切なさの行方3〜真っ白に包んでくれたらなにもいらない〜 4





コンコンと扉を叩く音がした。

こんなところに何のようだろうか?
まさか、追忍?

この家はサクラとイタチと鬼鮫しか知らないのだ。
しかし、木の葉の追ってだったとしたら、わざわざ戸を叩く事はしないだろう。
旅人だろうか?サクラは気配に殺気や、戦気がないのを確認してからゆっくりとドアを開けた。

そこには一人の男が立っている。


「こんにちは。」
「・・・・こんにちは。」


中年の人のよさそうな男だった。
服装は今から工事でも取り掛かりそうな格好だ。

「私どもはこういうものです。」

名刺を受け取ると、やはりどかの建設の人らしい。
でも何故こんなところに?

「はぁ・・・・それで、何の御用ですか?」
「親御さんはいらっしゃいらないようですね。」
「父と母はいません。」
「これは失礼しました。」

男は謝ると、一枚のパンフレットをサクラに渡した。

どうやらこれを建設するらしい。


「私達は、これからここの森の近くに一軒の教会を立てることになりまして・・。」
「それとコレと、どう関係が・・?」


「工事はいろいろありまして、なんぜもっぱらココは森だらけ。貴女も村の方に行けばいいのに・・。」
「ここが気に入っています。それに私は一人ではありません。」

なんの事情も知らない男に、とやかく言われる筋合いは無い。
もうすぐイタチ達が帰ってくる。
ソレまでになんとかしておかないと・・・

「用件は手短にお願いします。」

「そうでした。工事をこれから暫くはかかります。木の伐採から土地を整えるところから、
 騒音などのもしかしたらあるかも知れないでしょうが、
 完成までご協力をお願いします。という事です。」

なるほど、挨拶か、でもイタチにも報告する義務はあるだろう。
なんせ顔が割れている。
工事現場はいろんなところへ行くから、私達の情報が漏れると困る。

「分かりました。しかし、一つ約束があります。」
「なんでしょうか?」

「ここに私・・・いえ、私達がいることは誰にも言わないでください。家の存在も」
「わかりました。」

男は快く承知してくれた。

「それでは私は仕事に戻ります。」
「わかりました。くれぐれも口外無用です。」

「はい・・。」

男は急いで、仕事へ戻っていった。










「もし・・・破ったなら、私達は・・・・殺さなくてはならない。貴方達を・・・。」


サクラは寂しそうにつぶやいた。











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秘密を守ってくれるだろうか?
いろんなところへ工事へ行く人たち。

情報を聞きに来る人も、少なくは無い。





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