切なさの行方2 〜風の通り道〜   7






イタチと鬼鮫が、任務へ向かってもうすぐ3週間に入ろうとしていた。
あと1週間と少し。

サクラは我ながら我慢したと思った。



そういえば、あの時も一人で留守番をしていた時があった。
あの時のイタチは毎日お土産を買ってきていた。
今思うと、何でそんなことをしていたのだろう?


ただの人質に・・・・




あの時は恐怖からか、イタチの親切がとても嬉しかったのだ。
しかし、今思えばおかしいことなのだ。
でもサクラは今度の任務で、お土産を買ってくるのだろうか?と不謹慎な事を考えしまう。
どこの方面へ行くのかは聞いてないが、きっとまた買ってくるのだろう。
買い物に悩むイタチを想像するだけで、笑みがこぼれた。




「お、サクラちゃん何一人で笑ってるの?」

「あ、紫苑さんにデイタラさん・・・と・・・・」
声がした方へ振り向くと、見慣れない人物が一人いた。
また会ったことのないメンバーなのだろうか?



「サソリだよ。サクラちゃん。」

「え・・・?!」


そこには赤毛の綺麗な目鼻立ちをした青年がいる。
これがあのサソリなのか?


「アレは傀儡で体を守っているだけだ。」


「はぁ・・・そうだったんですか。」


最近この3人でサクラに絡んでくることが多かった。
二人っきりじゃないだけましかと言い聞かせて、3人にサクラは話を合わせた。
そしてそこに無花果が入ってくる。
これは毎日の行動パターンになっていた。


他のメンバーは顔をあわせても何も言われないが、この4人はどういう訳か違う。
でも、誰とも話さないで寂しい思いをしないだけましと思い、サクラは4人と会話を楽しんでいる。




「イタチさん・・早く帰ってこないかな・・・?」





「サクラちゃん。入っていいかな?」

ドアの外から声が聞こえた。
声の主は紫苑のようだ。

「え・・・?」

「ちょっと話すだけ。」


少しぐらいならいいだろうと思い、サクラはドアを開けた。



「や。」

紫苑はサクラの好物の餡蜜を持ってきていた。

「食べない?」
「わぁ・・いいんですか?」

「うん、サクラちゃんの為に買ってきたんだから。」


一体どこで買いに行ったのか聞きたかったがサクラはやめておいた。
今は紫苑の好意を素直に受け取ろう。


「頂きます。」

そういえば甘いものを食べるのは久しぶりな気がする。
サクラはテンポ良く、寒天やフルーツを口の中に入れていった。


「サクラちゃんて可愛いよね。」
「え・・・。」


急にそんなこと言われて、サクラは箸をとめた。
イタチと違って紫苑は直球だ。
それも突然やってくる。


「ね、イタチなんてやめて俺のところこない?」
「え・・・・そんな事言われても・・」

「イタチのことが好きなんだ。」

「え・・わ・・・きゃ!!」



一瞬の速さで視界が変わった。
紫苑から見下ろされている。


「ここまでてこずるとは思わなかった。今までだったら・・」
「放して!!」

サクラが必死に抵抗するが、力の差はありすぎる。

「こういう時って女の子は悲しいほどに非力だね。」


「いや・・・・」

紫苑はサクラの服に手をかけてきた。」


「やめて・・。」


ファスナーをゆっくりはずしていく・・。

「いやぁぁ・・!!」

何かがフラッシュバックしてきた。
この感覚は・・・そうだ。襲われた時だ。
あの時の恐怖と今の怖さは似ている。

誰か・・・

助けて!!







「その辺でやめておいたら?イタチに殺されるよ?」



紫苑はドアのほうをむくとサソリが立っていた。

「テメェ・・いつから・・・」

「俺のところにこない?・・・って言った辺り。」
「初めからかよ。」

「さっさと帰れ。今ならイタチに言わないでおいてやる。」

紫苑は舌打ちをして、すぐに部屋から出て行った。
サクラは、下ろされたファスナーを素早く整えた。


「あの・・・ありがとうございました。」

サクラはサソリに軽くお辞儀をした。

「別に・・・組織内で分裂があると後々面倒になるからな。それだけだ。」
「はぁ・・・」
「それにお前気をつけろよ。こんなこと考えてるのは紫苑だけじゃないといつも考えていろ。」
「え・・・。」

「みんなお前に興味がある。前に角飛といたろ。アイツも気をつけろ。ま、一緒にいる角都は大丈夫かと思うが・・。」
「・・・はい・・。」

「分かったらいい・・・。」

「貴方は・・?」
「ん?」


「貴方は・・・平気なの?」

「俺か・・・?そうだな・・ちょっと危ないかもな。」
「そうなんですか?」


「兎に角、お前はここの中で一番弱い!いつだって何されるのかわからない。」
「わかりました。ありがとうございます。サソリさん。」

「わかればいい・・・。」


忠告を言って早々サソリも自分の部屋に戻った。
サクラは今日初めてイタチの言った意味が分かったのだ。

「・・・今更遅いね。」


でも、紫苑は分かったが、何故無花果さんも入るのか?
同じ女の人で気遣ってくれるのに・・・・。

「イタチさん無花果さんのこと誤解してるんだわ。」


サクラは部屋の鍵をかけて、食べかけの餡蜜を食べ始めた。

「別に、食べ物には罪はないからいいわよね。」

ついでに残っていた紫苑の分も平らげて、満腹状態だ。
そしてカレンダーにチェックを入れる。

「イタチさん・・・早く帰ってこないかな・・。サソリさんも秘密にするって言ってたし・・。大丈夫だよね。」



でも、ふと思った。
イタチが帰ってきてもこの状況は変わらないということに。
サクラはずっとここに居るのだ。

「・・・修行とか出来ないのかな?イタチさんの役に立ちたい。」

そう、イタチはサクラを外に出すことを許さなかった。
まるで箱にでも入れておきたいような、ガラスを相手にしている様な接し方。

イタチが戻ってきても、サクラは変わらない。
景色の変わらない部屋で、ただ帰りを待つだけ。



「イタチさんは一体、私にどうして欲しいんだろう?」

自分が暁のメンバーに入るにははっきり言って力不足だ。
だからと言ってずっとこのまま、囚われのお姫様扱いなのも嫌だ。


「帰ったら聞いてみよう。私も外に出たい・・・ううん、修行してイタチさんの役に立つ!」




サクラはまだ気づいていない。
その気持ちは今まで自分が育った里を、裏切る行為だと言うことを・・・
己から生まれ故郷を出た時点で、それは確定しているのだけれども、決定的な行動をしてしまうということに・・。



「そうだな・・・私はどちらかといえば幻術タイプってカカシ先生が言ってたよね。」

サクラは早速、これからの自分の行動予定をリストアップを始めた。

「喜んでくれるかな・・・


 そうそう、チャクラのコントロールももっとのばしてソレを活かせる術とか教えてもらって

 医療忍術とかいいかも!!一人くらいいるかな?そういう系統の人

 幻術を教えてもらうのはやっぱりイタチさん。

 苦手な体力もつけなきゃね。体術は誰が得意なんだなろう?

 なんか考えたら楽しくなってきちゃった!


 よし!こんなもんでしょ?」





















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