切なさの行方3〜真っ白に包んでくれたらなにもいらない〜  9話






「えっとあの・・・コレはどういう事ですか?」


サクラは今、動く事を禁じられている。
両手を肩の高さまで水平に上げて、その周りには数人の女の人がメジャーを持ってサクラの体のサイズを測っていた。

いや、ちょっとまって?

「一体コレは・・???」


「あら、聞いておりませんか?」

「え?」

「駄目よ。この女の子には内緒と、相手の方から言われてるんですから。」

「はい?」


全くもって、検討がつかない。
今日は普通に家でのほほんと過ごしていた。

しかし、イタチが食料調達から戻ってきたら、突然町に借り出された。
というより、強引に連れ出されたと言ったほうが正しい。


そういえばこうして二人で買い物なんて初めてではないだろうか?
なんかデートみたいだと、サクラは内心喜んでいたが、イタチは足を止めた。



突いた先はなんか高そうなドレスが並んでいるブティック。
サクラには今ドレスなんんて必要ない。

何故こんなところに?と思っていたら、”入るぞ”とイタチはサクラを中に入れさせた。



内装は綺麗に作られて、とても場違いな気がした。
色とりどりのワンピースドレス、カクテルドレスに、振袖。
どうやら、女性のフォーマルを扱っている仕立て屋さんだ。

でも何故こんなところに?


「じゃあ、頼んだぞ。」

「はい。畏まりました。」


イタチは一人の女性と話し、すぐに店から立ち去った。
サクラは、店員に腕を引かれ、今来ているものを脱がされた。

思春期真っ最中なサクラにとって、いくら女の人でもいきなりこんな事されてはたまったモンじゃない。
脱がされてから、指定の白いワンピースみたいなのを着せられ、人形状態。
一体何がどうなっているのか・・・?


店員さんに尋ねても、秘密の一点張り。
どうやらイタチが彼女達に口止めをしているのは分かる。
さっき言っていた”相手の方”というのはイタチだから・・。


そもそもこんな事して、新しい服でも作ってもらおうというのか?

(こんな事しなくても、普通に服は買えるのに・・・)


とりあえず、戻ったら服くらいは自分で好きなのを買うから、
今何かを作ってもらっているなら、やめてもらおうとサクラは思った。
とりあえず、今日は寸法合わせだけらしく時間はかからなかった。



有難うございました。と店員さんに言われてお店を出たら、
イタチは迎えに来てくれた。


「イタチさん!」

「迎えきた。」


そういってまた、サクラの手を強引に引っ張る。
今日のイタチの様子は、いつもと違う。


「イタチさん、何を考えているんですか?」

「別に・・。」

「じゃぁ、今のお店は何なのか説明してください。」

「・・・。」

「・・・半年後に答えがでる。」

「え?そんなにかかるの?」

「あぁ・・。」


半年後?
もう何を考えているのか、ますます困難する。


「イタチさん、私洋服なら、普通に自分で買いますから・・。」

「いや、洋服とは違う・・・。」

「え・・?」

「あ、すまない。とりあえず、俺からの贈り物が半年後にくるという事だけ覚えていてくれればいい。」

「・・・?」


またたいそうな準備期間を強いられる事だけの事があるのだろうか?
そもそもこんな事する必要があるのか?

とりあえず、サクラは素直に頷いた。

きっと、あのお店で寸法を合わせたのだから、きっとよそ行きみたいな服だろう。
上質の布を使った、身分の高い人が着る様なものかもしれない。
それだけ読めれば今はいいやとサクラは思った。


一体どんなデザインなのか、サクラは胸を膨らませた。







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