風になりたい 前編 ゼシカはサザンビークへ買い物へ来ていた。 リーザスとは違い、大きな国はいい。 女の楽しみを満足させてくれる。 買い物も終わり村へ帰ろうとした時、子供の大きな泣き声が聞こえた。 目をやるとその子供は、見覚えのある子達だった。 「サラ!ルカ!!」 「ゼシカちゃん!!」 二人の子供は泣きついた。 「あんた達こんなところで何やってんのよ。っていうか久しぶり。大きくなったわね。」 そもそもこの二人お使いに来て途中心細くなって泣いていた。 「・・・まったくあんた達いくつよ。」 「「4歳」」 「はぁ・・」 まだこのぐらいの子供だ。しょうがない。 「仕方ないわね。送っていくわ。私はルーラが使えないのよ・・・」 サラとルカはお互いガッツポーズをする。 ゼシカはもう1つキメラの翼を買うと、サラとルカを抱えて二人を家まで送った。 此処へ来るのは随分久しぶりな気がする。 最近ククールは何の連絡もよこさないから、すっかりご無沙汰になったいた。 なにもないから、いきなり遊びに行こうともくろんでいた。 きっとククールの奴ビックリするだろう。 その時サラからとんでもない言葉を聞いてもっと腰をぬかした。 「ねぇゼシカちゃん。どうしてママのお葬式に来なかったの?」 「え・・・?」 良く見ると家の横に墓が建てられていた。 十字架のところには名前が刻まれていた。 -----わが最愛の妻 ククールここに眠る----- そして、花が添えられたいた。 ゼシカは言葉を呑んだ。 知らない。 ゼシカにはこんな連絡が来なかった。 「サラ、ルカ、あんた達のお父さんは?」 「パパはしたの教会だよ。夕方になったら戻ってくる。」 「そう・・・私その”パパ”にお話ししたいから暫くここで待たせてもらっていいかな?」 「「いいよ」」 サラとルカははしゃぎ家に入っていった。 いつもならドアを開けると ”ゼシカ!!久しぶり” なんていって抱きついてくるククールはもういない。 ゼシカのお目当ての人物がくるまでサラとルカと遊んでいた。 夕方おなかがすいたと駄々をこねた二人は、ゼシカにご飯を作らせた。 「まったくあんた達は!!」 「だってパパが帰ってきてもすぐご飯じゃないんだもん。」 「ん?もしかして」 「「パパが作ってるよ。」」 あんな堅物が料理とはゼシカは少し笑えた。 テーブルにすわりサラとルカはガツガツとご飯を食べる。 ドアの開く音がした。 「「パパだ」」 部屋へ入りいきなり 「ルカ、サラ・・・今かえ・・・・・」 「お久しぶり。マルチェロさん。」 「お前は確か・・・ククールの仲間にいた・・・」 「ゼシカ・アルバートよ。ちっとも連絡が来ないからきてみたのよ。」 「パパ!ゼシカちゃんご飯つくってくれたんだよ!!」 「パパも一緒に食べよう!!」 ルカとサラはマルチェロをテーブルに座らせた。 今子供のいる時こんな話をするときではない。 夜、ルカとサラが寝静まった頃だった。 ゼシカはマルチェロに文句を言った。 「一体外のあれはなんなの?!」 ゼシカが言いたいのは、ククールの事であろう。 「すまなかったな・・・」 マルチェロはそのことにはあまり触れたくないみたいだった。 「私も・・・そんな・・いきなりすぎるわ。・・・病気?」 「・・・子供を生んだのが原因らしい。」 「え?」 「もともと無理があったのだ。以前生むのを医者に止められたぐらいだった。」 「そんなだって子供が生まれたって手紙が来て、遊びにきたどククール元気だったじゃない。」 一体なんなのか良くわからない まれに本当に元気だった人が突然逝ってしまう。 まさかこんな身近に降り注ぐなんて思っても見なかった。 「私のせいでもある・・・」 マルチェロらしくなかった。 酷く落胆している。 「一体・・・何がどうなってんのよ・・」 ゼシカはため息をつく ククールはゼシカの旅の仲間であった。 同じ女で数少ない同じ年頃の友人でもあった。 彼女の心の内の秘めた思いを知っていた。 だからこうしてマルチェロと暮らすようになってククールは本当に幸せそうな笑みをしていた。 住む場所も落ち着いた頃には、手紙で身の上の話もして時々遊びに行ったりきたり・・・ それがここ半年なにも連絡がなく、訪れたら彼女は他界したいたなんて・・・ 「まだ、ルカもサラも小さいのに・・・。」 「今日は何しに来たんだ?」 「え・・サザンビークで二人に会ったのよ。それでご無沙汰だったから来てみたの。」 「そうだったのか?」 「なんか心配だわ。此処泊まっていいでしょ?」 「お前はいつも此処へ来ると泊まっていたな。ああ、好きにしろ。」 ゼシカはククールの家に遊びに来るといつも泊まっていた。 そのベッドはまだ残っていたのだ。 きっとゼシカがきっとくることを予想していたみたいだった。 「ククール・・・あんたなんで今が一番幸せの時に死ぬのよ・・勿体無いじゃない。」 暗闇の中ゼシカは一人ゴチった。 一番驚いたのはあのマルチェロの落胆振りだった。 以前の彼から考えればありえないことだった。 きっと時間の流れが彼の中のククールはきっと大切な人へとしていったのだろう。 だって墓の手の込みようは凄かった。 十字架の石がとても綺麗に細工がしてあり、メッセージ付きの彫刻までされていたからだ。 -----わが最愛の妻 ククールここに眠る----- 嫌味がしゃれたことをするじゃない。 だいたいあんた達半兄妹 でもそれを知る者なんて数少ない。 黙ってれば何も関係ない。 きっとマルチェロはククールを愛していたんだ。 そうでもないとあんなことはしない。 あまりのショックで何も手に付かなかったのだろう。 普通だったら、トロデーンやこっちに連絡が来るはずだから・・・ ゼシカはなんだか、マルチェロが心配になってきた。 子供達も元気だが、半年前じゃきっとまだ寂しいだろう。 ゼシカは時々様子を見にこようと考えた。 |
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