この恋を君に捧ぐ   14




夕食の時間も、スザクとシュナイゼルの無言のバトルは見ものだった。
ルルーシュはなんな通じ合うものがあるのだろうか?とぽかんと見物していた。

椿にどうしたらいいと聞いたが、


「あれはお二人で好きにやってらっしゃるので、そのままにして置いてください。」

椿も何故か何か面白そうな顔で、スザクとシュナイゼルを見ていた。


シュナイゼルの護衛も説得させて、気を取り直して枢木邸に滞在する事になったのだが・・・






「客間?私はルルーシュと一緒に寝たいのだが・・。」


久しぶりの兄妹水入らずを楽しみたいとシュナイゼルは言った。
しかし、ルルーシュの部屋はベッドが一つ。
シュナイゼルが床に寝るわけにも行かず、ルルーシュが床で寝るといったら、

「ルルーシュにそんなことさせるわけいはいかないだろ!」


と、シュナイゼルが断固拒否。


「っていうか、殿下。ルルーシュと俺が夫婦なんですけど・・・。」


最近は二人で一緒に寝ているため、ルルーシュの部屋で寝ることは少なくなった。

「関係ない。妹というのは、いくつになっても可愛いものだ。」

「話がそれてませんか?」

「ルルーシュ様はどうされます。」


それからルルーシュに決め手貰おうではないかと、椿はルルーシュの希望する
やり方にしようと提案した。


「えっと・・・。」



確かに、今はスザクと夫婦関係にあるのだが、これは一生続くし・・
勿論兄上とも兄妹は変わることはないが・・・
久しぶりで、今度何時会えるかわからない・・


「シュナイゼル兄上と、久しぶりに一緒にいたいです。」


そのルルーシュの一言で、シュナイゼルは満面の笑みとなり
スザクの背後にドス黒いオーラが生まれた。


「じゃ、部屋はお二人で客まで寝てください。申し訳ありませんがお布団となりますがよろしいですか?」

「あぁ、構わないよ。それに日本の寝室にも興味があるな。」

「それでは殿下、浴衣も持ってきますね。」

「ありがとう。」


椿は、シュナイゼルの体格に合う浴衣があるか、探し始めた。
スザクはもういいとばかりに、自分の部屋に戻った。

「よかったのかい?ルルーシュ。」

「・・・スザクとはいつでも一緒にいます。今日くらい兄上といてもバチは当たりません。」

「嬉しいよ。じゃぁ、ルルーシュの言葉に甘えるとしよう。」



客間はすぐに布団が二組敷かれていた。

ルルーシュ専用の浴衣と、どうやら紺色の大きな浴衣はシュナイゼルのだろう。

「殿下、浴衣の着付けをいたしますのでよろしいですか?」

「あぁ頼むよ。」


どうやら、最近では外国の方も日本に来たときに浴衣を着てみたいという方が多く、
大きいサイズも作っていると椿は言った。
普通なら日本人でシュナイゼル並みの身長のはまずいない。

業界は近年、外人向けのサイズの製作の方が忙しいらしい。
柄も純和風から、洋風の柄まで揃っていた。
今回シュナイゼルの柄は、紺を地に笹の葉が描かれていた。


「ほう・・・・これはなかなか着心地がいいな。」

「似合ってます兄上。」

「ルルーシュもね。綺麗だ瞳の色と合っている。」

いつもの藤色の浴衣。
スザクが選んでくれたと話したら、シュナイゼルはちょっと苦笑いをした。


それから二人でこの日本にいる間、ルルーシュはいろんな事を話した。
ゲンブはとても気を使ってくれていい人で、
椿さんからいろんな事を教えてもらって、
スザクの母親もゲンブ同様忙しい人だった。

変装して、護衛もつけないで外へ出てみて
普通の人と変わらないひと時を過ごしたのが、怖かったけど一番楽しかったと。



「ルルーシュ・・・笑うようになったね。」

「え?」

「また完全じゃないけど、ブリタニアにいる頃より柔らかくなった。」

以前の
マリアンヌ様とナナリーが生きていた頃、ルルーシュはもっと笑っていた。
おてんばなナナリーと一緒に・・・。



「兄上、今日は手を繋いで寝ませんか?昔よくしていただいたように・・。」

「かまわないよ。今日は随分と話しこんでしまったね。もう夜も遅い。お休みだルルーシュ。」

「はい。おやすみなさい。シュナイゼル兄上・・・。」

「お休み・・ルルーシュ。」


















「なんだよ。スザク怖いよ。」

「何だよ・・ウルセー。」


大学へ行ってもスザクの機嫌は悪いままだった。
背後の黒いオーラが、クラスメイトたちを遠のけいている。

代表して、大学で一番中のいい友達がおそるおそる聞いてきた。


「・・・・兄貴がきたんだ。」

「お前、確か一人っ子だよね?」

「ばっか、違うよ。ルルーシュの兄貴。」

「へー・・・って、えええ??」


今、枢木邸には二人のブリタニア皇族がいる。
なるほど、妹の様子を身に兄皇子がおいでなすったのか・・・。


「それはご愁傷様。」

「人事だと思いやがって。」

「人事だろ?」


確かに、スザク個人の事だ。


「・・・ルルーシュの手を引こうとすれば、邪魔するし何が”私はまだ君を認めていないよ”だ。
 そりゃ、国が唐突に決めた事だけど・・・。」


「お前”結婚なんてうぜぇ!”って言ってたのどこのどいつだよ。」

「あの時の俺とは違うの。」


そりゃ、蓋を開けてみれば、眉目秀麗
麗しの皇女様ときたもんだ。

スザクは女好きだった。いい意味でも、悪い意味でも。
よっぽど結婚した皇女様が気に入ったのは、態度で分かる。
二人っきりになりたいのに、兄皇子が邪魔するのが気に食わないのだろう。

