、彼女相棒の紫苑
二人はイタチと鬼鮫の次によく話す相手となっていた。

しかし、イタチと鬼鮫は二人にはあまり快く思っていない。
「あまり二人には近づくなといってくるぐらいだった。」


無花果との事があってイタチと鬼鮫は心配していたが、無花果とサクラはとても中が良かった。
嫉妬などみっともないことをしたくないからだ。
女の子ど同士話しが合う。



「サクラちゃんてイタチの事好きでしょ・・・」
「え・・・・」

無花果にずばりつかれてサクラは固まった。


「見てればわかるわ。私もイタチの事好きだからね・・・」
「え・・・・」


サクラもそのことは知っていた。
口にしなくても目がそれを物語っていた。
イタチのあいまいな態度はきっと無花果がいるからだとサクラは思い込んでいるからだ。

「心配しないで・・・ただそうねだけ。ライバルだね。サクラちゃん」
「無花果さん・・・」

無花果は綺麗に笑ってサクラにいった。



「負けないわよ。サクラちゃん」




無花果ほどの人ならきっとイタチも好きなのかな?なんて思った。
サクラは子供だし、相手は5つも年が離れている。
サクラは不安になった。

好きという態度をほのめかすが、肝心なことは聞いていない。


「あぁ、無花果こんなところにいたのか。」
「紫苑」
サクラと無花果が話していると、紫苑が話を割ってきた。
彼もサクラに心優しい一人だ。


「こんにちはサクラちゃん」
「こんにちは。」
いつものスマイルを送った。
紫苑はなにかとサクラに突っ込んでくる。


「さっきイタチが向こうにいたけど、行かなくていいのかい?」
「大丈夫です。」
「そっか・・・」


噂をすれば影が来るというか、向こうにイタチの姿が見えた。




「サクラ・・」
イタチは不機嫌そうにサクラを呼んだ。

きっとまたこの二人といて怒ってるのだろう。
でも、二人は本当に優しいから警戒を持つ意味がないなに・・・


「じゃぁ又ね。サクラちゃん・。」
無花果は手を振って、イタチに意味ありげな笑みを送った。




「サクラ・・・なんでだい?」
「だって、無花果さんも紫苑さんも優しいもん。」
サクラは少し膨れた。


「・・・」
イタチは少しため息をつく。
それならいいのだが、まだまだイタチは二人を信用できないらしい。






















「サクラちゃんて可愛いね。」
紫苑は無花果の部屋でお酒を飲んでいる。
「だから言ったでしょ?」



「本気で狙おうかな・・・?イタチの奴はどうもああいうところは不器用だからね。」
「どういうこと?」
「なんでもない」


無花果は紫苑に絡んだ。
「ナンだよ。」
「ねぇ・・・」
「ん?」







「イタチと鬼鮫がボスに偵察頼まれてたって本当?」

紫苑は嫌味な笑いを浮かべた。

「あぁ・・さっきね。イタチと鬼鮫がそんな事言ってたの偶然聞いたんだ。」
二人はいやな笑みをして、それぞれ杯を交わした。





「これでゆっくり・・・・二人で計画が練れるな。」




「そうね。」





誰も知らないところで何かが動き始める・・・・・













BACK        NEXT