切なさの行方〜真っ白に包んでくれたらなにもいらない〜 10話





一通の手紙が届いた。
この住所を知っているのは、ごく一部の人間だけ。

宛名を見ると、前に洋服のサイズを測りにいったお店からの手紙だった。



「あぁ・・できたみたいだな。」


あれから半年が経っていた。
製作に半年もかかる服・・・一体どこまで豪華なのやら・・・。


次の日、サクラはイタチに連れられてまたあの仕立て屋さんに来た。

扉を開けると、店員さんは綺麗な顔でお決まりの”いらっしゃいませ”と言って歓迎してくれた。
イタチは店の人と話していて、サクラは別室で待たされた。
お茶を貰うと、退屈そうにアイスティーにガムシロとミルクを入れる。

ストローでかき混ぜて、丁度いい具合になったらストローでアイスティーを飲んだ。

「おいしい。」

流石お店のお茶だ。
使っている茶葉もきっと高いものだろう。


「失礼します。」

ノックがして、返事をすると店員さんが入ってきた。
準備が出来たといわれて、また別の場所へ移動になった。


「あの・・・一体なにが・・・」

「それは相手の方から聞いてくださいね。」

店員さんはニコニコしながら、サクラを離れた部屋に移した。
ドレッサールームだった。
大きな鏡が特徴で、ドレッサーも大きい。

中にはもう何人かのスタッフがいる。

「じゃ、お願いしますね。」

「分かりました。」

案内をした店員は、サクラをこの部屋に入れると持ち場へ戻っていった。


「さ、服脱いで?」

「え?」



すいません。
いきなりそんなことを言われても困るんですけど・・・


「ほら、女同士なんだから気にしない!」

「わ!キャ!!。」


プロのスタイリストは脱がすのも上手かった。

「はいはい。じゃ暫くこれ着ててね。先にヘアとメイクだからね。」

椅子に座ると、また別の人がサクラの後ろに立った。
先に髪の毛をやるらしい。
スタイリング剤が、髪の毛の艶を増やした。

毛先を少し切られた。
そういえば、ここへ着てからドタバタしてて、髪に気を使ってなかった。
美容院なんて久しぶりだろう。
もしかして、イタチはそれを気にしててくれたのだろうか?

(もしかして、今日はめいいいっぱいオシャレをしてもいいとか?)

そう考えると、心が軽くなった。


少し髪の毛を切り、整えられたら一つにまとめられる。
いつも降ろしているからと、アップにされた。

「よし、これでいいわね。飾りはドレスを着てからにしまちょう。」

「じゃ、次は私ね。」


今度はメイクさんだった。
本格的にメイクをされるのは初めてで、緊張する

化粧筆で、綺麗に影を描かれて、瞼に似合う色をつけて、頬に鮮やかな色が乗る。
リップは髪の毛の色に合わせて、薄ピンクにしてくれた。



目を開けて、鏡を見るとそこには見違えた自分の姿があった。


「これが・・私?」

「そうよ。とっても綺麗!!」


スタッフ皆が、サクラをもてなす。
そして、奥の方から服をもって着る人が来る。

「はい、今日のメインディッシュ!」


それは綺麗な白いドレスだった。
でもこれはどうみても・・・


「これ・・ウェディングドレスじゃ・・・」


「そうよ?貴方には内緒にって、あのカッコイイ人が言ってたの。だから今日がお披露目。」


純白のドレスは、上品にレースが施されていて、そして流行のデザインなのか裾がとても長い。
ちゃんとヴェールも用意されていた。
パールもふんだんに使われたこのドレスには、一体いくらの費用がかかっているのか想像も就かない。
今値段を聞くのはやめよう。


「・・・嬉しい・・。」


純粋にサクラは嬉しかった。

「あ〜あ。ないちゃ駄目よ。せっかくのメイクが落ちちゃう。」

「さ、これ着てはやく相手の方の所にいかないとね。」

「はい。」


どれに身を包むサクラの姿はとても綺麗だった。






「「「「お待たせしました〜」」」」


四人がドアを開けると、イタチがタキシードを着て待っていた。


「サクラ・・」

「サクラさん綺麗ですよ。」

「え・・?鬼鮫さんも!!」


イタチの横には鬼鮫もいた。
もしかして、二人してグルだったのか?


「綺麗だ。」

「はい、ありがとうございます。」


イタチはサクラの手を引く。
そして、いきなり抱き上げた。

「わ!!」

「行くぞ。予約の時間が迫っている。」

「え・・?どこに?」

「・・・すぐに分かる。鬼鮫後は頼んだぞ。」

「わかりました。」



イタチはサクラを連れて、すぐに消えてしまった。












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