もうひとつの未来  5




暗部任務を終えたサスケは、その日は珍しく家に真っ直ぐ帰れた。
後輩や、ナルト達に捕まることが多かったが久々に家でゆっくり出来そうだった。

どうも最近は、帰りが遅いから家族とはなかなか会話が取れていない。
独身の頃とは違い、家庭を持つようになってからは、国外任務が減った分
書類仕事をする機会が多くなる。
最近ではようやく慣れてきたが・・・・

今回は久しぶりの里外の仕事で、木の葉の土を踏むのは、一週間ぶりであった。
ぐったり帰ってきた忍びに、まだまだ書類があるといって残業させるほど火影も鬼ではない。
報告書を渡すと、綱手からの上がってよしと返事が返ってきた。





今日はゆっくり子供達の元気な顔が見れそうだ。

暗部の仕事は精神的にきつい。
帰ると、暖かい明かりが見えるのことにすごくホットする。

帰ってきたのだのだと実感できる。

久しぶりの我が家であった。






しかし、ドアを開け、帰ったという言葉を出しても子供達のお帰りなさいが聞こえない。
ダイニングにいくと、サクラが一人でいる。
楓と紅葉は二階にでもいるのだろうか?

「ん?サクラ、楓と紅葉は?」

「・・・アカデミーの合宿、3日ぐらいは帰ってこないわよ。」

「へ〜、俺しらなかったし。」

「そりゃそうよ。サスケ君今任務に戻ってきたばっかりじゃない!暗部の任務から!!」


サスケの今の格好は暗部の服に、少し血がこびりついて、お面を後ろに回した状態だ。
こんな姿で帰ってきたサスケを見て、初めのころ子供達は怖くて避けていた時期もあったが
今では平然とお父さんが活躍したんだと嬉しがる。
サスケが帰ってくると、どんな敵がいたのか、強かったのか?
と、ひっきり無しに聞いてくる楓の姿が見えないからサスケも不思議に思ったのだろう。


「・・・静かだな。」
「そりゃ、いつもは楓と紅葉の声が煩いもん。」

サクラはサスケにタオルを渡すと、お風呂沸いてるよといって浴室に促す。
かいた汗を流したかったサスケも、素直に服を脱いで風呂に入った。


「・・・本当に静かだな。」

浴室にいても聞こえる声が今日はない。
無論、だから静かにしなさい!と怒鳴り散らすサクラの声もない。

お湯の音がただ響く浴室に、久しぶりにゆっくり入れそうだとサスケは湯船にのんびり使った。









一人に戻った時のようだ。
扉を開けたら誰もいない。暗い部屋。
帰って血のこびりついた服を洗って、適当に体洗って任務に明け暮れる日々。
今ではそんな生活がまるで嘘のように、家には笑い声がある。

ずっと一人で生きていけるなんて思っていた昔の自分を馬鹿だと思えるくらいだった。
この暖かさが、今自分の一番大切なもの。





「あれ?ずいぶん早かったね。いつもはもっと長いのに。」

サクラはいつもより風呂の時間が短いサスケに、着替えを渡した。
ご飯は久しぶりの二人分。

ぎこちない二人だけの同棲生活の幕開けのような初々しさは無いが、
ここにはちゃんと暖かい色を感じた。


「風呂はいってたらさ・・・静かすぎてさ。」

「・・うん?」


「誰もいないんじゃないかって・・。」


サスケはサクラを後ろから抱きしめる。

「え・・サスケ君。」

「サクラも、楓と紅葉がいて、笑っていた生活がすべて嘘なんじゃないかって・・。」


もうまた一人には戻りたくない。
失いたくないんだ。


「やぁね、サスケ君。私ちゃんとここに居るよ。勿論楓も紅葉も3日後には戻ってくる。」

お腹に当てられた手をサクラはギュっと掴んだ。



「久しぶりに仲良くしようか?サスケ君。」
「・・・飯は?腹減った。」

「・・・フフ、サスケ君随分変わったね。昔は優先順位違かったのに。」

「腹が減っては戦はできねーだろ。」

「・・・・サスケ君のエッチ・・・。」



「いいじゃねぇか、たまには今日は子供達にも邪魔されずに二人でのんびりしよう。」

「語弊よ。のんびりなんてしないくせに・・。」

「ばれたか。」

「ふふ、じゃ先にご飯食べようか。」



今夜はたっぷり甘い時間をすごしましょ?













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・・・・・おお!!
初めてちゃんとした甘甘小説を書けた気がする。
これは甘いよね?

どうしちゃったの沙羅さん?!みたいに甘い。
たまにはこんなんもいいよね?


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