切なさの行方3〜〜真っ白に包んでくれたらなにもいらない〜   8





花火が舞い上がった。
本日は快晴。

落成式にはうってつけの天気だ。



大勢の人たちが、教会の完成を祝う中、イタチたちは物陰でコッソリとその様子を見ていた。


「イタチさん、素敵な教会ですね。」

「あぁ・・。」


サクラはパンフレットを貰ったときからこの教会が完成するのを楽しみしていた。
暫くはもの珍しさに行く事は出来ないだろうが、今度行く気でいだろう。
女の子向けに作った、かわいい雑貨も置いてあると書かれていたからだ。


天使のガラス細工が欲しいと確かサクラは言っていた。

あとで、縁に選ぶのを手伝ってもらおうとイタチは思った。


「イタチさん。あそこの神父さんと知り合いなんですよね?行かなくていいのですか?」

「鬼鮫、ここは安全だが、いつ俺達の事を知っている奴らが来るか分からない。念には念を入れておく。」

「それもそうですね。」

鬼鮫もすごい人で興味をそそる。
しかし、こんないかつい男があんな神聖なる場所には不釣合いだろう。
あそこの地に入るのは、血生臭過ぎる。

「あの人がこんど遊びに来いといっていた。」

「えぇ?!」

「いいんですか?ハッキリいって私達からみればあそこ程相応しくない場所・・・・」

「いいんだ。あの人の行為に甘えよう。」

「わ〜!!」


サクラは早速雑貨のカタログを開いて、どれを買うか決めている。


「・・・半年後位がめどだな。あの人の多さから見れば・・。」

「・・え?イタチさん、今何かいいました?」


ボソっと聞こえたイタチの言葉は、鬼鮫にはよく聞き取れなかった。
こういった独り言は、イタチの場合結構重要なことを言っている事が多い。
長い間行動を共にしてきた相棒のクセだ。


「イタチさん、ちゃんと説明してください。」

「あとで、黙ったままにされてサクラさんを悲しませるようなことをするのはやめてください。」

イタチには前科がある。
今度こそ、この二人には笑って欲しいから鬼鮫も少し強引になる。
そんな鬼鮫を見てイタチは笑った。

「本当、お前には叶わないよ。」

「え・・?」

「ここでは話しずらい。夜でいいか?」

「分かりました。」




その夜、鬼鮫はイタチの計画を聞き感動の涙を流した。


「ああ・・やっとイタチさんが!!」

「鬼鮫、お前俺をなんだと思っている?」

「そういった事に乏しい人だったので、ずっとこのまま平行線かと・・」

「・・・まぁいい。」

本当のことだから、イタチは何も反論できなかった。
涙が止まらない鬼鮫をよそに、サクラの笑顔をイタチは思い浮かべた。









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鬼鮫さんはやっとサクラの不安が解消できる!!と思ったに違いない!
私の中では鬼鮫さんはいい人。
イタチにも、サクラにも両方気にかけてくれる。

もう執事でいいんじゃね?!






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