その兄皇子が、父親の役目みたいな事を遣っているのが目に浮かぶ。


「お前、それは頑張ってその、ルルーシュ殿下の兄皇子殿下に認めてもらうべきだよ。」

「分かってるよ・・・。」


そう、シュナイゼルがそのつもりで来たのは分かっている。
スザクは頭はソコまで悪くはない。が、良い訳でもない。
この平凡すぎる脳みそで、頭の切れる皇族たちをどう認めさせられるかが問題なのだ。


「ルルーシュ〜。」

「すっかり欠乏症になってるよ。この人・・。」


黒いオーラから、なんか哀愁ただようオーラに変化した。
クラスメイトたちも、面白そうに二人の話を聞いている。


ルルーシュは今頃またシュナイゼルといるのだろうか・・
いるだろうな。

あのシスコン兄貴の事だ。どこかに連れまわしている可能性は高い。

それにしてもルルーシュはシュナイゼルと一緒にいるときの顔が気になる。
顔を赤くして、目を輝かせていた。
スザクには決して見せない年相応の少女の顔だ。



(いつか・・俺にもあんな顔見せてくれないかな・・・)


今は警戒されているのは良く分かっている。
自覚しているし、だからといってまだどうしらいいかわからないでど、
どりあえず、今はまだ怯えた顔をする事は前よりなくなったから、少しは進歩している。



「まだまだ時間かかるな〜。」

「何が?」

「こっちの話し。」














スザクが大学でうな垂れている頃、河口湖でサクラダイトの産出に関しての会議が行われていた。
ゲンブとシュナイゼルはその会議に出席している。


今日のシュナイゼルは機嫌がよかった。
なんせ、ルルーシュからの行ってらっしゃいのチュウをしてもらい。
会議中、機嫌にい微笑を浮かべて、他の会議の出席者に砂をはかせていた。



会議は三日間行われているため、今日から三日間ゲンブとシュナイゼルは不在になる。












「ただいま。」

「あら、おかえりなさい。スザクさん。」

「お腹すいた・・・椿さん今日のご飯何?」

「豚の角煮ですよ。」


今日は珍しく和食だ。
暫くは洋食が続いていたから、珍しい。

「・・今日、何かあるの?殿下がいる間、味覚を合わせるんじゃ・・・。」

「あら、スザクさんご存知なかったのですか?今日から旦那様と殿下は河口湖でサクラダイト会議で、
 明々後日まで戻りませんよ。奥様も一緒についていってしまってるので、今日は私達仲居と、ルルーシュ様とスザク様だけ・・。」

「そう・・・なんだ・・・。」


あぁ・・やっと今日は久しぶりにルルーシュと一緒にいる事が出来そうだ。
スザクは朝の機嫌のどこへやったのかというほど、周りの空気が一変された。



「只今、ルルーシュ。」

「スザク、お帰りなさい。」


丁度ダイニングに来ていたルルーシュを呼び止めて、すぐに夕食にした。
スザクはご飯を食べ終わってから、すぐに風呂に入った。
これから何をしよう。

いや、ルルーシュと何を話そう。
出来れば今日は一緒に寝てはくれないだろうか?

今日は自分の部屋に戻ってしまうだろうか?


まぁ、どっちにしろ今日は一緒にいてもらおう。
スザクは浴衣に着替えて、ルルーシュの部屋に入った。

「ルルーシュ、入るよ?」

「どうぞ。」


ルルーシュもどうやら、入浴を済ませていたらしい。
髪の毛がまだ少し濡れていた。


「ルルーシュ、今日は俺の部屋で寝てくれる?」

「スザク・・。」

それはつまり・・・・


「俺達夫婦だろ?今日はシュナイゼル殿下がいなし、なぁ?いいだろ?」

「え・・ちょ・・わ!」


スザクは突然ルルーシュを抱き上げる。
お姫様抱っこをしたまま、足で襖を開けた。

スザクの部屋はもう布団が敷かれていた。

「ルルーシュ・・今日は抱かせてもらう。」

「スザク・・イヤだ。」

「我慢できない・・。」

「やめ・・・。」


スザクはルルーシュの浴衣の帯を解いた。
そうしてしまえば、前開きになっているだけの簡単な和服は肌を簡単にさらけ出させてしまう。

「や!」

恥かしくて、両手で上半身を隠したルルーシュであったが、簡単にスザクに引き剥がされた。


「ふ・・・うう・・。」


駄目だ。
抵抗してもすぐに押さえつけられる。
暫くだけでも・・シュナイゼルがいる間だけでも、シュナイゼルの知っているルルーシュでいたい。
妹のルルーシュでいたい。


「スザク・・お願い・・やめて。」


ルルーシュの泣き顔はもう見飽きた。


「何で、俺の前ではいつも笑ってくれないんだよ。」


シュナイゼルに向けるような顔を、俺にも見せてくれよ。
















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